見出し画像

【寄付を文化に】 第1話 ログイン問題

1話 ログイン問題

「美帆、うまく入れた?じゃあ、次はオレだな」

「あっ、ヒロいたのか?おう。わかった。ありがとう!!」

となりにいたヒロが突然話しかけてきた。
ちょっと驚いたが、ふたりとも「かつおクラブ」に加入してくれた。

「いたのか?って、なんだよ?まるで、最初のシチュエーション、ふたりにするか、三人にするか決めてなかったみたいじゃないか?当初の予定どおり三人スタートだよ」

ヒロは、いつも何を言ってるかわからない。まるで日常を外から見てるようなヤツだった。物語を俯瞰して創作する作り手のような思考だ。

「けど、ふたりとも加入してくれて良かった。嬉しい。最初、美帆に断られたときは、どうしようかと思ったよ」

「おかげで、久しぶりに三人で会えたしオレも加入できたし良かったんじゃない」

「人聞きが悪いね。断ってはいないわ。ちゃんと会って説明してね。電話で『はいはい、わかりました、とは言わない』っていっただけよ」

「月100円ぐらい、黙って払ってもいいけど、私も誰かに伝えるかもしれないし、せっかくならちゃんと考えて、納得して入りたいと思ったの。けど、もしかしたら、昔みたいに会って、夢を語りたかったのかもしれないね」

「そうそう、純。お前、熱すぎるわ。もうちょっと抑えたほうがいい。あそこまで語られると軽い気持ちじゃダメなんかな?って思うから、もう少し軽くしろ」

弘高ヒロタカと美帆は、地元の同級生だ、美帆は小学校からヒロは、中学校が同じだった。

『夢を応援するメンバーシップ、寄付を文化に』そんな言葉を見て、真っ先に思い浮かんだのがこのふたりだった。

ふたりには入ってほしいな。そう思って、連絡したら、あっさり断られた。

美帆には電話で伝えて「はい。よろしくね。そういうことじゃないでしょう」と言われ、ヒロには、「note?読むだけだな、アカウントないし、アプリこれ以上増やしたく無いから」と言われた。

月100円だから、いいじゃん。
と簡単に考えていた僕の気持ちはあっさり折られた。ただ、電話で伝えきれず、三人でプチ同窓会をすることになって、その場で熱く語った。

そして、ふたりとも仲間になってくれた。
こんなに嬉しい話しはないよね。

このファミレスのランチとドリンクでひとり1200円以上使ってる。この金額で1年分払えるやん。なんでやねん。

そんな想いがアタマをよぎる。

お金だけの話しじゃない。また、ログインできない。アカウントがない。これは思った以上にハードルが高い。普段、そのアプリを使い慣れてると、そんなハードルは目に入らない。

けど、集まって話したおかげで、夢を語ったあの時を思い出した。そう、みんな将来、夢見てたあの頃だ。

中学2年のあの夏の放課後

1990年代。ある中学校の教室。
三人の男女が話していた。

「将来の夢か」

道徳の授業で来週、将来の夢を話さないといけない。夢を持っていても言うのは恥ずかしい。

「美帆は?あれでしょ。ヒロはギターかな?オレはなんにもない。美帆は、それ話すの?」

「水泳でオリンピック?岩崎恭子を倒す?って?種目違うけどね。けど、どうだろ」

「美帆はいけるでしょ。市内じゃ敵無しじゃん。表彰状やトロフィーやまほどあるし、オレ、ギタリストになりたいって、言ってるけどギターもってないからね。今年のお年玉ぐらいで入門セットを買いたい。夢はギタリスト!ギターはまだない。大丈夫?これ?純は?」

「オレ。なんもないよ。普通のサラリーマンでいいかな。ダメかな?それじゃ」

夢が職業や種目だと思ってたあの頃、自分のやってることや目の前にある情報が全てだった。

「えっ!純。小説家じゃないの?いつも物語書いてるじゃん」

内心痛いところをツッコまれたと思った。
なれるわけないじゃん。それは。

「笑われないかな?」

自分の夢よりまわりの反応。
そんなことばかり気にしてた気がする。

0話 スタートはここから


かつおクラブはこちら

書くきっかけはミイコさんから


いいなと思ったら応援しよう!

八田 零 サポートお願いします。 記事を書く励みになります。 noteLIFE楽しみましょう。