見出し画像

3 1/2(さんかにぶんのいち)

序章:出自

岡山県玉野市。
海と山に囲まれた幽邃な港町に生まれ、ゆかりのある大阪を経て、野心なく転勤で東京へ。
文化芸術を嗜好する家系で育ち、想像力逞しく、思想に更け、安逸な日々を送っていた。
生来、直感的、感覚的、創造的に生きてきた、私がなぜ相反するとも思われる金融業界に足を踏み入れたのか。。
VCになった背景や、2年目の、いま感じていることを素直に描きました。

                                        玉野にて

第1章:憧憬

学生時代は、好きだったミュージシャンや芸術家が影響を受けた物事(音楽、思想・哲学、映画、詩・文学など)を掘り下げていくのが好きで、数えきれない程の作品を消化しました。
好奇心は飽き足りず、興味は前衛へと進み、現代アート、コンテンポラリーミュージック、ヌーヴェルヴァーグと、各作品について、どういうコンテキストで発現した思想で、何に新規性があって、どこが評価されているのかなどを構造的に考察することが好きでした。
現代では、常識と云われていることも、当然ながら、その転換点を生み出した人がいます。
音楽の例だと、フランスの作曲家であるクロード・ドビュッシー(1862–1918)が挙げられます。
ドビュッシーと云えば、「月の光」「夢」など、美しいピアノ曲を書くクラシック作曲家というイメージが一般的かと思いますが、当時の慎重な時代背景を踏まえると、前衛的なアプローチを試みた異端児とも云える存在でした。
機能和声に基づく従来の体制から離れ、四度堆積和音や並行和声の多用、教会旋法的な響きを積極的に取り入れるなど、伝統的な音楽体系から外れた革新的な技法を用い、時代の気分を表現しました。
彼の用いた手法は、保守的層から「音楽理論に即していない」「退廃的だ」という批判を受けていましたが、現在ではビートルズから最新のPOPSにまで用いられる、20世紀以降の音楽の礎となっています。
本然的には、常識に縛られず考え、新たな価値を提唱し、新しい時代のスタンダードを創っていくそういった、イノベイティブな思想、クリエイション、表現者に憧れを抱いていました。

第2章:分水嶺

社会にでてからは、紆余曲折ありましたが、新しい価値を創る事に気持ちがあり、新規事業開発に関わっていました。
アプリやDB開発、メディア立ち上げなど様々関わらせて頂きましたが、
事業がうまく立ち上がらないものもあり、五里霧中、施策の荒野をさまよう経験もしました。
当時を振り返ると、自社のことしか見えておらず視野狭窄の感もありますが、自分の力で事業を創ることの難しさと限界を感じていました。
そんな中、CVC立ち上げのタイミングで部署異動となります。
これを機に、業界への一歩を踏み出したわけですが、それまで触れ合う事のなかったスタートアップの世界はまさに、光彩離陸たるビジネスの最前線とも云え、刺激に満ち溢れたものでした。

CVCでは、スタートアップとの提携が中心で、基本的に、自社の視点が前提となります。自社にとって意味があるか、提携できるか、将来の事業機会につながるか。
ただ、実際に多くの起業家と話していると、シナジーがあるかどうかに関係なく、純粋に「応援したいな」と思うことが増えていきました。
事業のテーマやプロダクトが好きだったということもありましたが、それ以上に惹かれたのは、未だ社会に無い価値や世界を実現しようとする、
イノベイティブな、起業家のエナジーでした。
伴って、自身の関心としても、「自社にとってどうか」ではなく、「この会社はどうすればうまくいくのか」。
スタートアップを見る視点が、事業連携の目線から、経営そのものを見る目線に変わっていった感覚があります。
VCであれば、様々な起業家の熱意に触れながら、一緒に事業を、新しい価値を社会に創っていける。その環境に魅力を感じました。
VCの中でも、mintの「好きと、勝つ」というパーパスに共感したのと、雑駁ながら、カルチャーに明るいイメージを持っており、IVSで、doubletを悠然と着こなしていた、てるまさんに偶然お会いした際、ひとかたならぬ確信を抱いたことを今でもよく覚えています。
そんな確信もあってか、mintにご縁を頂きました。

J.M.W. Turner, Moonlight, a Study at Millbank (1797)

第3章:現在地

mint入社後、新規投資も数件実行させて頂きました。
どの投資先も印象深いのですが、KLDというリユースアパレルの会社は、
コンタクトする前から自身で使っていたサービスだったので、直感的に運命を感じました。
元より、商品の仕入れが洗練されており、リユースの世界に新たなスタンダードを創ろうとするKLDの世界観に強く共感していました。
KLDが考える世界を一緒に実現していきたいという想いのもと、組したファイナンスでしたが、感性や感覚といった非言語的な内容が理解されづらい点はとても苦労しました。
翻って、非言語的な要素を金融的な文脈に翻訳できるのは自分しかいないという勝手な気概で、要点を整理しエクイティーストーリーを再構成しました。
投資に至るまでは、KLDのみなさまと、深夜までピッチや事業計画のブラッシュアップしたり、ステークホルダーの関係調整に奔走したり、キャッシュが厳しいタイミングをどう乗り切るか作戦会議したりと苦心惨憺する日々を送りましたが、ファイナンスの目途がついた時、感謝の言葉を頂いた際は、心を波立たせる程の感動を覚えました。
投資後も、一緒にビジネスをカタチにしていく感覚があるのは大きなやりがいの1つです。また数々の苦難を乗り越えて、成長を共に喜びあえるのもキャピタリストならではだと痛感しています。

一方で悩みもあります。
打ち明けた話をすると、キャピタリストは多面性があり、利益のバランスのとり方が悩ましいと感じます。
純粋に事業を応援したい支援者でありたい気持ちもあれば、同時に出資者から資本を預かる運用者として、リターンを意識しなければならない立場でもあります。
社会的なインパクトや想いを重視したい気持ちと、資本主義の中で投資成果を最大化しなければならない責任。
その両方の間で、何を大切にするのが正しいのか。そういったバランスの取り方に、今も難しさを感じています。
また凡庸かもしれませんが、起業家やステークホルダーに対して、どういうバリューを出せるのかということです。この業界には本当に優秀な人が多く、知識、経験、ネットワーク、ビジネスセンスのどれをとっても、自分より秀でている人がたくさんいます。
その中で、自分は何を価値として提供できるのかを考え続けています。

第4章:前途

VCの仕事も、明確な正解がない中で、次代をどのように捉え、アプローチするかが問われる仕事だと感じています。
テクノロジーの進化は凄まじく、環境の変化も著しい世界の中で、
時代の気分を感じ取り、固定概念に囚われず、ある種の退廃性を伴って柔軟に、「何が、正しいのか」を考え続け、少しずつ自分なりのスタイルを創っていきたい。そして多くの転換点に、伴走者として、係わる事ができたらいいなと思います。

結びに代えて

学生時代に読んだ本の言葉で、この業界に入ってから、強く実感するようになったものがあります。
「A dream you dream alone is only a dream. A dream you dream together is reality.」—John Lennon
~ひとりで見る夢はただの夢。みんなで見る夢は現実になる~ 
ひとりの起業家からはじまり、メンバーが増え、支援者が広がっていく様子は、夢が実態を持ち、現実化していく過程を見ているようにも感じます。
なによりも、まず、起業家の可能性を信じ、夢を共有できる存在でありたいと願います。


👤大塚惇騎に直接連絡する
Facebook:@ootsuka.atsuki

🤝KLDについて
サービスサイト:https://kld-c.jp/
KLD STORE:store.kld-c.jp

🍀mintについて
公式サイト:https://mint-vc.com/
お問い合わせ:https://mint-vc.com/contact/

いいなと思ったら応援しよう!