【不動産屋が気になる】不動産関連ニュース ~日銀はどこまで利上げする?不動産業はどうなるの?日銀利上げで不動産は暴落するのか? 現場の不動産屋が読み解く、キャップレートと「家賃インフレ」の力学~
昨今、長期金利が上昇しているなか、中東情勢によるインフレ懸念と円安への対応として、日銀は6月の追加利上げに向けた地ならしを進めています。

黒田日銀の異次元緩和により、長期金利すらマイナス圏に沈んでいたのは2019年頃のこと。その後、金利はじわじわと上昇し、5月末時点では10年債金利が1.0%台後半、貸出金利の基準となる長期プライムレートは3.05%/年まで上昇しています。

一方、現場の投資不動産マーケットではどうでしょうか。 物件の収益性を示す「キャップレート(期待利回り)」は、以下のように計算されます。
(賃貸収入 - 経費・税金)÷ 物件価格 = キャップレート
=2%~
現在、都心の優良物件ではこのキャップレートが「2%台」ということも珍しくありません。

つまり、足元の状況は長期金利と不動産の利回りが極めて肉薄しており、 「物件を購入するための調達金利が3%なのに、運営して得られるキャップレートは2%台」 という、いわゆる逆ザヤ(マイナスキャッシュフロー)のような現象すら起きつつあります。
それでも、投資不動産は現状、売れ続けています。
(ちなみに、東京のタワマンが売れなくなったという声も聞かれますが、これは単に「実需層の手が届かないほど価格が上がりすぎた局地的な調整」だと私は見ています。)
では、なぜ調達コストが上がっても物件が売れるのか。 理由は明確で、直近の家賃が大きく上昇しているからです。 以下は東京ビジネス地区のオフィス賃料ですが、2026年4月は対前年同月比で「+8.2%」と大きく上昇しています。

また、東京都の分譲マンション賃料に至っては、2026年4月は対前年同月比で「+10.6%」まで上昇しています。

先ほどの計算式でお話しした通り、賃料(純収入:分子)が大きくなれば、購入者が求める利回りが一定であっても、物件価格(分母)は上がります。 賃上げ機運の高まりやインフレ期待を背景に、強気の賃料交渉が行われ、実際に家賃が上昇していることが、現在の不動産価格を強力に下支えしているわけです。
しかし、油断はできません。 上昇率の高い東京の分譲マンション賃料も、過去(2022年8月~10月)には前年同月比マイナスでしたし、2024年後半も上昇率が0%台に沈む時期がありました。 今後のインフレ状況により家賃の上昇は続くと想定できますが、仮に調達金利が3%で定着するならば、 「調達金利(3%) ≒ キャップレート(3%) ≒ 家賃上昇率(3%)」 という、非常にシビアな均衡状態に突入する可能性もあります。
不動産投資において、今後の「家賃上昇率」が「物価上昇率や金利上昇」にどこまで追いつけるか。ここが最大の分水嶺になるため、引き続き注視が必要だと言えます。 気になるニュースがあれば取り上げます。
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