お月様🌛と渡し船🚢
お月様の住む町は川に囲まれた中洲の島みたいな区域なので時たま川を渡るのに船に乗る。
渡し船は市営なので料金はナシ。無料で自転車と一緒にも乗れる。

中山製鋼所の巨大なダクトの間を走りぬけ、堤防のスロープを越えるとそこが船町の渡し船乗り場。暮れかかった運河の向こう岸には人気の無い待合所の電球がポツンと灯っている。
言葉少ない乗船客にまじって、お月様も船に乗りこむ。対岸に着くまでのほんの数分の間、水の上に乗り、何かしらを思いうかべて…
なぜかしら、いつの間にか、地球の上で重力の生活をするようになり、土星🪐野郎と一緒に暮らし、ここ大阪の水の上を運ばれていったりするこの日常は… どこか奇妙でなつかしい。
これからどうなるのかしら。私達。
今のところ、宇宙に何も支障は無いし、ここで気ままに暮らしていても、誰に咎められることもない。昔と違い労働時間が短縮されたのでお月様も毎日空に昇らなくてもよくなった。
今は週に4日のパートでも、満ち欠けさえキッチリしておけば何も問題は無いのだ。
元締めの太陽もずいぶんと鷹揚になったものだ。そのとばっちりで元々遊び人だった土星野郎があんな風になったとも言えるのよね。
それでもそれなりに楽しくは暮らしているから、これが幸せってことかしら。
よくわからない…
そうこうするうちに船は着岸し客は自転車を押して上陸する。
お月様も考え事をやめて船を下りる。
今夜はサパークラブ『月世界』で歌う仕事が入っている。
町が夜になるにつれて人の世はざわめき出し、お月様もその中へまぎれこんでいく。
月が人間界で働けるようになるなんて、働き方改革も進んだものだ。毎晩夜空で満ちたり欠けたりするだけだったあの頃は遠い昔。
好きなように生きていくわ。あんたもあたしも。なぜかしらね、できることが増えてから、不安も増えてきたみたいなのは…
🔷トップ画像は船町の渡し船乗り場。
偶然見つけられて嬉しいです。
yk317ssさん、ありがとうございます。
エンディングテーマソング🎵
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