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神のデス・ギフト-F- 第9話 激黒企業襲来!手刀と寒波と俺、糸引くキムチ

これは、神から贈られた“死にかけるほどのギフト”の開封記録。

酵母のように静かに膨らみ、腐敗と紙一重の温度で、俺の魂を発酵させていく恐怖の実話。

これは、逃げなかった者だけが腐敗の底で拾うことになる“保存可能な真実”の話でもある。

今までの神のデスギフトの”もくじ”はこちら

転職完了の変な違和感


俺は憧れの業界の大企業『U』に面接へ行き…気づけばその子会社『UP』に就職していた。

危険なサインは出ていた。だが俺は、都合よく見なかったことにした。

俺「なぜ!? なんで本丸じゃない!?」

流れは、いつもの“神デス式・雪崩巻き込み型”。
あれよあれよと決まっていき、気づけば麓で土まみれ。

そこから地獄の発酵が静かに始まった。
──そう、これは『UP』に入社した翌日、
真冬の寒波の中で暴発した、悪夢のような記録だ。

トラウマ降雪:早出の朝は裏切りの塩水

入社初日の夜。
雪は風もなく、音もなく、しんしんと降っていた。しっかりと積もる“死の雪”。

天気図は『西高東低』──いわゆる“冬型の気圧配置”。
俺にとっては『筋高脳低』の絶望的な相性。肉体も精神も、気象に敗北した。

翌朝、俺はまだ知らなかった。

この会社が、
**「激黒企業」**だったなんて──

会社に行く朝、とてもとても不安で耐えられない俺

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部署相関図:俺は“生贄”だった

この会社には明確な上下関係なんて存在しない。
存在するのはただ一つ、“ハゲサイドの機嫌”

俺の部署はわずか6人。危険度の高い順に並べると──

【部署相関図】
ハゲサイド(課長・絶対王)
├ オタク(主任・教えない・ハゲの右腕)
├ 八の字(担当部長・空気・弱気)
├ ピロリ菌(平社員・元生贄・ハゲの左腕)
├ 怒り顔(部長・やる気なし・天下り)
└ 俺(新人・今の生贄)

左上ハゲサイド、左下八の字、真ん中オタク、右上ピロリ菌、右下怒り顔

この部署は、成果ではなく“恐怖の循環”で秩序を保っていた。

全員がハゲサイドを見ている。
ハゲサイドに嫌われないために、生贄が必要だ。
いわゆる必要悪。俺悪か?
俺がそれをピロリ菌から引き継いだのだ。

それはそれはピロリ菌は喜ぶわけだ。
ピロリ菌は缶コーヒーを飲んでご機嫌の様だった。
向かいの席の俺を見てほくそ笑んでいるのがよく分かった。

心「この腰巾着のピロリ菌め!腹立つな」

とは、とても声に出す勇気もなく、
むしろ見えるほど近い未来の不安に圧死させられていた。

いや、ピロリ菌に苛立っているいる時間は無駄だった。
ハゲサイドを警戒しなければいけなかった。

しかし、『時すでに遅し』だったのかもしれない。
遠くから、奇声が聞こえだしてきた。

ハゲサイド「イエイ、イエイ!ヒュー、ヒュー!カッコいー!」

全員の目が下向きになり、パソコンから目をそらさない。
俺も、視界にパソコンしか入らない。
見てはいけない。
本能の危険予知能力が見たら危険だとアラームを鳴らした。

ハゲサイドは、オラウータンがヒップホップダンスをしているような動きで近づいてきた。
──だが、目だけは捕食者だった。

心「視界に入れてはダメだ!奴は目を合わせたら最後だ!」

ハゲサイド「ハーイ!東京から来た偉い新人さーーん!」

心「うおー!来たよ。ヤバいよ、ヤバいよ」

ハゲサイド「偉いんだよねー!新人なのに一番最初に会社来てませーん」

俺「す、すいません」
心「定時よりは大分早く着いたけど、ダメなのか?」

ハゲサイド「お前は新人だから誰よりも早く来るー。わかるーー?」

心「分かりませんけど、言いたいことは分かります」
俺「はい、明日からそうします!」

周りの空気が俺を笑っていた。
まるで俺と云う白菜の漬物が異質な物質として生贄に出されたようだった。
明らかに周囲の異変人達は、事の成り行きを楽しんでいた。

俺は震えるしかない。
総務も含めたった9人の会社で8人が敵。
全ての人が意図的にハゲサイドに俺をぶつけてくる。

この日、まだ入社して2日目。
誰もしゃべらない会社だった。
音を立てるだけで悪者扱いされる、危険な殺気が周りにあった。
唯一楽しかったのはトイレの往復くらい。
俺は、圧力で一日でクタクタになって一日を終えた。

心「何もしていないのに、誰とも話せなかった。俺はやはりダメか」

事故ではない。
意図的な殺処分場の様だった。
俺は、ただの発酵が進んだ腐った白菜だったのかもしれない。

悩んでいる俺のところに暇になったハゲサイドが遊びに来た。

ハゲサイド「なぜ?教えなーい?なぜ?お前が学ぶためー」
ハゲサイド「みなさーん!明日から新人が最初に会社きまーーす」

心「た、た、た、助けてくれー、怖くて席から動けない」

俺は、まだ会社のカギをもらっていない。
つまりこれは、
『命令は出すが、達成条件は与えない』というゲームだった。
それはハゲサイドも知っている。
つまり、最初に会社に来るという事は不可能なのだ。
人を追い詰めることに関しては世界屈指のオラウータンだった。

あらゆる会社でパーフェクト社畜になることができた俺が思う。
ハゲサイドは圧倒的に危険な人物であり、何かの頂点にいる存在だと。

俺は、解決策のないまま翌朝を迎える事となる。

意味が無い所から、意味を見つけ出し学べと神は言う。
照らされてもいない真っ暗な草道で『石ころ』を見つけ出せだと。

俺はいつもより早く起きてしまった。
まだ暗く寒い朝が息苦しさを発酵させたのが分かった。
雪はひざ下まで積もっていた。

誰かが来るまで会社の入り口で立っているしかできない俺

毎朝の理不尽という調味料まるでニンニク漬けの様に濃く深く

俺は朝誰よりも早く出社するため念には念を入れて1時間前に家を出た。
駐車場に到着し会社まで歩く。
結構遠い。

二日連続で降っていた雪は降り積もり歩く足の運びを重くする。
雪のせいなのだろうか、この足の重さは。

この日は12月の中旬。
寒波が来ていて気温は-3℃度。記憶にしっかり残っている。

会社に着くが、俺は分かっていた。
鍵を持っていない。

つまり、俺の次に来る人と一緒に入る事こそ、最初に出社する方法だ。
俺は底冷えした盆地の寒さに体が絞られながら雪の中待っていた。

心「待つのは辛いが、最初に来るには早く来るしかないからな」
心「寒さより、制裁が怖い」

結局45分待って次の人が来た。

総務「早いね。鍵ないのに。今開けるよ」
俺「おはようございます。ありがとうございます」
心「よし、総務の人に俺が一番乗りだと目撃してもらった」

くだらない矜持が俺の体力と体温を奪っていった。
全ては身を守るための条件反射だ。

定時になり、全員が会社にいる時、ハゲサイドが俺の方を軽く叩いた。
手招きをしている。
奴のクリエイト室に手招きされている。

ハゲサイド「おい。何お前、何最初に出社してんだよ。総務に言われたよ」
俺「え?最初に来いとおっしゃっていたので」
ハゲサイド「お前、あざといんだよ。ムカつく!」

俺は動揺した。
何が正解なんだ!と。

ハゲサイド「ムカつく、ムカつく!明日もじゃあ一番乗りすればいいよ!」
心「お前バカか?恐怖しかないよ」

何て事は言えず、
俺「えっと、はい。すいません」

この世で最も怖いものは、
分らないもの。解らないもの。未知。
人間は未知なるものとの遭遇ほど恐怖を感じるものは無いと気づいた。

俺は釈然としない悶々とする中仕事を覚えるために頑張った。

小さな事務所の最近使われたであろう書類を片っ端から読む。
それをノートにまとめる。
後から隣のオタクに聞く。
オタクは教えない。

オタク「それを簡単に教えたら俺の苦労はどうなるの?」
心「オタクは腐っている。俺も腐ってるけど、臭さの種類が違う。多分オークの部類だ」

クリエイト室で図を作っているピロリ菌がいた。
俺「隣で仕事見ていていいですか?
ピロリ菌「だめだよ。なんで来るの?俺も教えてもらってないんだから」
心「この胃の中の病原菌め!」

心「ここは、人を生贄にしたら本気なんだ、アーメン。オーマイゴッド」

やっとの思いで、倉庫の片付けの仕事を手に入れた。
広い。広すぎる。100畳は軽くある倉庫だ。事務所エリアより広い。
俺は、個々の置き場所をシステマチックにする片付けに光を見出した。

心「これさえあれば、2週間は倉庫の整理で時間が使える。その間に人間関係も作れそうだ」

俺は埃を被りながら仕事をし、充実した気持ちで帰宅した。
まぁ帰るときは最後に帰る人と一緒に帰るように用心した。

俺を小馬鹿にして優越感を感じるハゲサイドを無視できない俺

毎朝の過激な調味料まるでニンニクの層の間に唐辛子だった

翌日も一番乗りに会社に着き、積雪の中で凍えながら誰かを待った。
やはり定時の15分前に総務が来て開けてくれた。
45分以上冷え切った俺は何もしてないのに瀕死だった。

心「一番乗りに会社に来たが、これが未だ正解かハズレかまだ分からない」

俺は部屋のデスクに着き暖かいコーヒーを飲みながら湯気に癒されていた。
そんな時、遠くからまた聞こえてきた。

ハゲサイド「イエーイ!イイね、イイね。今日はサイコーじゃない?」
心「鳥肌が立ち、胃がせりあがり、吐き気がする。めまいもする」

まっすぐ俺のところに来る。

ハゲサイド「新ジーン!お前最初に来たの?俺、辞めたかと思ってたよ」
心「ふっざけんなー!ハゲ爬虫類に選別されるほど腐った漬物じゃねーよ」
とは、言えず。
俺「辞めるってアイデアはなかったですが、朝早く来ると気分はいいです」

ああ、面白くないことを言ってしまった。
これでは、彼の中のレーダーが俺をロックする。

ハゲサイド「ちょっとクリエイト室に来て」

あの密室に二人で入っていく。
恐怖しかない。
足がうまく前に進まない。周りの人の表情を見ることができない。

中に入った時、ハゲサイドはすでに構えていた。
まるでトカゲ族が接近戦をするような構えだ。

ハゲサイド「エイ、エイ、エイー!」
手刀は腹に、肋に、鳩尾に。
ズン、ズン、ズンと沈む俺の体。
痛い。寒い。理不尽すぎて、キムチになるしかなかった。
俺は、腹部を中心として手刀を何回も食らっていた。
手加減はしていない。

心「息がうまく吸えない。声を出すと、何かが決壊しそうだった」

その瞬間、俺の内側で“キムチの素”が爆発的に発酵を始めた。

心「おいおい、これは“食べもの”になる気配じゃないぞ?」
心「暴力に、理不尽な命令、これは何の料理だ?これは激辛キムチだ?」

正直俺は、あまりの辛さに倉庫にこもって孤独に整理をするのが最大の癒しとなっていた。
人と関わらなくても、物は嘘をつかない。

時折ハゲサイドは来てからかう。

ハゲサイド「スゲー。この会社で一番大事な仕事してるー」
俺「いや、そんなすごい仕事じゃないですが、使いやすくしたいです」
心「入社数日でここまで心が消耗したのは初めてだ。涙がでる」

こんなことが一週間続いた。
実に5日間、俺は朝雪の中で誰かを待ち、出社すると一日中ハゲにいじめられ、仕事は誰にも聞いても教えてもらえなかった。

ハゲサイドは毎回、人格の矛盾で俺を殴るように、言葉と手刀を使ってきた。
俺の心は**“理不尽と恐怖”**スライスニンニク”**でどんどん赤く染まっていった。

臭さも辛味も発酵も完璧にこの会社味にされていっているくやしさ。

でも、すこさは子らしい事はある。
心「でも無事に1週間完走したじゃねーかー!」

たまたま部長と廊下で話す機会があった。

俺「この会社人間関係少し変じゃないですか?」
怒り顔「そんな事じゃこの世界生きてきないよ」

なんと冷たいお言葉。
ハラスメントという言葉がない時代はこんなもんだった。
力あるもの、それは権力。ふぅ。

こんな時、いったい何を思う?

週末の俺が高温の発酵状態になった

土曜日になり休みになって気付いた。
体温が39°になっていた。
精神的な疲れ、朝マイナスの気温で1時間立っている事、自己嫌悪の悪のスパイラルの影響だと思う。

体温計の数字は、俺がこの会社に適応し始めた証拠のようにも見えた。

俺の白菜にニンニクと唐辛子が交互に練りこまれ、本意ではないキムチに姿が変わっていくのを実感していた。

心「やっぱり、俺は、漬かってる……濃厚なキムチになっていく」

神はハゲサイド達を許し、俺を許さないのは何の修行なのだろう。

しかし、この時の俺には想像もできなかった。
6年後──このキムチ作りが、奇跡の副産物になるとは。

俺も保存食品としてプライドがある。
残って一矢報いる。
そう心の中で強く誓った。
でも、そこまでの紆余曲折は想像を超えて俺を困惑させたことは言うまでも無いだろう。

第9話完

次回予告

とにかく毎日ストレス発散で殴られる。
条件反射でなにもされてないのに受けの態勢を取るほどに。
殴られすぎ、さらには失敗も俺のせいにされる。

俺「俺じゃないです。触って無いですから」
ハゲサイド「お前が来るまでなかったよ」
心「そんな~」
ピロリ菌「お前しかいないだろー」

俺の心は想像の10倍のスピードで粉々に粉砕されていった。
そんなメンタルの俺がした事・・・人生を大きく変えた。

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言われの無いハゲサイドの怒り、言われのない俺の謝罪

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