神デス-腐敗51 #06 運賃で生きる(職場篇)
◆セロニック Seronic=self (自己) + ironic(滑稽さ・皮肉)
俺の造語だ。
セロニック――絶望を、皮肉と笑いに変える発酵菌だ。
セロニックとは、怒りや恥や後悔を、滑稽さとともに時間と熱で熟成させ、
やがて笑いと諦観の香りを放つ“人間の納豆”へと変えていく心の酵母。
この記録は、実話として綴られた皮肉な発酵過程の観察日誌。
名を──「神のデスギフト腐敗51」。
◆運賃で生きる(職場篇)
俺の生活費は食費と日用品代合わせて月15000円だった。
食費だけにしたって1日で500円、3食。
東京の食べ物は高い。
しかし、仕事で先輩たちのお使いが多いことを俺は活かした。
仕事で頼まれる時は、2駅くらいは歩く。
普通ならば電車で行かないと辛い距離だが、俺は歩く。
これを会社に請求した。
往復300円ゲットだ。運のいい日は500円にもなった。
荷物運びは俺の本業となった。
しかし、本来の本業のスキルからは遠ざかる。
俺「これじゃ漬かる物も漬からない」
これは俺が会社を辞める3ヶ月前に気づいたこと。
神はまるで、
俺の財布を使って社会実験でもしているようだった。
一日に稼げる“往復300円”が、俺の存在価値の証明書。
——セロニックとは、
自分の貧しさを笑いながら、神に領収書を切る行為だ。
俺は笑った。
笑えば、胃の中の空気が減って、少しだけ満腹になった。
◆次回予告
腐敗.07 朝食のパン(職場篇)
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