神のギフト外伝#3 歩き始めてわかった確実に“発酵させられている”要素
◾️ウォーキングという名の“緩やかな処刑”
俺は歩くという行為を、完全に舐めていた。
俺「なんだよ、歩きって。人類全員やってるやつだろ」
そんなものが、壊れた俺を修復する?
そんな都合のいい話があるか。
だが、医者は言った。
「歩いてください」
この一言が、妙に逃げ道を塞いだ。
俺は嘘が嫌いだ。
というより、嘘をついた後に体の奥に残る“罪悪感”が耐えられない。
俺「やるしかないのかよ…」
時間だけは腐るほどあった。
いや、正確には、、、腐っていた。
◾️氷点下の中で始まる“発酵準備”
3月上旬。
雪。氷点下。朝の空気は刺すように痛い。
俺はルールを決めた。
「太陽が出てる日は行く。雨と雪は免罪」
これは逃げではない。
“発酵に必要な環境設定”だ。
そう思い込まないと、やってられなかった。
◾️10日目:ただの苦行
俺「…意味あんのかこれ」
何も変わらない。
ただ寒くて、ただ疲れる。
むしろ確認できたのは一つだけだ。
「俺は相変わらず壊れている」
「治っちゃいない」
◾️20日目:異常発酵の兆候
ある日、違和感が出た。
俺「……速い?」
いつものコース。
同じ距離。
同じ俺。
なのに、時間が縮んでいる。
しかも、楽だ。
これは“努力の成果”ではない。
体の動きが最適化されている
まるで、見えない何かに
歩かされているような感覚だった。
不気味な違和感を感じずにはいられなかった。
◾️30日目:数値という裏切り
体重計に乗る。
俺「……は?」
2kg減。体脂肪率も低下。
食事は変えていない。
何もしていない。
ただ、歩いただけだ。
鏡を見る。
そこには、
“ほんの少しマシになった俺”がいた。
気持ち悪かった。
◾️40日目:支配の完成
夜、寝れる。
朝、起きれる。
午後、落ちない。
俺「……は?」
これは、あの有名なやつか。
セロトニン。
体内時計。
人間が“まともになる仕組み”。
つまりこれは——
俺が人間に戻されているということだ
◾️最も危険な変化
そして、一番ゾッとしたのはここだ。
歩かない日。
体が、重い。
気分が、沈む。
そして思う。
「歩きたい」
俺「……は?」
欲求になっている。
あの“意味のない行為”が、
今や俺の内部から要求されている。
◾️結論:発酵は完了しつつある
俺は理解した。
これは回復じゃない。
発酵だ
日光
規則
歩行
これらをエサにして、俺の中の“何か”が増殖している。
俺「俺の中の酵母が…勝手に働いてやがる…」
気づけば今日も歩いている。
体重はさらに落ち、腹は割れ始めている。
筋トレなんてしていない。
ただ、混ぜられただけだ。
◾️神のデス・ギフト
これは恩恵か?
違う。
これは強制だ
ゆっくりと、確実に、逃げられない速度で
“まともな人間”に近づけられていく。
腐る自由すら、奪われながら。
しかも負荷がない日は、前向きな気持ちになっている。
俺の回復は、静かに進んでいる。
いや——
進められている。神と菌に。
そこは、もう疑わない。
この続きは、また書く。
いいなと思ったら応援しよう!
もし神のデスギフトが少しでも「面白かった」と感じていただけたら、下の「サポートする」から応援していただけると、次回の記事作成の大きな励みになります。
よろしくお願いします。