鼻の高い父と、足の人差し指だけ長い私
深夜1時。
私はパソコンの前で、
父の鼻について考えていました。
原因は、AIです。
いや。
正確には、足の人差し指です。
前回、私は自分の足がギリシャ型
だという話をしました。
親指よりも人差し指が長い。
ただそれだけの話です。
ところが、靴下の中でひっそり
暮らしていた人差し指は、
私の頭の中で家系図の扉を
開けてしまいました。
そういえば、父の鼻は高い。
父の横顔を見ると、鼻が
やけに堂々としています。
しかも、背も同じ年代の人と
比べると、そこそこ高い。
そして、足はギリシャ型です。
そして、父の妹である叔母も
そうです。
若い頃の写真を見ると、
日本人離れした雰囲気が
あります。
若いころ、近所の洋服屋さんに
モデルを頼まれたことも
あるそうなのです。
近所の洋服屋さん。
パリコレではありません。
ミラノでもありません。
でも、ご近所であっても、
モデルを頼まれる時点で、
かなりのものです。
私はこれまで、近所の
洋服屋さんにモデルを
頼まれたことはありません。
服屋さんで言われるのは、
せいぜい
「こちら試着できますよ」
くらいです。
さらに、父の弟である叔父も
鼻が高く、背が高い。
180センチ以上です。
父方の親族は、全体的に立体的です。
鼻が高い。
背が高い。
若い頃の写真を見ると、
どこか空気が違う。
それなのに、私はちびです。
顔も、かなり平々凡々な日本人顔です。
欧米感は、1ミリもありません。
もちろん、顔に凹凸がないわけでは
ありません。
人間として最低限の凹凸はあります。
私は、正面から見ても横から見ても、
安心感のある日本人です。
なのに、足の人差し指だけは長い。
なぜ、そこだけ似たのか。
顔ではなく、足。
鼻ではなく、人差し指。
身長ではなく、靴下の中。
父方の異国感は、私の顔には出ず、
靴下の中でひっそり前に出ていました。
私はAIに聞いてみました。
「父や叔母や叔父は鼻が高くて、
少し日本人離れした顔立ち
なんだけど、私は全然そうじゃない。
遺伝って、そんなにバラつくもの?」
AIは答えました。
「未桜さん、顔立ちや身長は
複数の遺伝子と環境の影響を
受けるため、親族の特徴が
そのまま自分に現れるとは
限りません。
祖父母やそれ以前の特徴が、
一部だけ現れることもあります」
家系の特徴は、きれいに並んで
降りてくるわけではないようです。
でも、足指のギリシャ型だけは
遺伝しました。
そこに何の意味があるのかは、
わかりません。
というより、たぶん何も
意味していません。
それでも深夜1時の私は、
意味のないものに意味を
見つけようとしていました。
でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。
家族の特徴というものは、
思ったよりきれいに出る
わけではない。
鼻が高い人がいる。
背が高い人がいる。
写真だけ、やけに雰囲気の
ある人がいる。
そして私は、なぜか足の
人差し指を見ている。
無敵だ。
最強だ。
血筋の話をしているようで、
実際には、私が家族の特徴を
勝手に拾い集めていただけです。
私は、自分の顔に欧米感が
ないことを、そこまで残念に
思っているわけではありません。
ただ、父方の高い鼻と背の高さを
見ていると、もし何か受け取れる
予定だったなら、同じ方向性で
お願いしたかっただけです。
とはいえ、私の足の人差し指は、
今日も前に出ています。
ただ、この話には続きがあります。
足指から父の鼻に話が飛び、
そこから私は、さらに余計なことを
父に聞いてしまったのです。
「うちって、外国の血が
混じってるの?」
すると父は、思ったより
あっさり言いました。
「ロシアの人がいたらしいよ」
私の足指から始まった話は、
なぜかロシア方面へ向かい
はじめました。
