AIに横断歩道を描かせたら、誰も渡らなかった
深夜1時。
私はパソコンの前で、
Kindle本について考えていました。
原因は、AIです。
いや。
正確には、無料クーポンです。
最近、noteを見ていると、
講座を作っている人の記事を
よく見かけます。
読んでいるうちに、私は思いました。
noteに来ている人は、全員、
一回くらい講座を作ってみても
いいのではないか。
日常の気づき。
好きなものの話。
失敗談。
変なこだわり。
そんなことを考えていたところに、
いつも読んでいる、ことのはさんが
無料クーポンを配っていました。
Kindle本出版講座。
私は、さっそくいただきました。
無料という言葉には、人を
すばやく動かす力があります。
講座を見終わった私は、思いました。
Kindle本、出せるのでは。
以前、私は刀で一攫千金を夢見ました。
そして、夢破れました。
刀がだめなら、Kindle本。
もしかしたら、もしかするかもしれません。
もちろん、無理なことはわかっています。
わかっていますが、
「無理」と「もしかしたら」の間には、
人間が深夜に落ちる細い溝があります。
私は、その溝にいました。
もちろん、ことのはさんは
一攫千金の話などしていません。
むしろ、本を出版するということが、
人生でどのような意味を持つのか、
丁寧に説明されていました。
ただ、私の頭の中では、
講座を見終わった瞬間、
なぜか小判が降り始めていました。
無料クーポンを受け取っただけの
人間が、勝手に出版長者への道を
歩き始めたのです。
とはいえ、いきなり私のくだらない話を
Kindle本にしても、誰が買うのでしょうか。
深夜にAIと話して、精神的に無敵に
なっている人間の話です。
かなり限定的な需要です。
そこで私は、現実を見ることにしました。
いま、日本は海外の人に人気があります。
インバウンドです。
海外の人は、日本らしいものに
興味があるかもしれません。
では、日本らしいぬり絵を作って、
海外向けにKindleで出せばいいのでは。
私は、かなり現実的な方向へ
舵を切ったつもりでした。
富士山。
桜。
忍者。
寿司。
そのあたりは、もう強すぎる先輩です。
正面からぶつかっても勝てません。
私は、もっと日常の日本を
狙うことにしました。
海外の人から見ると、
ランドセルが人気らしい。
黄色い帽子をかぶった小学生も、
日本らしい風景に見えるかも
しれません。
雨の日。
ランドセル。
黄色い帽子。
横断歩道。
これはいける。
私は、AIに、まず、
ぬり絵の元になりそうな絵を
お願いしました。
AIは、すぐに絵を出してくれました。
そこには、黄色い帽子を
かぶった小学生がいました。
しかし、なんだか様子が変です。
誰も、横断歩道を渡っていません。
いや、横断歩道の上にはいるのです。
ところがAIの絵では、横断歩道が
ただの白いしましま模様として
認識されていました。
そして、子どもたちが一列に
並んでいました。
雨の日の通学路というより、
行進です。
黄色い帽子をかぶった小学生たちが、
横断歩道の意味を忘れたまま、
しずしずと前へ進んでいます。
どこへ行くのでしょうか。
学校ではなさそうです。
少なくとも、横断歩道の向こう側では
ありません。
不穏な空気。
私は、なぜか、ハーメルンの笛吹き男の
話を思い出していました。

もう一枚は、さらに不穏でした。
たくさんの小学生。
おそろいの傘。
雨の中、なぜか悠々と
傘をささずに歩く2人。
誰一人いない歩道。
途中で消えた横断歩道の
白い線。
そして、なぜか相合傘が
発生しています。
女子二人の相合傘。
男女二人の相合傘。
私は、海外向けの日本の
ぬり絵を作ろうとしていたはずです。
なのにAIは突然、雨の日の
小学生たちに青春を始めさせました。
しかも、その青春が向かっている先に、
車がいます。
横断歩道を渡る気配はありません。
むしろ、子供たちは、止まった車に
突撃するつもりです。
そして、よく見ると車には人が
乗っていません。
自動運転でしょうか?

私は、静かな日本の日常を
作りたかったはずです。
ランドセル。
黄色い帽子。
雨。
横断歩道。
たしかに、AIは全部入れてくれました。
でも、全部入れた結果、
誰も渡らない横断歩道が生まれました。
でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。
AIは、横断歩道を描けます。
でも、横断歩道の意味、
横断歩道の渡り方まで、
正しく知っているとは限りません。
無敵だ。
最強だ。
Kindleで一攫千金を狙う道は、
思ったより細い。
しかも、その道には雨が
降っています。
横断歩道もあります。
無人の車も来ています。
そして、AIの小学生たちは、
なぜか全員、渡るべきところを
渡ってくれません。
私は黄色い帽子をかぶって、
もっと慎重にプロンプトを
作ろうと思います。
