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【企画参加】時処位

惰性が働くと
真ん中のレベルだけ
教えたいと思うのですがね。


今年度、
私が授業で日本語を
担当するクラスは4クラスです。

2年生はそれぞれ
午前と午後でレベルが
1番上のクラス、

1年生はそれぞれ
午前と午後でレベルが
1番下のクラスです。

この学校はマンモス校のため
1番上と1番下で
天と地の差があります。


2年生、午前クラスは
最強集団。

なんとネパール人で
1年生のときに
日本語能力試験の最高レベル
N1を取得した学生が

2人もいます。

N1というのは
日本語能力が
日本人と大して遜色ないレベルです。


N1は難解な長文読解を
何問もこなさなければならないので、
漢字を使わない国の学生が
専門学校1年生つまり
来日2年ちょっとで取得するのは
全国的に見ても
珍しいんじゃないかしら。


もちろん中国人学生で
N1取得者もちらほらと。

他の学生も負けず劣らず。

このクラスの学生は

「納豆は嫌いです」
ではなく
「口に合いません」と言います。

「なくしました」
ではなく
「紛失しました」と言います。

「優しいですね」
ではなく
「寛容ですね」と言います。


日本人の皆さん、
日本語の語彙力、負けていますよ!
私も含めて!


午後の2年生は1年生からの
持ち上がりで
こちらも史上最強集団です。

半分以上、N1取得者。

なんですけどね、私は知っている。
このクラス、ねっとりと
変なんだ😆

隣のクラスに集団で喜んで
喧嘩を売りに行き、

60代の教師に
ラブレターを出すも振られ
しつこく何回も出し続けたら
全担任教師に
ストーカー要注意人物の
レッテルを貼られた学生がおり、

学生同士で喧嘩勃発し、
学期途中でクラス替えさえ
余儀なくされて

ブラックジョークが大好きな、

担任の先生まで
「毎回、何なのよ!」と
喜んで手を焼いている
濃厚なクラスです。

だいぶ変なのですがね、
(決して私に似たのではない)

それでもレベルが高いのは
間違いありません。

昨日は2年生とは
「ノルウェイの森」や
星新一の本、
振袖の話で盛り上がりました。


このレベルを教えるのは
常に緊張します。

日本語能力が高い学生は
他の何かも通じていることが多く、
このレベルの学生は
私より人格者である人も
ザラにいます。

この集団を
少なくとも授業中90分は
引っ張らなければならない。


いろんなことを知っていて
納得できる考え方を提示できる
教師でいなければならない。

「えー、知らなーい」
じゃ、済まされない。

例文を、時事を交えて出し
知っていることを発言させて
プライドをくすぐる。

新しい世界を見せて
知識欲を引き出し

「今日も勉強になった」って
思わせる。


少なくともそういう心持ちで
日々、
アンテナを張り
インプット&アウトプットを
続けなければならない。

対して1年生は
午前も午後も
日本語のレベルが1番下です。

私のスケジュールは

1限:1年生(1番下のクラス)
2限:2年生(1番上のクラス)
3限:1年生(1番下のクラス)
4限:2年生(1番上のクラス)


次の授業が始まる15分の間に
話し方をガラリと変えます。


これがね、
慣れない新年度は
いつまでたっても難しいです。

今年の1年生は
昨年度よりもレベルが低いです。
あくまで日本語能力だけの話ですが。


入学当初は
学生も緊張しているので
私は自己紹介のときに
学生の言語数か国語で自分の名前を
ズラリと黒板に書きます。

これが会話のタネに
なるんですね。

普通レベルのクラスなら

「先生!シンハラ語!すごい!」

とか

「どこで覚えましたか?」

と、声が出て、
学生同士で会話の花が咲きます。

午前クラスは
例年通り、
これで盛り上がってくれました。

だけど、
今年の午後クラスの場合。

書いていると
反応はありました。
くすっと笑って。

でも、声が出ない。


会話が慣れていないクラスです。

次に、いつものやり方で
プリントに
学生の国のことばで
「すばらしい」と書いて
返却しました。

学生のことばで
「すばらしい!」と言いながら。


そうすると大抵

「先生、上手ですね!」

とか

「字がきれい!」

とか

たまには

「先生、これ意味わかって書いてんの?」

とか

何かしらの反応があります。

だけど今年の午後クラスの1年生は
ふふっ、と笑って終わり。

ああ、これは
会話に慣れないまま
入学してしまったんだな、
と思いました。

即座に反応できないんだ。


こうなるとたくさん
会話のタネを
蒔かなければなりません。



昨日は着物で
授業しました。

私の着物姿に
慣れている2年生はともかく、

入学したての1年生の場合、
午前クラスはいろいろと
話しかけてくれました。

午後クラスはそれでも
あまり声が出ません。

会話を出させるために
一人ひとりに声かけして
ゆっくり反応を待って
その繰り返しです。

授業も
質問しても返って来ないので、
それなら
コーラスで日本語を
話させる機会を増やします。

コーラスって、ほら
英語の授業なら
"repeat after me"ってやつですよ。

みんなで例文を読むんです。


初級は置いておいて
レベルが高くなってくると
あまりやらなくなるのですが、
そうでもないクラスには
コーラスでも何でもして
日本語の会話脳を
作らなければなりません。

ぽんと会話が出るようになるまで
いろんなタネを蒔かなければ
なりません。


このクラスは
日本語の語彙力も
まだまだです。

「もちろん」が分からない。
「関係ない」も分からない。

こういうクラスは
媒介語も分からないことが多く、
英語も理解出来ません。

全てが繋がって
しまっているんですね。
良くも悪くも。


レベルが中間のクラスなら
楽だったな、と
余裕のない時は思います。

中間のクラスは
授業は理解出来るけど、
難解な内容、例えば
政治や世界観、文化思想のような話は
触れてきません。

今年、小4のチビの
担任になった先生が
新卒で恐らく1年目なのですが、

新人の時は私も
真ん中を持たされることが
多かったな。

あれは、
考慮してくれていたんだな。



さて、
いつだか雑誌で
茶道の家元のお話が
出ていたのですがね、


そこにこんなことばが
書いてありました。

「時処位」

3つの間、のことです。

日本は結界文化で
例えば玄関のたたきも
のれんも
敬語も、
結界つまり
「相手との適切な距離感」を常に
考える文化ですが、

時処位はそれを
学ぶためのことばです。

時は、タイミング。
処は、スペース。
位は、相手との関係性。自分の立場。

相手にとって
ちょうど良いだろうか。
合っているだろうか。
しつこくないだろうか。
空きすぎていないだろうか。



私は10年以上
この仕事をする者として
「位」を考え、
それに相応しい人物で
いるべきで


1年生と2年生では
「時」も「処」も
変えなければなりません。


ちょうど良い時、
例えば
1年生にはコーラスを
たくさんさせて
2年生は応用会話を。

ちょうど良い距離感は
これは
学生によって詰めるか離れるか
決める必要もありますね。

または、
教師が踏み込まず
学生に任せるかどうかの見極め。


内容も、
1年生ならアニメを
2年生なら時事を入れる。


学生によって
最適なものに変える。

同じことだけを
繰り返していれば
良いのではなく、

自分の立場も変わるし
相手も変わる。

これが私は
常に出来ているでしょうか。



それを省みるために
「時処位」ということばを
忘れないようにしていきたいです。





こちらはゼロさんの企画に参加するものです。
皆さんの「言葉」も
よかったら教えて下さい。


ゼロさんの企画は
やる気が出るものが多く、
参加すると掴めるものがあるなと
しみじみ感じます。

例えば、こちら↓は2年前の
同じ企画に参加した記事ですが、

先日、ゼロさんの企画紹介の記事で
思い出して
新年度の授業でまた
気をつけるきっかけとなりました。

ゼロさん、
いつもありがとうございます😊


#心に残る言葉2025

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みおいち@着物で非常勤講師のワーママ ありがとうございます!頂いたサポートは美しい日本語啓蒙活動の原動力(くまか薔薇か落雁)に使うかも?しれません。