Mionの歌詞から啓く|YOASOBI『オリオン』を読む——見えない想いを、なぞる
まずは、曲を聴きながら読んでもらえたら嬉しいです。
この曲の夜空に、少しだけ一緒に立ち止まってみます。
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① はじめに
このシリーズでは、歌詞を「正解」として読むのではなく、
そこから自分の中に生まれた小さな気づきを拾っていきます。
歌を聴いて、少しだけ立ち止まる。
その時間を、Mionは哲学と呼んでみたい。
今回読んでみたのは、YOASOBIの『オリオン』です。
この曲を聴いていて、私はひとつのことを考えました。
離れているように見える人たちは、
本当に離れているのだろうか。
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② 『オリオン』を読む
夜空に浮かぶ星は、近くに並んでいるように見えます。
けれど、実際には、
ひとつひとつの星は遠く離れた場所で光っています。
オリオン座も、そうした星の並びから見つけられる星座です。
星と星のあいだに、
目に見える線があるわけではありません。
それでも私たちは、その光の並びに形を見つけます。
『オリオン』では、人と人との関係も、
この星のあり方と重ねられているように感じます。
歌の中では、分かり合いたいのに分かり合えない関係が描かれます。
変わりたいのに、変われない。
分かりたいのに、分かりきれない。
想いがあるのに、すれ違ってしまう。
近くにいるようで、
心の距離は遠い。
そんな二人は、ひとつの星ではなく、
別々の星として描かれます。
二つの恒星
同じ光になることはできない。
同じ痛みを、同じように背負うこともできない。
それぞれが、それぞれの場所で光っている。
だから、表面だけを見れば、
二人は離れているように見えます。
言葉は届かない。
想いはすれ違う。
過去の約束も、ほどけてしまったように見える。
けれど、この曲は「離れてしまった」で終わりません。
歌の後半では、幼い頃の記憶や、抱きしめてくれたぬくもり、帰ってくるという約束が思い出されていきます。
それらは、目に見えるものではありません。
けれど、消えてしまったわけでもありません。
二人のあいだには、見えない想いが残っている。
だからこそ、この曲は「新しくつなぐ」のではなく、
すでにそこにあったものを、もう一度たどっていきます。
なぞれば
この言葉があることで、曲の印象は大きく変わります。
関係を無理に結び直すのではない。
離れて見えなくなった想いを、
指先で星をたどるように、もう一度たしかめていく。
英語の歌詞でも、語り手はすべてを分かっているわけではありません。
君が何を背負っているのか。
どんな痛みや後悔を抱えているのか。
それを完全に理解することはできない。
それでも、二人をつないでいるものが消えていないことは見えている。
分かりきれない。
でも、見失いたくない。
その想いが、曲の後半でひとつの言葉に向かっていきます。
一人きりじゃないんだよ
表面的には離れている。
けれど、見えないところでは、
まだ想いが残っている。
『オリオン』は、離れてしまった人を無理につなぎ直す歌ではなく、
もう消えてしまったように見えた想いを、まだそこにある光としてなぞる歌なのかもしれません。

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③ 歌から啓く哲学
見えない想いは、人をつなぎとめることがあるのだろうか。
『オリオン』を聴いていて、私はそんなことを考えました。
私たちは、目に見えるものを頼りにしてしまいます。
そばにいること。
言葉を交わすこと。
同じ時間を過ごすこと。
もちろん、それは大切です。
けれど、人と人とのつながりは、
それだけでできているわけではないのかもしれません。
離れていても、思い出していることがある。
言葉にできなくても、残っている気持ちがある。
もう届かないように見えても、
まだ心の中で光っている約束がある。
それは、外からは見えません。
誰かに説明することも難しい。
でも、自分の中では消えていない。
だから人は、ときどき夜空を見上げるのかもしれません。
そこに本当の線がなくても、
星と星のあいだに形を見つけるように。
目には見えない想いのあいだに、
まだつながりを見つけようとする。
『オリオン』は、離れた人を無理につなぎ直す歌ではない。
むしろ、
離れているように見えても、
本当は消えていなかった想いに気づく歌なのだと思います。
つながりは、いつも見える形でそこにあるわけではない。
でも、見えないからといって、
そこにないとは限らない。
誰かを想うこと。
誰かが自分を想ってくれていたと気づくこと。
その見えない光を、もう一度なぞること。
そのとき人は、
ひとりきりではなかったのだと、
少しだけ思えるのかもしれません。
離れているように見える。
でも、見えない想いはまだそこにある。
オリオンとは、
その見えないつながりを、
もう一度なぞるための星座なのかもしれない。

