見出し画像

【読書感想】「暗幕のゲルニカ」を読んで

こんにちは。ドイツのミュンヘン在住miraです。
お越しいただきありがとうございます♪

日本に行く直前に友人が1冊の本を貸してくれました。
原田マハさんの「暗幕のゲルニカ」。

紀伊國屋のリンクはこちら🔗

ピカソの《ゲルニカ》を巡って二つの時代が交錯しながら物語が展開していく、原田マハさんらしいアート小説です。

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑶子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑶子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒涛のアートサスペンス!

内容紹介より

先週読んだ「たゆたえども沈まず」も史実にフィクションを交えた作品でゴッホにまつわるアート小説でしたが、今回の「暗幕のゲルニカ」はピカソです。

私はアートには全く詳しくなくて、正直に言うとピカソだって《ゲルニカ》くらいしか思い浮かばない程度でした。だからこそ、この作品を読んで《ゲルニカ》が描かれた背景やピカソの女性関係など、初めて知ることが多く、とても勉強になりました。

20世紀パートの主人公、ドラ・マールについても本作で初めて知りました。
彼女は写真家で、ゲルニカ製作当時はピカソの恋人だったため、アトリエでの様子を数多く写真に収めていたそうです。
約7年間ピカソの愛人だったものの、別れた後は精神的に不安定になり、晩年はやや孤独だったようです。

作中の架空人物、パルド・イグナシオが本当に実在していたなら、ドラの良き理解者としてそばにいて、彼女の人生もまた違ったものになっていたかもしれませんね。

それはさておき、「暗幕のゲルニカ」の中で描かれるドラは、凛として強い女性として浮かび上がってきます。
ピカソをそばで支えながらも自立した一人の女性という感じ。でももう一人の愛人マリー・テレーズとバチバチのバトルを繰り広げたり、ピカソがいなくなった後のことをひそかに不安に思ったりする場面では、素直に愛情を表現できない勝ち気な一面も垣間見えます。

戦争やテロに対するメッセージも物語を通して強く伝わってきました。
冒頭に引用されるピカソの言葉
「芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ。」
この一言を、まさに一冊の小説として結晶させたような作品だと思います。

ファシズム台頭から第二次世界大戦へと突入していったあの時代と、アメリカ同時多発テロから中東へと向かった報復の時代。さらに現在も、ロシアとウクライナの戦争、中東で続く衝突など、戦争は絶えることがありません。
戦争の背後には大きな利権が絡んでいるから、いつまでもなくらないのかもしれません。
それでも、ピカソの渾身の作品があってもなお争いが繰り返される現実を見ると、アートの力って虚しくて非力なんじゃないのか…と少し悲しくなってしまいます。

でもオリジナルを目の前にしたときに心を揺さぶられる人は、きっと今もたくさんいるはず。
美術館には普段あまり行かない私ですが、アートを通じて思考を深めることの大切さを、今回あらためて感じました。

余談ですが、以前オーストリアのベルヴェデーレ美術館で、初めてクリムトの《接吻》を見たとき、あまりの美しさにしばらくその場から動けなくなったことがあります。
たった一枚の絵が人の心を大きく揺さぶる。
そんな瞬間が本当にあるんだと、自分の経験からも実感しています。

実在の人物やエピソードに架空の人物を巧みに織り交ぜたストーリーと分かっていても、「原田マハさんって、もしかしてタイムマシンに乗ってあの時代を見てきたのでは…?」と思うほどリアルに描かれていて、どこまでがフィクションなのか混乱してしまいます。
21世紀パートの主人公・八神瑤子がテロ組織に拉致されるくだりは、さすがにフィクション感たっぷりでしたが(笑)。

ひとつ疑問だったのは、もしパルドが架空の人物なら、実際には誰がピカソの絵画を守ったんだろう?ということ。

それから、「ゲルニカ」に暗幕がかけられたという出来事についても、結局誰の手によるものだったのかは作中でも明言されないまま終わって「あれ?」と思いました。ただ、調べてみると、これは実際に起こった事件で、今もなお真相は不明だそうですね。この謎をきっかけに、原田マハさんはこの物語を書かれたのだとか。

現実の世界でも、物を言わないアートすら「口封じ」されるのだとしたら…。
やっぱりアートは、決して非力なんかじゃないのかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いしましょう♪Tschüss!


いつもスキやコメントありがとうございます♡
とっても嬉しいです!
フォローも大歓迎♪




原田マハ作品…やっぱり好きです♡
こちらも良ければぜひ!

こちらもアート小説。良かったです!


本記事はAmazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

いいなと思ったら応援しよう!

mira | ドイツ暮らしライフログ 応援していただけるととっても嬉しいです♡ 書籍代としてありがたく、大切に使わせていただきます!!