ウユニ(ボリビア)の雑記|海外ひとり旅
ウユニ塩湖に絶対行きたかったかというと、そうでもなかった。
ただ、ペルーとブラジルに行くのであれば、ウユニをスルーするのも勿体ない気がして旅程に組み込んだ。
結論としてはもちろん、行って良かった!
ウユニには飛行機の関係で3泊4日することになっていたので、初日はホテルでゆったり過ごし、2日目か3日目で天候をみながらツアーに参加しようと考えていた。
朝8時半ラパス発の飛行機に乗る。客席には東アジア人が9割。韓国人が圧倒的に多いが、中国人と日本人もそれなりに。雨期のウユニ塩湖は、雨水が溜まり鏡張りが出来るのだが、これは特にアジア人に人気だそうだ。西洋人はむしろ水が無く真っ白になる乾季のウユニ塩湖が人気だそうで、この感覚の差は面白い。
ラパスからウユニまでは1時間。飛行機が降下している時に窓の外を見ると、真っ白な地面が広がり、まもなく美しい鏡張りが見えてきた。
飛行機の汚い窓越しでもキラキラ輝いており、思わず写真を撮ると、隣に座っていた日本人女性も気づき、それがきっかけで少し話をした。
彼女はツアーで来ており、ツアーガイドが言うには、昨日雨が降ったため、今日の湖の状態は良さそうとのこと。
それを聞いて、到着したらすぐツアー予約しようと決めた。
空港に到着すると、周囲は土埃の舞う茶色い土地が広がり、文字通り何もない。韓国人のおじさんたちが慣れない(?)日焼け止めで真っ白な顔をしている。私も倣って厚めに日焼け止めを塗りなおす。
バスもUberも無いので、停まっているタクシーで中心部まで向かう。
ホテルチェックインまで時間があったので、荷物を預け、日本人からの支持が厚いツアー会社、Hodakaのオフィスに向かう。当日16時半から22時までの、夕焼けと星空を見るツアーにした。
現地通貨ボリビアーノだとクレジットで315bs、ドルだと現金で35$と言われ、念のためレートを計算すると圧倒的にドルがお得。昨日行った空港近くのカフェの値段がやたら高く、違和感を覚えたことを思い出した。ボリビアーノはインフレしてる?とりあえずドル払いをした。
ちなみに、ホテル料金もドル払いだったのだが、ホストからお釣りはボリビアーノで良いか?と聞かれた。やっぱり…と思いつつ、ドルでもらった。 調べると、ボリビアでは外貨が不足しており、ドルの闇レートは正規の1.5~2倍近い値が付くこともあるらしい。エネルギー価格高騰もあり厳しい経済状況のようだ。
ホダカのオフィスを出て少し歩くと、大きな通りでマーケットが開いており、あらゆる日用品や食料品がところせましと並んでいる。
放し飼いの犬(もしくは野犬)と地元の人ばかりで、観光客らしき人はほぼいない。
ウユニの町は砂埃がひどい。風が吹くと砂が舞うので鼻と口を覆うと、高地なので途端に息切れする。顔も口もジャリジャリになるか、動悸しながら歩くかを取らなきゃいけない。
また建物やインフラはボロボロ、一筋違う道に入るとほぼ人がおらず、真昼間でも歩くのを躊躇してしまうような雰囲気だ。
通りによってはいかにも観光地のような店が並ぶ場所もあるが、小さな小さな町だった。


昼ごはんを求めていくつか店を覗いてみるが、客が全くいないか、観光客向けでかなり高いかで決めかねる。できればボリビアらしい料理が良いが、メニューを見てもよく分からない。
道の角に黒板が出ており、何かのスペイン語と12bsと書いてあるのを見つけた。薄暗い店内には複数の客がいる。12ボリビアーノス、264円だったら地元らしいごはんだろうと思い、店員に身振りで入れるか聞いた。
何しに来た?みたいな怪訝な顔をされたので、試しにポルトガル語で昼食、almoco por favorと言うと通じたようで無事席に座れた。
(私はスペイン語は一切できないが、似た言語のポルトガル語を3か月ほど勉強しており、挨拶程度はわかる。ペルーもボリビアもなかなか英語が伝わらないが、ポルトガル語で言ってみると結構察してくれるので有難い)
メニューはなく、すぐにスープパスタとパンが出てきた。
周りの人は別の料理も食べている。スープを食べ終えてキョロキョロしていると、店員が来て早口で何かを言った。恐らくメインは何にするか?みたいなことだろう。唯一聞こえたピカンチという言葉がポルトガル語のpicante(辛い)に似ていると思い、picante por favor というと、了解!みたいな反応で玉ねぎと鶏の煮物が出てきた。全く辛くなかった。
メインに加え、ごはん、ジャガイモ、白い飲み物が出た。味付けは薄い塩味で、やや物足りない感じ。白い飲み物は少し甘く香りが薄い。ごはんはパサパサで喉を通らないが、ジャガイモは頗る美味しい。
店内は散らかってボロボロで、ハエが飛び回っており、コップは欠けて汚れているが、引きも切らず客が入ってくる。コスパの良い人気店なんだろう。
食べている途中、店の主人の子供だろうか、5歳くらいの女の子がhola!と声をかけてきて、くりくりの大きな目を輝かせじっと見つめてきた。こんな薄い顔の人間は珍しいのだろう、笑顔で挨拶すると、それからもちょくちょくこちらへ来ては、何か言いたげな顔でニコニコしていた。少しでも話せれば良かったな…


まだツアーまで時間がある。
町の中心地に低い階段があったので、そこに座って行き交う人をぼんやり見ていた。
先住民族系の顔立ちが多く、いわゆるメスティソはペルーより少ない気がする。背は総じて低く、女性は例外なく髪を腰くらいまで伸ばしている。若い子は端正な顔立ちをしており、お年寄りは民族衣装を着て、日焼けと皺で表情が分からない。
30歳くらいの男性と2歳くらいの女の子が階段に座り遊び始めた。女の子がいないいないばあを繰り返し、その度に男性が大げさに反応し、女の子が笑い声を上げる。その子は1歳の姪っ子にそっくりで、あまりにかわいくて見ていたら男性も笑顔を返してきた。
携帯にある姪の写真を男性に見せてminha sobrinha(私の姪)と伝えてみた。『似ている』は分からなかったので手振りで理解を求める。男性も女の子と自分の関係性を教えてくれた(まあ父親と娘だろう)。
英語でどこから来た?と聞かれ日本だというと、自分と女の子を指して、uyuniと言った。そうなの!ウユニ初めてだけど良い町だね、と言った。伝わってると良いな。
16時半からのツアーは最高だった。
ウユニ塩湖はもともと海底だった。
アンデス山脈の隆起と共に海水が山の上に取り残され、地形により水が流れ出ることが無く蒸発し、塩分が堆積し続けて出来たらしい。東京都の約5倍の面積があるというから驚きだ。
この日は5センチくらいの水が溜まっており、少し舐めてみると、食卓塩のような直接的なしょっぱさではなく、ミネラルたっぷりの塩水の味がした。
そしてこの日は、鏡張り、夕焼け、満点の星空、全部見れた。運が良い。
適当に雲があり、風のある日だったので、どの景色を見ても飽きず、空の色の変化もじっくりと味わえた。
なによりも、Hodakaツアーのガイドがプロフェッショナル過ぎた。
写真・動画撮影の時間をたっぷり取って、(彼が)納得いくまで素敵な写真を撮ってくれるのだ。
私が参加したツアーでは、湖の中に3時間半ほど立ちっぱなし。風は強いし、長靴を履いているとはいえ水は冷たいし、そもそも富士山の標高の空気の薄さだし、グループ撮影においてはアクロバティックなポーズを何度も要求されるし、とにかく体力がいるものだった。
全身の筋肉を震わせながらガイドの指定するポーズに耐えると、ネットでよくみる、夢の中のような写真や動画が出来上がる。
正直もう写真は必要ないけど、一緒に来ている他5人のためにも撮影の戦線離脱は出来ない。極寒の中そんなことを考えていると、あれ、真面目で空気を読む日本人だからこのツアーは成立するのでは…?と思ったりした。
偏見だが、ラテンアメリカやヨーロッパの人がこんなことをするとは思えない。
これは、映える写真を撮りたい日本人のニーズと特性にドンピシャなツアーなんだと理解した。



そんなこんなで、16時半から22時まで、何も食べずトイレもにも行かずの過酷なツアーは終了した。
一緒に行った日本人旅行者はとても良い人たちで話も盛り上がった。私以外の人たちは、他の時間帯のツアーもコンプリートしたいとのことで、早朝や丸一日のツアーも申し込むようだった。
冒頭に書いたように、私はついでで来たみたいなもので、運よく素晴らしい景色も見れたし、もう十分だった。
かくして、3泊4日のウユニ滞在では1日目でミッションを達成した。
残りの2日半では、ホテルでnoteを書き、飽きたら何もない町で砂埃にまみれながら散歩し、地元の人とコミュニケーションとも言えないやり取りをし、ホテルに戻ってのんびりと過ごすのであった。
この後はラパスに一晩泊まり、3カ国目はブラジル。気を付けていってきます!
