ぶった斬るシリーズ第102弾 「日本語、ルールあるのに崩れる理由」
♦️前書き
円形の会議室。
高い天井。
壁一面の観測装置。
中央には巨大な丸いテーブル。
そこでは、
観測会議が続いていた。
ミリムの提案により、
本日のテーマは決まっている。
――日本語。
誰もが日常的に使い、
疑うことのない言葉。
だがその中には、
まだ観測されていない
奇妙な構造が潜んでいる。
♦️登場人物紹介
ルシアン
冷静沈着な進行役。レガリアの観測会議を取り仕切る。いろいろ謎。
ガストン
豪快な人間だが書記。難しい話は苦手だが勘は鋭い。
レオ
好奇心旺盛な少年。純粋な疑問をぶつける役割。
アルベルト
論理的な研究者。物事を構造で理解しようとする。
ミリム
自称note作家。日本社会を知る案内役。少し皮肉屋だが面倒見はいい。
♦️第1章「日本語の不思議」
ルシアン
「では、本日の観測はミリムの提案でテーマは日本語」
レオ
「日本語ってそんなに不思議なんですか?」
ガストン
「がははは、言葉なんてどれも同じじゃないのか?」
ミリム
「そう思うよね!
でもね、日本語はちょっと違うんだよ」
アルベルト
「具体的には?」
ミリム
「じゃあ簡単な話からいこうか!」
ルシアン
「どういう話ですか?」
ミリム
「料理」
レオ
「料理?」
ガストン
「がはは、食い物か!」
ミリム
「みんな、日本の料理って……知ってるのかな?」
レオ
「直接は知りませんけど……」
アルベルト
「観測記録にはあります」
ルシアン
「確かに。映像として確認しています」
ガストン
「なんかうまそうなやつだろ?」
レオ
「はい!すごく美味しそうでした!」
ミリム
「じゃあいくよ?
エビを揚げたら?」
レオ
「エビフライですね」
ミリム
「じゃあ豚は?」
ガストン
「とんかつだな!」
ミリム
「うん。ここまではいいよね!
素晴らしい!よくわかってる!
じゃあイカは?」
レオ
「イカフライ!」
ミリム
「じゃあハムは?」
アルベルト
「ハムカツ…ですね!」
ガストン
「おい、統一されてないぞ?!」
レオ
「確かに…フライとカツが混ざってます」
ミリム
「そう。それが日本語」
ルシアン
「何か基準はあるのですか?」
ミリム
「一応それっぽいのはあるよ。
海鮮はフライ。肉系はカツ」
レオ
「なるほど!」
ミリム
「肉はカツ」
ガストン
「がははは、分かりやすいじゃないか!」
ミリム
「じゃあタコは?」
レオ
「タコフライ?」
ミリム
「違う。唐揚げ」
ガストン
「は?」
アルベルト
「なぜです?」
ミリム
「知らない。でもそれが普通」
レオ
「ルール崩れましたね…
そもそも唐揚げって何ですか?」
ミリム
「唐揚げ?
それ、今聞く?知らないの?
まぁいいや、それはまた今度。
私の記事読んでないの?料理の向こう側!
ちゃんと読んでね」
レオ
「すみません!まだ見てません!」
ミリム
「うーん。仕方ないか。
そっか、それなら仕方ないな。
また今度説明するから!!」
レオ
「お願いします!」
ミリム
「では、アルベルト!
ミンチにした肉を揚げたら?」
アルベルト
「それは簡単ですね。
ミンチカツ…?」
ミリム
「ブブー!残念!違うね!ハズレ!」
アルベルト
「なんですと?!」
ミリム
「メンチカツ!」
ガストン
「なんだそれは!!」
アルベルト
「ミンチではないのですか?」
ミリム
「ミンチだよ」
レオ
「じゃあなぜ…」
ミリム
「さぁ?」
(全員沈黙)
ガストン
「がははは!なんてこったい!」
レオ
「全然ルールになってませんね…」
アルベルト
「説明が成立していない…」
ミリム
「日本語ってさ、正しくなくても通じるんだよ。
不思議じゃない?
ちょっとズルいよね、こういうの。
矛盾してるのに矛盾してないみたいな。」
ルシアン
「……つまり」
アルベルト
「日本語には、
一貫した規則が存在しない」
ガストン
「がははは!
それでよく成り立ってるな!」
レオ
「でも、ちゃんと通じてますよね…」
ミリム
「ルールがあるから通じるんじゃない。
通じてるものが、あとからルールになる」
(再び、静寂が落ちる)
アルベルト
「……それはつまり」
ルシアン
「言語が、構造ではなく“運用”で成立しているということか」
ミリム
「そういうこと」
ガストン
「がははは!
面白い世界だな!」
レオ
「日本語って、難しいですね…」
ミリム
「うん。
だから面白いんだよ」
♦️後書き
こうして、日本語の観測は始まった。
そこにあったのは、
整ったルールではなく、
曖昧で、それでも成立している仕組み。
この違和感こそが、
日本社会を理解する鍵になるのかもしれない。
