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「女性限定公募に一言も言えない」若手男性研究者は、もうアカデミアで息ができない

沈黙の枷という名のキャリア保険

女性限定の教授・准教授ポストが発表されるたび、若手の男性研究者たちは胸の内でざわつく。理不尽だと思う。議論の余地すらないのかと疑問を抱く。でもその言葉は喉の奥で固まり、決して外に出ない。出せば推薦状が途絶え、共同研究の誘いが消え、次のポストが永遠に遠ざかるからだ。表向きは「キャリアのため」と言い訳しながら、心の底では「これでいいのか」と自問を繰り返す。そんな沈黙は、異端の叫びなんかじゃない。ただの生存戦略だ。家族を養い、借金を返し、研究を続けたい一心で、口を閉ざすしかない。

叫びが匿名にしかならない現実

女性限定枠そのものへの批判ではなく、「なぜ疑問を口にしたら生き残れなくなるのか」という構造への苛立ちが、匿名アカウントの短い呟きにしかなれない。永遠に続く、声なき抵抗の日々。それを「しょうがない」と飲み込む姿は、哀れを通り越して痛ましい。中堅や教授が代わりに発言してくれるのを待ちながら、若手は自分の本音を押し殺す。結果、問題は永遠に宙に浮いたまま、誰も触れられず、歪んだ制度がそのまま温存される。

抑圧の鎖が「現実的」と呼ばれるマジック

「議論は許されない」と周囲が言うのを、現実的だと受け入れる声が聞こえる。でもそれは違う。ただの抑圧の鎖だ。本物の対話が封じられ、迎合と沈黙だけが残る。流行の正義の風向きで決まり、先輩の視線で決まり、運で決まる。それでも「我慢してる俺は賢い」と自分を納得させるしかない。鏡に映った自分の口を塞がれた姿を、「賢明な選択」だと受け入れるしかない。

疑問を口にする勇気が「無謀」になる世界

女性限定公募に疑問を投げかけるために必要なのは、勇気と証拠と仲間とリスクを背負う覚悟だ。でも今のアカデミアに許されているのは、恐怖の植え付けと孤立の強要とキャリアの脅しと正義の仮面だけ。疑問を口にすれば「無謀」と烙印を押され、沈黙すれば「現実的」と褒められる。そんな世界で声を上げようとするのは、確かに無茶かもしれない。だから若手の離脱は増え続け、国外への流出は止まらず、日本のアカデミアは静かに人材を失い続けている。

耐えることが主語になった人生

疑問を抱いた次の瞬間から始まるのは、次の申請書を黙って書き、国外のポストを密かに探し、匿名でつぶやくだけの無限の忍耐だ。耐えてるつもりで、実は自分の魂を少しずつ削っている。枷が少し緩んだ気がするだけ。鎖の色が変わっただけ。研究は疑問から生まれるものだったはずなのに、いつの間にか制度の隙間に収まるもの、波風を立てないもの、沈黙が一番安全なものに変わってしまった。いつから若手研究者が、自分の人生の主語を「言わせないカルチャー」に譲ってしまったのか。

天井が沈黙の壁でできていることに、ようやく気づき始めている

アカデミアに縛られる若手たちは、上を目指しているようで、実はただ次の沈黙に耐えているだけだ。下を見れば失われた機会、横を見れば同僚の諦め、上を見れば抑圧の影。その狭い世界で「しょうがない」とつぶやく声は、匿名アカウントの中にしか響かない。枷を甘んじて受け入れるな。沈黙の深さを耐え続けるな。いつか声を出せる日を、考えることを、諦めるな。

天井が沈黙の壁でできていることに、ようやくほとんどの人が気づき始めている。



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