見出し画像

京大研究不正が「女性優遇」に見えてしまう理由

京大研究不正は、なぜここまで燃えるのか

京大の研究不正が燃えている。

小田裕香子教授の論文について、改ざんが認定された。さらに報道では、内部告発した研究員がその後に雇い止めを告げられたこと、調査中に小田氏が教授へ昇進していたことも伝えられている。

研究不正だけでも十分に重い。

しかし、今回ここまで燃えているのは、それだけではない。

多くの人が見ているのは、「不正を指摘した側が失われ、不正を認定された側が守られたように見える」という構図である。

そしてそこに、女性研究者支援、女性教授、女子枠、女性優遇という言葉が接続されている。

この接続は雑である。

だが、雑だと言って切り捨てれば済む話でもない。

女性優遇に見えてしまうこと自体が問題である

小田氏が女性だから不正をした、という話ではない。

女性研究者だから信用できない、という話でもない。

しかし、大学が女性研究者支援やダイバーシティを語る一方で、研究不正が認定された女性教授への対応が甘く見えるなら、人々はそこに「女性優遇」を見る。

これは自然な反応である。

女子枠も同じである。

大学は「女性を増やす必要がある」と言う。
「多様性が重要だ」と言う。
「理工系に女性が少ない」と言う。

そこまでは分かる。

しかし、その制度の透明性が低いと、すべてが疑われる。

本当に実力で選ばれたのか。
本当に公平に扱われているのか。
問題が起きたときも、同じ基準で処分されるのか。
女性枠や女性支援の対象者には、別の配慮が働くのではないか。

そう疑われる。

この疑いを、単なる女性差別として処理してはいけない。

大学が説明しないから、疑いが育つのである。

ダイバーシティは、処分の透明性とセットでなければならない

女性研究者を増やすことには意味がある。

理工系やアカデミアに女性が少ないことは、長く続いてきた構造的な問題である。女性が研究を続けにくい環境もある。育児、任期、長時間労働、ロールモデル不足、無意識の偏見。そうした問題は実際にある。

だから、女性研究者支援を全部否定する必要はない。

しかし、支援するなら、同時に厳格な透明性が必要である。

採用の透明性。
昇進の透明性。
研究費配分の透明性。
不正認定後の処分の透明性。
告発者保護の透明性。

これがなければ、支援はすぐに優遇に見える。

特に研究不正の場面ではそうである。

研究不正が認定された。
しかし、本人は教授になっている。
一方で、告発者は研究現場から離れている。

この見え方が放置されるなら、社会は当然疑う。

「女性だから守られたのではないか」と。

その疑いが正しいかどうか以前に、そう見える状態を作った大学の責任は重い。

女性研究者支援を守りたいなら、甘い対応をするな

皮肉なことに、女性研究者支援を本当に壊すのは、女性支援への批判者ではない。

むしろ、支援対象者に問題が起きたとき、大学が曖昧な対応をすることである。

不正があれば、明確に処分する。
告発者がいれば、明確に守る。
昇進や表彰に疑義が出れば、明確に説明する。
研究費の扱いも、明確に示す。

これをやらなければ、すべての女性研究者支援が疑われる。

真面目に研究している女性研究者まで疑われる。
女子枠で入った学生まで疑われる。
女性教員の昇進まで疑われる。
ダイバーシティという言葉そのものが疑われる。

だからこそ、大学は甘い対応をしてはいけない。

女性研究者支援を守りたいなら、なおさら厳格でなければならない。

支援と免責は違う。
配慮と優遇は違う。
多様性と不透明性は違う。

ここを混ぜるから燃える。

京大が説明しないほど、女性優遇論は強くなる

今回の京大研究不正は、研究不正として処理すればよい話ではない。

これは、大学の説明責任の問題である。

なぜ研究不正の疑義がある中で昇進が進んだのか。
告発者は本当に守られたのか。
雇い止めは不利益な取り扱いではなかったのか。
不正認定後の処分は十分なのか。
表彰や研究費の扱いはどうなるのか。

ここを説明しなければ、社会は勝手に物語を作る。

その物語が「女性優遇」である。

大学はそれを差別だと言って終わらせるかもしれない。

しかし、そうではない。

疑われるだけの不透明さがあるから、女性優遇論が伸びるのである。

京大研究不正が「女性優遇」に見えてしまう理由は、女性が悪いからではない。

大学が説明しないからである。

ダイバーシティを掲げるなら、大学はなおさら透明でなければならない。

女性研究者支援を守りたいなら、不正には甘くしてはいけない。

告発者を守れない大学が、女性支援を語っても信用されない。

そして、信用されない支援は、最後には支援される側を傷つける。

いいなと思ったら応援しよう!