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雨あがりの夕暮れ時         ~9月の空~

 陽の影 が秋へと伸びている。
 いつもの通勤途中の道の影が、日傘を必要としないほどに北へと伸びてきた。その道を通る時は、この先の避けられない日向を想定して憂鬱になる。できるだけ家屋の方へ寄って、日傘を傾けつつ歩いていた。
 その道を通る時に日傘が要らなくなってきた。日中はまだまだ熱いけれど、地球は確実に太陽の周りを回っている。陽の影が南へと伸びてきた。でも、せめて。彼岸までは気を赦すことができない。

 珍しくツクツクボウシの声。
 わたしはたぶん、この家に住み始めてからこの家ではミンミンゼミの声しか聞いたことがないと思う。なのにこの聞きなれない声。この辺りにもいるのか。台風一過の少し蒸し暑さが抜けた朝。この声を聴く。
 自分の耳を疑いながらも、自然の底力を聴く。おそらくお向かいの家の庭でこの時を待っていたのかもしれない。この声が聴けて、わたしはうれしい。聞きなれない声が聴けてうれしい。そろそろ熱さもそこをついてきたことを知らせてくれているのかもしれない。でも、まだまだ。お彼岸までは気を赦すことはできない。

 9月に入って本格的に業務が動き出す。今年度になって担当校はとてもいい感じに推移していて、しかし潜在的にはなんだ変わりないと思われるが、やはり爆弾はあった。すでに警察の手中で進行していて、ワーカーとしての出番はなさそう。でもできることを模索するも、学校の動きも的確で申し分ない。無力感。みなやるべきことをやっている。課題は主人公の意向。あくまでも子どもも巻き込んで自分の思い通りにしたい。自分にとって嫌なこと、不快なことはしたくない。そこが子どもへの弊害を生んでいる。しかしそこは学校のすべきところではないと判断されるだろう。ワーカーの不甲斐なさ。手出しできない感。でも。見守ることはできる。見守る事しかできない、ではなくて。

 空は高くなっている。澄んだ朝の空気が好きだ。朝焼けに照らされる高層の建物。それもまた朝の景色。オレンジに染まる街。好きだな。
 空は高くなっている。モクモクの入道雲を連れて高くなっている。白とグレイのモクモクは、夕立を予感させながらもなかなかそこに至らない。それがまたモクモクと苛立ちを募らせる。降ったら降ったで苛立つのだけれど。
 9月の空。入道雲から鰯雲へは未だ変わらない。

 静かな朝に拍子木の音が響く。
 感謝。

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