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LDは「勉強が苦手」ではない― 神経発達症について(第4回/全7回)―


前回はAD/HDについて書いた。


今回はLD。
学習障害と呼ばれるものだ。

正直に言うと、この分野は自分もまだ勉強中のところが多い。

なので今回は、基本的な整理を中心に書く。
少し薄く感じるかもしれないが、シリーズとしての位置づけとしてまとめておく。



LDとは何か

LDはLearning Disabilitiesの略。

日本語で【学習障害】

知的発達に遅れがないにもかかわらず、

・読む
・書く
・計算する

といった特定の学習分野だけが極端に苦手になる状態を指す。

ここがポイント。

全体が苦手なのではない。

むしろ、

・会話は普通
・理解力もある
・興味のある分野はよくできる

ということも多い。

だからこそ、

「なんでこれだけできないの?」

と言われやすい。

そして本人も一番困る。


主な3つのタイプ

LDは大きく3つに分けて説明されることが多い。

読字障害(ディスレクシア)

文字を読むことに困難があるタイプ。

例えば

・音読が極端に遅い
・文字を読み間違える
・文章を読むのに強い疲労が出る

内容は理解できているのに、読むという作業だけがうまくいかないことがある。

家庭でのワンポイントとしては、

音声教材を使うこと。

最近は読み上げ機能も多い。
「読む」という負担を減らすだけで理解が進むこともある。


書字表出障害(ディスグラフィア)

文字を書くことに困難があるタイプ。

例えば

・鏡文字になる
・似ている漢字をよく間違える
・文章を書くのが極端に苦手

頭の中では分かっているのに、書くと表現できない

このタイプの子どもは

・口で説明すると理解している
・テストの記述が苦手

ということがある。

家庭では、

キーボード入力を使う

という方法もある。

手書きにこだわりすぎないことも大事だ。


算数障害(ディスカリキュリア)

計算や数の概念に困難があるタイプ。

例えば

・繰り上がり繰り下がりが理解しづらい
・数直線の感覚がつかめない
・文章題になると混乱する

このタイプは

「国語は得意なのに算数だけ極端に苦手」

という形で気づかれることが多い。

家庭での工夫としては、

数を視覚化すること。

ブロックや図を使うと理解しやすいことがある。


得意と苦手の差が大きい

LDの特徴のひとつは、

能力の凸凹が大きいこと。

例えば

・国語は得意
・算数だけ極端に苦手

というケースもある。

このため、

「努力不足」

と誤解されやすい。

しかし実際には、
学習の情報処理の特性と考えられている。


実はそれなりに多い

LDは珍しいものではない。

研究によって差はあるが、

学齢期の子どもの
5〜15%程度

と言われている。

ただし、気づかれにくい。

小学校低学年では分からず、

高学年になってから困りごとが目立つ

ことも多い。


診断はどうつけるのか

医学的な診断では、

DSM-5-TRという診断基準を使う。

ここでも全文は載せない。
著作権の問題もあるし、条文を並べても読みづらいからだ。
(3回目。芸がなくてすんません。)

大まかに言えば、

・読む
・書く
・計算する

といった学業技能の困難が

6か月以上続いていること

そして

年齢や知的能力と比べて明らかに低いこと

などを確認する。

さらに、

・知的発達症
・視覚聴覚障害
・教育環境

などでは説明できないかを整理する。

実際の診断では、

・知能検査
・学力検査
・保護者や学校からの情報

などを合わせて評価する。

また、必要に応じてさまざまな心理検査が使われる。

例えば

・WISC(児童知能検査)
・WAIS(成人知能検査)
・田中ビネー知能検査
・新版K式発達検査

などが代表的なものだ。

ほかにも

・LDのスクリーニング質問票
・注意や記憶の検査

などが補助的に用いられることもある。

ただし。

検査だけで診断が決まるわけではない。

あくまで診断基準に照らし、
発達歴や生活への影響を含めて総合的に判断する。

これが原則だ。


LDとSLD

最近は

SLD(限局性学習症)

という言葉が使われることも多い。

これはDSMなどの医学的診断名。

一方、

LDは教育分野でよく使われる言葉。

内容としてはほぼ同じ概念だ。

現場では今も混在して使われている。


支援で変わる

LDは

「できない」

ではなく、

「やり方が合っていない」

ことも多い。

例えば

・音声教材
・個別指導
・ICTの活用

こうした支援で学習が進むこともある。

得意を伸ばし、
苦手を補う。

それが基本になる。

LDは「能力の問題」ではなく、「学び方の違い」と捉えた方が理解しやすいことが多い。


対処法について

家庭でできる工夫はいろいろある。

ただ、この話を始めるとかなり長くなる。

なので今回は基本的な整理だけにした。

もし希望があれば、

LDの家庭での支援

については別の記事でまとめようと思う。


次回

次回は知的発達症

神経発達症の一つであり、
発達を考えるときの土台にもなる大切なテーマである。

おまけ

どちらかというと、先生向けの本なのだが、こういう風に教えるんだなと参考になった。畑が違ってちょっと難しかったけど。。。
この熊谷先生はたくさん本を出されていて、どれも勉強になる。

読み書きの方はこれも良かった。

神経発達症シリーズ

第1回 神経発達症とは何か
第2回 ASDとは何か
第3回 AD/HDとは何か
第4回 LDとは何か
第5回 知的発達症とは何か
第6回 病院の役割は何か
第7回 発達障害は白黒ではない(まとめ

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