発達障害は「白黒」ではない― スペクトラムという考え方 ―神経発達症について(第7回/全7回)
ここまで、
・ASD
・AD/HD
・LD
・知的発達症
・病院の役割
について整理してきた。
もう何度も言っているが最後にもう一度、
このシリーズで一番伝えたかったことを強調しておこうと思う。
それは、
診断よりも支援。
という考え方だ。
とにかく、そこが大切だと思っている。
それが伝われば、長かったこのシリーズを書いて本望だ。
最後に補足として、少しだけ記載した「スペクトラム」について記載し、
このシリーズを締めようと思う。

スペクトラムという考え方
これまでの記事では、
ASD
AD/HD
LD
それぞれの診断基準についても触れてきた。
読んでいて、
「もしかして自分もそうかも」
と、どこかでドキッとしなかっただろうか。
実は、それはあまり不思議なことではない。
神経発達症は
スペクトラム
と呼ばれる。
スペクトラムという言葉は、
連続体
という意味だ。
つまり、
ある・ない
の二択ではなく、
特性の強さが連続している
という考え方になる。
例えば、
ある特性が
ほとんどない人
少しある人
かなり強くある人
といった形で、
なめらかに分布している。
そして大事なのは、
その特性が
どれくらい強く出ているか
そして
それが生活の困りごとにつながっているか
という点だ。
特性があっても、生活に困っていなければ診断には至らないことも多い。
こうした、
診断基準には当てはまらないが特性を持つ人
を、一般的に
グレーゾーン
と呼ぶこともある。
下の図でいうと、黒が濃い所で診断となるが、そこまでには至らないけど特性はそれなりに強い、という感じになる。

特性は強みにもなる
ここからは少し余談。
これは完全に偏見というか、
小児科医どうしの雑談でよく出てくる話なのだが、
医師は発達障害の人が多い。
(かなり偏見。)
ASDのこだわりや、AD/HDの多動が
強みに変わっている人
が結構いる。
例えば、
こだわりが勉強に向き、医学部の試験を突破し、
そのまま専門分野にこだわり続けて
とんでもない知識や技術を持つ医師。
あるいは、
多動気味で色々なことに手を出すからこそ、
研究
臨床
教育
さまざまなことに挑戦して、
結果的に一目置かれる存在になる人。
実は結構いる。
コミュニケーションが少し苦手なこともある。
でも、
知力の高さでカバーする人もいれば、
周りの人が自然に(と言っておく)支えてくれることもある。(超迷惑かけてる可能性も…高めにある)
ここでもやっぱり大事なのは、
環境調整。うまく話してくれる看護師さんとか、いるよね。
ちなみに私も
ちなみに、
かくいう私も、自分の中に
ASDやAD/HDっぽい要素はそれなりにあると思っている。
例えば、
・シャワーの冷たい水がすごく苦手
・くつろぐとき、枕がものすごく高い方が落ち着く
・そういう変な姿勢が好き
・忘れ物が多い
・何かしているとすぐ別のことに手が伸びる
などなど。
あと、
コミュ障。
患者さんと話すときは仕事モードで何とかなるのだけど、
初対面の人との日常会話は実はかなり苦手だ。
とはいえ、
今のところ日常生活で大きく困っているわけではない。
(と思っている。もしかすると周りの人のカバーのおかげかもしれないけれど。。。)
だから私は、診断には至っていない。
神経発達症という考え方
神経発達症という言葉は、人を分類するための言葉ではなく、
特性を理解するための言葉
だと思っている。
そして、
その特性が生活の困りごとにつながっているとき、そこで初めて
支援が必要になる。
最後に
このシリーズで何度も書いてきた。
もう一度だけ書く。
診断よりも支援。
診断名は、人を決めつけるものではない。
その人の特性を理解して、
どうすれば
より生きやすくなるか
を考えるためのものだ。
神経発達症という考え方が、誰かの理解や安心につながればうれしい。
次回 リクエストも受け付けます
次回予告は特にない。
ただ、まだ書ききれなかった部分はたくさんある。
一旦、大まかなくくりとしては終了。
ただし、支援支援と言っておきながら、あんまり具体的なことは書いていないのでそこを書いたり、医療機関受診のタイミングについてもう少し深く掘ってみたり、就学相談についてなどはもう少し書けることはある。
何かテーマに扱ってほしいことがあればコメントやメッセージでお知らせください。
ただし、個別の医療相談は申し訳ないが乗れない。他の医師アカウントと違い、匿名でやっているし、やはり直接会えないと責任は持てない。
そこはご了承頂きたい。
神経発達症シリーズ
第1回 神経発達症とは何か
第2回 ASDとは何か
第3回 AD/HDとは何か
第4回 LDとは何か
第5回 知的発達症とは何か
第6回 病院の役割は何か
第7回 発達障害は白黒ではない(まとめ)
