【完全版】アナロジー思考とは?1を聞いて10を知る「思考の型」とトレーニング法
この記事に辿り着いたあなたなら、アナロジー思考に関心があるはずだ。
「未知の課題」に直面し、解決の糸口を探しているか、あるいは「優秀なあの人のように、もっと速く本質に辿り着きたい」と渇望していることだろう。
このnoteは、外資系コンサルティングファームと広告代理店のキャリアを持つ現役のストラテジストが、ビジネスの現場で生じる「できない、わからない」を、再現性のある「方法論」で解決するnoteだ。
ビジネスの世界には、「何をやらせても優秀な人」が存在する。
彼らは、未経験の分野であっても即座に勘所を掴み、時にベテラン以上の成果を叩き出す。一方で、特定の分野でしか輝けない「一発屋」や、環境が変わった途端に成果が出せなくなる人もいる。
この決定的な差はどこで生まれるのか?
これを「才能」や「地頭」という言葉で片付けるのは簡単だ。しかし、思考力とは才能の話ではなく、方法論の話だ。彼らが無意識に行っているのは、「アナロジー(類推)」と呼ばれる思考のアルゴリズムに他ならない。
優秀なコンサルタントが、全く知見のない業界の問題を瞬時に特定できるのも、業界経験のない起業家が斬新な事業モデルを構築できるのも、すべてはこの「アナロジー思考」という武器を装備しているからだ。
つまり、この思考法をインストールしさえすれば、あなたも「1を聞いて10を知る」応用力を、過酷な努力なしに手に入れることができる。
今回は、変化の激しい時代における最強のサバイバルスキル、「アナロジー思考」について解説する。さらに、明日から使える「トレーニング方法」や「鍛え方」、多くの人が陥る「失敗事例」まで落とし込んで説明しよう。
アナロジーとは?意味・定義・メタファーとの違い
アナロジーの意味と定義
まずは、足場を固めるために定義から入ろう。デジタル大辞泉(小学館)によれば、「アナロジー」は以下のように定義されている。
「アナロジー」の辞書的な意味
類似。類推。類比。
これだけでは抽象度が高く、実務でどう使うかがイメージしにくい。ビジネスの文脈において、筆者はアナロジーを以下のように定義している。
「アナロジー」とは?
「知っている知識や経験」を「知らない分野」に当てはめて推論し、構造的に応用すること。
つまり、あなたの頭の中にある「過去の引き出し」から、目の前の課題に応用できる「型」を借りてくる行為、と言い換えてもいい。
アナロジーとメタファー(比喩)の違い
ここで、多くの人が混同しがちな「メタファー(比喩)」との違いを明確にしておこう。ここが曖昧だと、思考の切れ味が鈍るからだ。
アナロジーとは、以下のような「構造の転用」を指す。
医師は患者を診断し、病気の原因を特定してから治療する。
コンサルタントは企業の現状を診断し、課題の原因を特定してから解決する。
共通構造: つまり、医師とコンサルタントは「問題解決のプロセス(構造)」が似ている。
転用: だとすれば、医師の問診技術(例:患者の主観だけでなく数値データを重視する等)は、コンサルタントのコンサルティング技術に応用できるはずだ。
このように、アナロジーは「論理的構造の類似性」を見つけ出し、応用ことに主眼がある。
一方で、メタファーはアナロジーの一種ではあるが、あくまで「イメージの伝達」に使われる「比喩」だ。
「マーケティング部門は、企業の『エンジン』だ」
「商品開発と営業は、車の『両輪』だ」
これらは「見た目や役割のイメージ」を重ねているに過ぎない。ビジネスにおいて強力な武器になるのは、構造自体を借りてくる「アナロジー」の方だ。

【失敗例】単なる「パクリ」と「アナロジー」の違い
ここで、アナロジーを理解していない人が陥りやすい「失敗ケース」を紹介しよう。それは、「構造」ではなく「表面」だけを真似してしまうケースだ。
事例:失敗した「Uber for X」
かつて、配車アプリUberの成功を見て、多くの起業家が「Uberの〇〇版」を作ろうとした。「Uberの理容師版」「Uberの洗濯版」などだ。彼らはUberの「アプリで呼べばすぐ来る」という表面的なUI/UXだけを模倣した。
しかし、Uberの本質的な成功要因(構造)は、「供給側の空き時間活用(ギグエコノミー)」と「需要側のリアルタイムマッチング」による需給の最適化だ。
この構造的要因を無視し、単に「アプリで呼べる」という表面だけを真似したサービスの多くは、供給側のコスト(移動費や待機時間)に見合わず、ことごとく撤退していった。
これが、「アナロジー(構造の模倣)」と「パクリ(表面の模倣)」の決定的な違いだ。構造を見抜けない模倣は、ただの劣化コピーを生むだけで終わる。
アナロジー思考とは?わかりやすい具体例(RPG・恋愛)
アナロジー思考の仕組み
続いて、アナロジー「思考:について説明しよう。
アナロジー思考とは、経験のある分野から見出した「法則(勝ち筋)」を、未経験の分野へ応用する思考法だ。これを定義するなら、以下のようになる。
「アナロジー思考」とは?
過去の具体的経験から「法則」を抽出し、全く異なる文脈へ当てはめて解を導く思考アプローチ。
具体例①:RPGゲームと人材育成のアナロジー
定義だけでは腹落ちしにくいだろう。ここでは、多くの人が経験したことのある「RPGゲーム」を題材に、アナロジー思考がどのように作動するのか、そのプロセスを分解して見せよう。
Step1:具体的な事象(Fact)
例えば、あなたがRPGゲームをプレイしているとする。そこには以下の「事実」がある。
何も考えずに進むと、すぐにキャラクターが死んでしまい攻略できない。
敵モンスターを倒すと、経験値が得られる。はぐれメタルのような「逃げ足は速いが経験値が高い敵」と、スライムのような「弱いが経験値が低い敵」がいる。
様々な道具を手に入れることで、キャラクターは強くなる。
Step2:教訓の抽出(Insight)
凡人はここで「ゲームは楽しい」「はぐれメタル倒せてラッキー」で終わる。しかし、アナロジー思考を持つ者は、ここから「教訓」を引き出す。
行き当たりばったりは死ぬ。
→ 事前にダンジョンの地図を知れば、攻略率は上がる。経験値が欲しい。
→ 手当たり次第に戦うより、効率よく経験値をくれる敵を狙って倒すのが最速だ。道具が重要だ。
→ 魔法使いに剣を持たせても意味がない。キャラの職業(資質)に合った武器を持たせる必要がある。
Step3:法則化・抽象化(Concept)
ここが最も重要だ。ゲーム固有の話を捨て去り、ビジネスにも通じる「一般法則」へと昇華させる。
事前の地図が重要。
→ 「全体像の把握」と「難易度の可視化」が、攻略の第一歩である。効率の良い敵を狙う。
→ 成長スピードを上げるには、「取り組む課題の優先順位」を見極める必要がある(レバレッジポイントの特定)。資質に合った武器。
→ パフォーマンスは、「個人の資質」と「環境(ツール)」の適合度で決まる。
Step4:他分野への応用(Application)
最後に、抽出した法則を「マーケティング人材の育成」という全く違う分野へ当てはめてみよう。
全体像の把握:
新人マーケターにいきなり実務をさせるのではなく、まずは「マーケティングの全体像(地図)」と「各スキルの習得難易度」を把握させることから始めるべきだ。優先順位(はぐれメタルを探せ):
雑務(スライム)ばかりやらせても成長しない。最も成長インパクトの大きい「コアスキル(例えば顧客理解)」という「はぐれメタル」を集中的に学ばせるべきだ。適合度:
一律の研修ではなく、分析が得意なメンバーにはデータ分析を、感性が鋭いメンバーにはクリエイティブを任せるなど、資質に合った装備(役割)を与える必要がある。
具体例②:恋愛と営業のアナロジー
もう一つ、より身近な例として「恋愛」と「営業」のアナロジーを見てみよう。「営業が得意な人はモテる」とよく言われるが、これもアナロジーが成立しているからだ。
恋愛の法則(構造):
いきなり「結婚してください」と言っても断られる(プロセスの省略)。
相手の話を聞かず、自分の自慢話ばかりする人は嫌われる(ニーズ無視)。
相手の好みや悩みを理解し、それに寄り添う人が好かれる。
営業への応用:
初回訪問でいきなり「契約してください」と言うのは、初デートでのプロポーズと同じ暴挙だ。まずは関係構築から始めるべきだ。
顧客の課題を聞かず、自社商品のスペック自慢ばかりするのは、非モテの自慢話と同じだ。
顧客の「困りごと(悩み)」を聞き出し、それを解決する手段として商品を提案すべきだ。
このように、「恋愛」という誰もが知る構造を「営業」に応用することで、複雑な営業理論を直感的に理解できるようになる。これがアナロジーの威力だ。
【職種別】アナロジー思考のビジネス活用事例4選
頭の使い方のコツは理解できただろうか?だが「自分の仕事でどう使うか?」がイメージできなければ、それは机上の空論だ。ここでは、主要な3つの職種について、明日から使えるアナロジーを紹介する。
1. 営業職:「御用聞き」から「医師」へ
多くの営業担当者が、顧客の要望をそのまま聞いてしまう「御用聞き」になりがちだ。ここで有効なのが「医師」のアナロジーだ。
具体(医師の診察):
患者が「頭が痛いから薬をくれ」と言っても、医師はすぐには処方しない。「いつから?」「どんな痛み?」と問診し、根本原因(風邪か、脳の病気か)を探る。原因が違えば、薬も変わるからだ。抽象(構造):
「診断(課題特定)」なくして「処方(解決策)」なし。応用(営業):
顧客が「この商品が欲しい」と言っても、すぐに見積もりを出してはいけない。「なぜそれが必要なのか?」「解決したい真の課題は何か?」を問診する。そうすれば、顧客も気づいていない「より本質的な解決策」を提案でき、信頼と単価の両方を勝ち取ることができる。
2. 事務職:「作業員」から「管制官」へ
事務職は「誰でもできる仕事」と軽視されがちだが、一流の事務は「空港の管制官」のアナロジーで仕事をしている。
具体(空港の管制塔):
管制官は飛行機を操縦しない。しかし、空の混雑状況を把握し、「A便は旋回待機」「B便は着陸」と指示を出すことで、事故を防ぎ、空港全体の処理能力を最大化している。抽象(構造):
個々のタスクを実行するのではなく、タスクの「流量」と「優先順位」を制御し、全体最適を図る。応用(事務):
来た仕事をただ打ち返すのは「作業員」だ。アナロジー思考を持つ事務職は、月末に業務が集中することを予測し、各部署に「月初に前倒しできる仕事はありませんか?」と案内する。「業務の渋滞」を予測し、事前にルートを変更することで、組織全体のパフォーマンスを最大化する。
4. マーケティング:「狩猟」と「農耕」の使い分け
施策が単発的になりがちなマーケターには、「狩猟」と「農耕」のアナロジーが効く。
具体(狩猟と農耕):
狩猟は、獲物を見つけて仕留める(即効性があるが不安定)。農耕は、土を耕し種を撒いて育てる(時間がかかるが安定的)。抽象(構造):
「刈り取り(Short-term)」と「育成(Long-term)」の時間軸とアプローチの違い。応用(マーケティング):
リスティング広告で顕在層を狙うのは「狩猟」だ。しかし、狩り尽くせば獲物はいなくなる。オウンドメディアやSNSでファンを育てる「農耕」を組み合わせなければ、焼畑農業で終わる。「今の施策は狩りなのか?畑仕事なのか?」この問いを持つだけで、短期と長期の戦略バランスが整う。
アナロジー思考のメリット|なぜ「優秀な人」はこれを使うのか?
「ゲームの話を仕事に持ち込むなんて、こじつけだ」。そう感じる人もいるかもしれない。しかし、断言する。イノベーションの歴史は、アナロジーの歴史そのものだ。
回転寿司のベルトコンベアは、元禄寿司の創業者が「ビール工場の製造ライン」を見て、「ビール瓶のように寿司を回せば、職人がいちいち運ぶ手間が省ける」と思いついたことから生まれた。
これは「工場の生産効率化の仕組み(構造)」を「飲食店の提供プロセス」に転用した見事なアナロジーだ。
既存の枠組みに囚われている限り、非連続な成長は生まれない。
【失敗例】過去の成功体験に固執する人の末路
アナロジー思考ができないとどうなるか?最も悲惨なのが、「環境が変わった瞬間に無能化するベテラン」だ。
例えば、かつて「足で稼ぐ営業(飛び込み訪問)」でトップセールスだったAさんがいるとする。時代が変わり、デジタルマーケティングやインサイドセールスが主流になった。
アナロジー思考ができないAさんは、「営業=足で稼ぐもの」という「表面的なやり方(How)」に固執する。「最近の若いのは根性がない、メールなんかで売れるか」と批判し、成果を出せなくなる。
一方で、アナロジー思考ができるBさんはこう考える。
「飛び込み営業の本質(構造)は、『顧客との接触頻度を高め、信頼関係を築くこと』だったはずだ」
「今の時代、接触頻度を高める手段は『足』ではなく『Zoom』や『SNS』だ。しかし、信頼構築という構造は変わらない」
そう気づいたBさんは、かつての「足」を「デジタルツール」に置き換え、同じ構造を使って再びトップセールスに返り咲く。
アナロジー思考の能力が高く「1を聞いて10を知る人」は、何をやっていてもそこから法則を見出し、他の分野に応用する「アナロジー感覚」を持っている。
こういう人は「遊ぶことで仕事のヒントが得られる」「遊んでいる時に新しいビジネスの発想が思いつく」などと語ることが多いが、これなどは「遊び」から得た法則を「仕事」という全く異なる分野に応用できる、という意味だ。
また、経営者が好んで「戦国武将の本」や「スポーツ監督の本」を読むのも、異なる分野から得た法則を自社のビジネスに応用して活かしたいと考えているからだ。
このように、アナロジーができる人はあらゆる物事から法則を得て、異なる分野に応用する習慣を身につけている。このため、アナロジーができない人と比べて、一つの経験から得られる学びの量が数倍多いのが特徴だ。
逆を言えば、アナロジー思考が苦手な人は、自分の経験を「他の分野に当てはめる習慣」がないため「これはこれ、あれはあれ」と別々に考えてしまう。そのため、発想の幅が狭く応用が利かなくなる。
そして応用が利かないと「業務から得た学びを、他の分野に応用できない」「過去から得た学びを、未来に応用できない」状態となるため「1を聞いて1しかわからない人材」となり、成長速度に大きな差が出てしまうのだ。
思考停止する人は「やり方」に固執し、思考する人は「構造」を転用する。 この差が、変化の激しい時代における生存確率を分けるのだ。
アナロジー思考のメリット①:発想が「脱・予定調和」する
アナロジー思考をトレーニングすれば、現状に囚われない新しい発想ができるようになる。
人は誰でも経験が長くなればなるほど「思考のパターン化」が起き、既存のフレームワークやセオリーに頼りたくなる。しかし既存のフレームワークやセオリーの「内側」だけに留まっていては、新しい発想が出てきずらいのは自明の理だ。
しかし、アナロジーは「異なる分野で得た法則を、自分がよく知る分野に応用すること」を可能にする。
いわば「自分の思考パターンの外側」に目を向け、そこから得られた法則を自分のビジネスに「引き込む」思考法ともいえる。よって、既存の枠を越えた発想力が鍛えられるのがメリットだ。
「スターバックスのような銀行(サードプレイスとしての金融機関)」
「ナイキのような病院(健康をエンパワーメントする医療)」
遠い世界から法則を借りてくることで、あなたの発想は予定調和を破壊し、誰も思いつかなかったアイデアへと到達する。

アナロジー思考のメリット②:学習効率が「レバレッジ」する
アナロジーができる人は、一つの経験から得られる「果実」の量が違う。彼らにとっては、遊びも、映画も、育児も、すべてがビジネスのヒントになる。
アナロジーができない人:
「仕事は仕事、遊びは遊び」。それぞれの経験が分断され、1の経験から1しか学べない。アナロジーができる人:
遊びから得た法則を仕事に活かし、仕事の法則を育児に活かす。1の経験から10を学び、知識が指数関数的に増えていく。
人生という限られた時間の中で、この学習効率の差は、やがて埋められない実力差となって現れる。

アナロジー思考のメリット③:コミュニケーション能力が高まる
アナロジー思考を鍛えることができれば、あなたのコミュニケーション能力は飛躍的に高まる。
例えば、
日本国内における1年間のビールの消費量は266万5,915klです
と言われてもピンとこないが
日本国内における1年間のビールの消費量は、東京ドームの約2杯分です
と言われると「ビールの消費量の規模感」がピンと来るはずだ。
この場合「266万5,915kl」という数字を「東京ドームの大きさ」に当てはめて説明することで、規模感をわかりやすくしている例だ。
また、先ほども例に出したように「コンサルタントとは、医者のようなものだ」とよく言われるが、これもアナロジーの一種であるメタファーだ。
このように、相手の想像力が働きにくい物事も「相手が理解しやすいもの」に置き換えて説明することができれば、お互いの共通理解は劇的に高まる。
アナロジーに長けた人は、こうした「メタファー」や「比喩表現」がうまいのも特徴だ。
アナロジー思考のトレーニング方法|鍛え方の4ステップ
では、どうすればこの思考法を身につけられるのか。才能は不要だ。必要なのは、以下の4ステップを回す「習慣」だけだ。
観察する(具体)
法則化する(抽象)
応用する(転用)
ダブルループ学習を回す
Step1:観察力を磨く(具体)
すべては「観察」から始まる。しかし、多くの人は「見ている」つもりで「見ていない」。漫然と過ごすのではなく、「なぜ?」という問いを立てるのだ。
【悪い観察】:
「あの店、行列ができてるな。人気なんだな。」(事実確認のみ)【良い観察】:
「なぜ、あの店は味は普通なのに行列ができているのか?看板のデザインが独特だからか?それとも回転率をわざと落として行列を演出しているのか?」(背景の構造推測)
この「違和感」や「疑問」こそが、思考の起点になる。表面的な事象ではなく、その裏側にある「構造」や「因果関係」に目を凝らすこと。これが観察の本質だ。
関連記事:観察力を高める技術:「気づき」を圧倒的な成果に変える6つのプロセス
Step2:法則化する(抽象)
観察で得た気づきを、そのままにしてはいけない。「つまり、どういうことか?」と問いかけ、一般法則へ引き上げるのだ。
事実:
あのラーメン屋は、メニューを3つに絞ったら売上が伸びた。【悪い抽象化】:
「ラーメン屋はメニューを3つにすべきだ。」(具体的すぎて他で使えない)【良い抽象化】:
「選択肢が多すぎると、顧客は選ぶストレスを感じて離脱する。『決定回避の法則』が働いている。」(概念化されており、他に応用できる)
ここまで抽象化できて初めて、その事実は「応用可能な知識」となる。このステップでは、「一言で言うと?」と要約する癖をつけるといいだろう。
関連記事:抽象化思考の教科書|「具体と抽象」の往復で地頭を鍛える4つの手順と具体例
Step3:異なる分野へ応用する(転用)
最後に、抽出した法則を強引にでも他の分野へ当てはめてみる。
法則:
選択肢が多すぎると、顧客は選ぶストレスを感じる。応用(Webデザイン):
トップページのバナーを10個から3個に減らせば、クリック率は上がるのではないか?応用(プレゼン):
提案プランを5つ出すのではなく、「松竹梅」の3つに絞れば、クライアントは決断しやすいのではないか?
「AとBは似ている」と気づくのを待つのではない。「Aの法則は、Bにも使えるはずだ」と仮説をぶつける姿勢が、アナロジーの回路を太くする。
Step4:ダブルループ学習を回す
既存の枠組みの中で改善を繰り返すのを「シングルループ学習」と呼ぶ。対して、前提そのものを疑い、外部から新しい視点を取り入れて枠組みを作り変えるのが「ダブルループ学習」だ。

アナロジー思考は、まさにダブルループ学習のエンジンだ。
自分の業界や職種の常識に閉じこもらず、常に「外側」の世界から法則を輸入し続けること。そうすれば、あなたは「可視化依存社会」の情報濁流に飲み込まれることなく、常に本質を見抜き、独自の価値を生み出し続けることができるはずだ。
思考の壁を越えろ
アナロジー思考とは、単なるスキルではない。世界をどう捉え、どう繋げるかという「スタンス」そのものだ。
具体(経験)から法則を抜き出す。
抽象(法則)を未知へ当てはめる。
検証し、新たな知恵とする。
このサイクルを回せるようになった時、あなたの前にある「未経験の壁」は消滅する。あらゆる経験が糧となり、あらゆる課題が成長の機会へと変わるはずだ。
著作|思考のOSをアップデートする3冊
ここで、僭越ながら筆者の著作を紹介しよう。このnoteで紹介している「思考法」や「仕事術」を、より深く、体系的に学べるはずだ。
もし、興味があれば手に取って頂きたい。
❶ 「正解を探す人」から「論点を動かす人」へ
『意見をつくる』

ビジネスの現場で最も評価されるのは「正解を知っている人」ではない。自分のスタンスを持って議論を前に進められる人だ。
一方で、多くのビジネスパーソンは、会議で意見を求められると急に言葉を失ってしまう。
会議とは「発言する場」ではなく「価値を出す場」だ。事実を整理するだけ、分析結果を説明するだけ、誰かの意見に同調するだけでは、プロフェッショナルとして十分とは言えない。
本書『意見をつくる』の価値は、まさにこの「で、どうすべきか?」に答えるための思考プロセスを、誰でも再現可能な「FIVEフレームワーク」として体系化している点にある。
本書を手に取っていただければ、あなたは会議で「何か言わなければ」と焦るのではなく、
「この状況をどう見るべきか」「何を優先して判断すべきか」「自分はどの選択肢を推すのか」
を、構造的に考えられるようになる。
そして、誰かの正解を借りて話す人ではなく、論点を動かし、意思決定に貢献する人へと変わることができるはずだ。
❷可視化依存時代に「見えない本質」を見抜く力を手に入れる
『本質をつかむ』

インターネットの普及は、情報の流れを根本的に変え、変化のスピードを加速させた。
さらに生成AIの出現により大量のコンテンツが吐き出され、情報濁流はより速く、大きく、圧倒的になっていくはずだ。その先にあるのは、可視化された情報に振り回され「目に見えない本質」や「長期的な視点」が見逃されていく「可視化依存社会」だ。
KPIや数値データなどの「目に見える」情報に注意が奪われ「目に見えない」質的な側面や、背景にあるストーリーは軽視されていく。
コスパ意識を重視する風潮が一層強まる中で「考える」「暗中模索する」「試行錯誤する」といったプロセスは「無駄なもの」として煙たがられ、本質を探る姿勢は薄れていく。
短期的な結果を求めるあまり、問題の本質に向き合う時間を確保できず、解決策は表面的なものになる。短期目標が優先され、長期的な戦略は後回しにされる。
「可視化依存社会」とは、表面的な情報や短期的な指標ばかりに目が行き、深い洞察を見逃してしまう社会だ。
そんな可視化依存社会に突入するからこそ、必須となるスキルが「本質を見抜く力」だ。別の言い方をすれば、見えないものを見抜き、物事の核心に辿り着くスキルともいえる。
「本質を見抜く力」を身に付けることができれば、表面的なものに振り回されず、その本質を捉え、シンプルに捉えることができるようになる。迷いやリスクに悩まされる時間が減り、決断に自信を持てるようにもなるはずだ。
「真の価値」は、見えないものにこそ宿る。それを見抜く力こそが「本質を見抜く力」だ。
おかげさまで本書は発売2週間で重版し「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」にノミネートいただいた.
本書では「可視化依存社会」を生き抜くために、本質を見抜く力を磨く具体的なアプローチを紹介する。
❸ 「シャープな仮説を生み出す頭の使い方」を徹底解説
『問題解決力を高める「推論」の技術』

あらゆるビジネスは「仮説」こそが成否を握る。
なぜなら、仮説を生み出せなければ次の一手を見出しようがなく、検証のしようもなくなるからだ。つまり、ビジネスの成長は止まってしまうことになる。
しかし仮説思考の書籍の多くは、仮説思考の重要性は説くものの、肝心の「仮説思考の身につけ方」になると、
「センスが必要」
「経験の積み重ねが物を言う」
など「それを言ったらお終いよ」という結論で終わらせているものが多い。
しかし本書は「仮説思考に必要な頭の使い方の手順」を、豊富な事例とともに徹底解説している。
よって、その手順通りに頭を使えば「センス」や「長年の経験」に頼ることなく、誰でも優れた仮説を導き出せるようになる。
おかげさまで本書は5版を重ね「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」にノミネートいただいた。NewsPicksやNIKKEI STYLE、lifehackerなど多くのメディアで取り上げていただき、中国や台湾、香港でも出版が決定している。
さらにAmazonレビューでも、
「ここ数年の仮説思考系の書籍で久々のヒット」
「自分オリジナルの武器にしていけそうな良書」
「一生もののスキルになるのは間違いない」
など有難い言葉を頂戴している。
もしあなたがシャープな仮説を導き出せるようになりたいなら、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。
終わりに
最後までお読みいただき、感謝する。 この記事を通じて、「思考力とは、天性の才能ではなく、正しい型の習得である」ということが伝わったなら本望だ。
思考法は、知っているだけでは意味がない。 使って、失敗して、組み合わせて、初めてあなたの血肉となる。 今日この瞬間から、目の前の業務に思考法を当てはめてみてほしい。世界の見え方が、少し変わるはずだ。
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