四行詩
詩をうっかり落とした日
なげやりな哀しみに暮れる日
夜の境目に散歩に出かける日
闇のなかに灯りが見えない日
どうしたらいいのか立ちすくむ
助けてといえないまま
オーバーサイズのスゥエットで走り出す
逃げるように
ことばが重くのしかかる
助けを求めたら
ことばの重さを知るゆえに
僕は口を閉ざしてここまで来た
逃げろと声がする
いやだという声もきこえる
いいんだと声がする
だめだという囁きがきこえた
夜の川沿いは人がいない
街燈はぼんやりオレンジ色の
自分だけあたたかい色で灯る
なんて冷たい街燈か
橋のまんなかにうなだれて立つ
川面にオレンジが反射して
僕の影をうばう
なんて冷たいんだ
川面を見つめる
雨水の頃のオレンジ水の流れ
なにを告げようというのか
何もない詩でもない僕に
しずかに闇が深まる
通知は手のひらを青くして
誰かからのすきがつき
月の映る水面に面影をみた
ことばが流れた
詩を落としてきたぼくの
昔の詩だ
昔の音楽だ
誰かは知らないけど
誰なのか知っている
やさしいひとの
手助けのような通知に
オレンジの水があたたかくなる
流れてきた思いが
手のひらをあつく伝わる
あぁ、なんということだ!
風に乗り
川を流れて今
ぼくの手元に届くのは
ひとりじゃない『ことば』
なにも成していない
悲嘆にくれた夜
あきらめた日々
あきらめきれない日々
オレンジの川に流そう
手元のやさしいことばだけ残して
そっと手放そう
ひとりじゃないと気づいた夜
あの夜からお日さまのように
街燈はあたたかく心を照らしはじめた
足元に詩がおちていた
そうっと手にして
誰か知らなくてもいいよね
ありがとう
きっと誰と知ってるから
ありがとう
ずっとありがとう
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