「12月の3つの山」〜歳末商戦を勝ち抜く波の読み方【3か月先を読む 月刊販促設計 2025年12月号 第1回】
小売業の皆さん、「12月は売上最大だけど、売場がバタバタで終わる」と感じたことはありませんか?
11月は実需と準備の"二面性"で悩む。1月は新年需要の立ち上がりで見通しが立つ。
その中間にある12月だけが、「売上は取れるけど、とにかく忙しい」「クリスマスから正月まで息つく暇もない」と言われる月です。
売上規模は年間最大、客数も最高値、なのになぜか売場に「軸」が定まらない------クリスマス、年末、正月準備という3つの大きな山が、わずか1か月に凝縮されているからです。
本連載では、この12月特有の"3つの山"に注目します。
「クリスマス商戦」「年末需要」「正月準備」。
この3つの消費の波が、12月24日、30日、31日という明確な節目を持って次々と押し寄せる------。
データと現場感をもとに、この「3つの山」をどう乗りこなし、スムーズな売場転換を実現するか、具体的に読み解いていきます。
こんにちは。地域密着型の販促を考える仮想研究室「ミタカ販促設計ラボ」室長のサタケです。
前回の「11月の販促設計」シリーズでは、「二面性」という考え方で実需消費と準備消費の綱引きを分析してきました。(※「二面性」とは、今すぐ必要な消費と将来への準備消費が交錯する11月特有の現象です)
さて、今回から「2025年12月の販促設計」3回シリーズがスタートです!
■月刊・販促設計とは
「12月は忙しすぎて、戦略どころじゃない」
現場でよく聞く、この悲鳴。皆さんも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
「月刊・販促設計」は、そんな悩みに寄り添うための連載です。
【こんな方に読んでいただきたい】
スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどの店長・売場責任者
歳末商戦の販促企画に頭を悩ませる販促担当者
地域密着型の個人商店・専門店の経営者
年間最大の売上を確実に取りたいすべての小売業の方
規模の大小を問わず、「12月の波をどう乗りこなすか」を考える立場の方に向けて、実践的なヒントをお届けします。
家計調査や気象データなど、生活者の行動変化を裏付ける「根拠のある情報」をもとに、3か月先の売場を週単位で設計していきます。
波を読み、流れをつかみ、売場を先回りして整える。小売りの現場に立つみなさんと一緒に考えたい、販促の「設計図」をお届けします。
■12月販促設計の視点:「3つの山」という考え方
12月。一年の中で最も売上規模が大きく、そして最も複雑な月です。
9月の残暑の中、3カ月先の12月の販促計画を考えるのは難しいかもしれません。しかし、歳末商戦の成功は「3カ月前からの設計」が成否を分けます。
【「3つの山」とは何か】
ミタカ販促設計ラボが考える12月の「3つの山」とは
第1の山:クリスマス(〜12/24)
ギフト・ケーキ・ごちそう需要
装飾・パーティーグッズ
美容・ファッションの駆け込み
第2の山:年末(12/25〜30)
大掃除用品の爆発的需要
帰省準備・手土産
健康管理商品(胃腸薬・栄養ドリンク)
第3の山:正月準備(12/30〜31)
おせち・正月食材
新年の身だしなみ用品
お年玉袋・正月飾り
この3つの山が、12月という1か月に連続して現れる ── それが12月販促の最大の特徴です。
たとえば
クリスマスケーキを売りながら、おせちの予約も受ける(第1の山と第3の山の同時進行)
24日夜にはクリスマス商品を撤去し、25日朝には年末商品に転換(山から山への瞬間移行)
大掃除用品のピークと正月食材の仕込みが重なる(第2の山と第3の山の重複)
この「今」と「次」と「その先」の同時管理こそが「3つの山」であり、12月販促の最大のポイントなのです。

■12月のイベントが生む「3つの山」の加速
12月は多彩なイベントが、この「3つの山」をさらに加速させます。
【山を形成する主要イベント】
クリスマスの山を作るイベント
12月第1週:クリスマス商戦が本格的にスタート
ボーナス支給(12月中旬):購買力UP
12月24日:クリスマスイブ(ピーク)
年末の山を作るイベント
12月25日:即座に年末モードへ
仕事納め(例年は28日。2025年は一般的に26日):まとめ買い需要
30日:年越し準備ラストスパート
正月準備の山を作るイベント
おせち材料調達(20日頃〜)
大晦日(31日):最終駆け込み
元日:新年初売り準備
つまり、それぞれの山が独立しているのではなく、重なり合いながら進行する ── これが12月販促を読み解く鍵となります。
■データが示す「12月消費の爆発力」
【2024年12月の消費実態を読み解く】
総務省「家計調査」2024年12月データによると、消費支出は352,633円(前年同月比 実質2.7%増)と、5カ月ぶりのプラスとなりました。
注目すべき増加項目
諸雑費:実質寄与度1.08(寄付金が0.44寄与)
自動車等関係費:実質寄与度0.96(自動車購入が0.87寄与)
設備修繕・維持:実質寄与度0.93(設備器具が0.59寄与)
考えられる要因
年末の「締めくくり消費」意識の高まり
ボーナス支給による購買力向上
「今年のうちに」という心理的開放感
ポイント
12月は「財布のひもが緩む月」=だからこそ「3つの山」への対応力が売上を左右する
【時系列で見る心理変化の「3つの山」】
私たちの分析では、12月を週単位で管理することを推奨します。
●12月第1週(1日〜7日)
クリスマス商戦本格化
「まだ余裕がある」という安心感
おせち予約の早期割引終了前の駆け込み
計画的な購買行動が中心
●12月第2週(8日〜14日)
ボーナス支給で購買意欲が加速
クリスマスギフト選びがピーク
年末準備への意識が芽生える
「そろそろ準備しないと」という焦り
●12月第3週(15日〜21日)
クリスマス直前の駆け込み需要
おせち材料の調達開始
大掃除用品の購入ピーク
「時間がない」という切迫感
●12月第4週(22日〜28日)
24日:クリスマスピーク→即座に転換
25日〜:年末商戦へ完全シフト
26日(例年は28日):仕事納め後のまとめ買い
「今年最後」という開放的消費
●12月第5週(29日〜31日)
正月準備の最終駆け込み
生鮮食品・日配品の需要爆発
「何が何でも間に合わせる」という必死さ

■現場で活用される「24日夜」と「仕事納め(例年は28日。2025年は一般的に26日)」の転換則
【売場転換のゴールデンタイム】
小売業の現場では、長年の経験から以下のような法則が共有されています。
24日夜の法則
クリスマスイブの夜(20時以降)から転換開始
翌25日朝には年末モードへ完全移行
「聖夜から歳末へ」の劇的チェンジ
仕事納め(例年は28日。2025年は一般的に26日)の法則
仕事納め後の需要変化
日配品・生鮮食品へのシフト
「保存品から生鮮へ」の最終転換
実践アドバイス
24日は閉店と同時に全スタッフで売場転換。25日朝一番のお客様を「がらりと変わった年末売場」でお迎えする準備を。
■「3つの山」を売場に落とし込む5つの実践ポイント
1.山の重複を前提とした売場設計
メイン通路:現在の山(クリスマス→年末→正月)
サブ通路:次の山の準備売場
エンド:全期間共通商品(酒類・ギフト)
例:クリスマスケーキ売場の横に、おせちカタログコーナーを併設
2.週単位での山のバランス調整(例)
第1週:クリスマス70%+年末20%+正月10%
第2週:クリスマス60%+年末25%+正月15%
第3週:クリスマス40%+年末40%+正月20%
第4週前半:クリスマス30%+年末50%+正月20%
第4週後半:年末60%+正月40%
3.イベントごとの転換スピード
24日夜:2時間以内にクリスマス撤去
25日朝:年末商品を最前面に
31日:1時間ごとに正月商品を補充
4.在庫管理の山別設計
クリスマス商品:24日完売を目標
年末商品:30日まで潤沢に
正月商品:31日の駆け込みに対応
5.スタッフシフトの山対応
クリスマス:ギフト対応スタッフ増強
年末:品出し・レジ要員最大化
正月準備:早朝・深夜要員も投入
■まとめ:12月は「3つの山のマネジメント」が成功の鍵
12月の販促成功の方程式
「クリスマスの盛り上げ力」×「年末への転換スピード」×「正月準備の対応力」= 年間最大売上
3つの山それぞれの特性を理解し、スムーズな転換を実現し、すべての山でピークを作れる売場が、12月の勝者となります。
皆さんの売場では、どんな「山」の準備を考えていますか?
■編集後記
今回から始まった「2025年12月の販促設計」、いかがでしたか?
「3つの山」── 聞けば当たり前のように感じるかもしれません。でも、この山を同時に管理し、スムーズに転換していくのは至難の業です。
その難しさを「データと経験則」で見える化し、「再現性のある技術」にする。それがこのシリーズの目的です。
次回は、この「3つの山」をより具体的に、家計データや気象データと連動させた実践法をお伝えします。
■次回予告
【月刊・販促設計】第2回「データで読む12月〜支出・気温・イベントの相関法則」
「家計調査が示す12月支出の3大ピーク」とは?
次回は、統計データを活用した具体的な販促手法を徹底解説。数字が語る歳末商戦の真実を大公開します。
ボーナス支給日から逆算する購買タイミング
気温と年末商材の意外な相関
イベントごとの支出構造分析
データと感覚をつなぐ、新しい販促設計法にご期待ください!
第3回
「歳末仕掛けと準備リスト」〜3つの山を制する実務完全ガイド
■お問い合わせ
公式サイト: https://satake-p.com
(お仕事のご相談はこちらから)
室長プロフィール
佐竹 昭治|株式会社サタケプランニングオフィス 代表取締役
小売・サービス業の現場で、生活者視点を軸にした販促戦略を提案。マーケティングプランナーとしての経験(20年以上)×データ分析×AI活用による「ハイブリッド販促設計」で、「伝わる販促」「来店してもらえる仕掛け」づくりをサポート中。
あなたの販促にも、次世代の設計力を。
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※このnoteは、株式会社サタケプランニングオフィスが運営する架空の研究所(ミタカ販促設計ラボ)の設定でお届けしています。
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