"年明けの三相"を設計する〜初売り/連休/日常回帰のスイッチング術【3か月先を読む 月刊販促設計 2026年1月号 第1回】
小売業の皆さん、「1月は初売りの後がダラダラして、売場の軸が定まらない」と感じたことはありませんか?
12月は3つの山(クリスマス・年末・正月準備)で忙しいけれど売上は取れる。2月はバレンタインと新生活で見通しが立つ。
その中間にある1月だけが、「初売りは盛り上がるけど、その後が続かない」「成人の日までの空白期間がもったいない」「受験シーズンなのに売場展開が曖昧」と危惧される月です。
初売りの爆発力はあるのに、月間を通じた売場に「流れ」が作れない――初売り、成人の日連休、日常回帰という3つの消費の相(フェーズ)が、明確な転換点を持たないまま進行するからです。
本連載では、この1月特有の"3つの相"に注目します。
「初売り・福袋期」「成人の日連休」「日常回帰・受験準備」。
この3つの消費の相が、1月4日、12日、17日という節目を持って段階的に切り替わる――。
データと現場感をもとに、この「3つの相」をどう管理し、スムーズな売場転換を実現するか、具体的に読み解いていきます。
こんにちは。地域密着型の販促を考える仮想研究室「ミタカ販促設計ラボ」室長のサタケです。
前回の「12月の販促設計」シリーズでは、「3つの山」という考え方でクリスマス・年末・正月準備の波を分析してきました。(※「3つの山」とは、12月特有の連続する消費ピークのことです)
さて、今回から「2026年1月の販促設計」3回シリーズがスタートです!
■月刊・販促設計とは
「1月は初売り以降、どう売場を作ればいいか分からない」
現場でよく聞く、この迷い。皆さんも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
「月刊・販促設計」は、そんな悩みに寄り添うための連載です。
【こんな方に読んでいただきたい】
スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどの店長・売場責任者
年明けの販促企画に頭を悩ませる販促担当者
地域密着型の個人商店・専門店の経営者
初売り後の売上維持に苦労するすべての小売業の方
規模の大小を問わず、「1月の相転換をどう乗りこなすか」を考える立場の方に向けて、実践的なヒントをお届けします。
家計調査や気象データなど、生活者の行動変化を裏付ける「根拠のある情報」をもとに、3か月先の売場を週単位で設計していきます。
相を読み、転換をつかみ、売場を先回りして整える。小売りの現場に立つみなさんと一緒に考えたい、販促の「設計図」をお届けします。
■1月販促設計の視点:「3つの相」という考え方
1月。初売りの勢いはあるものの、月間を通じて売場の軸が定まりにくい月です。
10月の秋本番の中、3カ月先の1月の販促計画を考えるのは難しいかもしれません。しかし、年明け商戦の成功は「3カ月前からの設計」が成否を分けます。
【「3つの相」とは何か】
ミタカ販促設計ラボが考える1月の「3つの相」とは
第1の相:初売り・福袋期(1/1〜1/4)
福袋・初売りセール
お年玉消費(キッズ・ゲーム)
新春特別企画
第2の相:成人の日連休(1/10〜1/12)
冬物最終処分
まとめ買い需要
乾燥対策商品
第3の相:日常回帰・受験準備(1/17〜18 共通テスト週)
受験応援グッズ
体調管理商品
新学期準備
この3つの相が、1月という1か月に段階的に現れる ―― それが1月販促の最大の特徴です。
たとえば
福袋を売りながら、受験応援コーナーも準備する(第1の相と第3の相の同時進行)
成人の日前には冬物処分と日常商品を転換(相から相への段階移行)
お年玉需要のピークと受験準備が重なる(第1の相と第3の相の重複)
この「今」と「次」と「日常」の段階管理こそが「3つの相」であり、1月販促の最大のポイントなのです。
■1月のイベントが生む「相転換」のメカニズム
1月は重要なイベントが、この「3つの相」を明確に区切ります。
【相を形成する主要イベント】
初売りの相を作るイベント
1月1日:元日・初売りスタート
正月三が日:親族訪問・お年玉
1月5日:仕事始め(相転換の始まり)
連休の相を作るイベント
1月第2月曜:成人の日(2026年は1/12)
三連休:家族来店のピーク
冬物最終処分のタイミング
日常回帰の相を作るイベント
共通テスト(1/17-18)
新学期準備
バレンタイン・節分の種まき
つまり、それぞれの相が明確な境界を持ちながら進行する ―― これが1月販促を読み解く鍵となります。
■データが示す「1月消費の二面性」
【前年(2025年)1月の消費実態を読み解く】
総務省「家計調査」2025年1月データによると、消費支出は305,521円(前年同月比 実質0.8%増)と、2カ月連続のプラスとなりました。
注目すべき増加項目
住居:実質寄与度1.80(設備修繕・維持が82.1%増)
教育:実質寄与度0.35(授業料等が10.6%増)
光熱・水道:実質寄与度0.17(電気代が2.0%増)
注目すべき減少項目
食料:実質寄与度-0.69(野菜・海藻、果物が減少)
家具・家事用品:実質寄与度-0.44(家庭用耐久財が減少)
考えられる要因
年始の「住環境リフレッシュ」意識の高まり
受験シーズンによる教育投資の増加
正月明けの「節約モード」への転換
ポイント
1月は「ハレとケの転換月」
だからこそ「3つの相」への対応力が売上を左右する
【時系列で見る心理変化の「3つの相」】
私たちの分析では、1月を週単位で管理することを推奨します。
●1月第1週(1日〜4日)
初売り・福袋の爆発的需要
「新年だから」という開放感
お年玉消費の即時性
衝動的な購買行動が中心
●1月第2週(5日〜11日)
日常への段階的回帰
成人の日準備の意識
冬物在庫の処分意識
「そろそろ普通に」という落ち着き
●1月第3週(12日〜18日)
成人の日連休のまとめ買い
共通テスト直前の緊張感
受験応援商品の需要ピーク
「勝負の時」という切実さ
●1月第4週(19日〜25日)
完全な日常モードへ
新学期準備の本格化
2月イベントの種まき
「今月も後半」という焦り
●1月第5週(26日〜31日)
月末の締めくくり消費
バレンタイン早期展開
節分準備の開始
「2月への準備」という先行意識
■現場で活用される「成人の日前」と「共通テスト週」の転換則
【売場転換のゴールデンタイム】
小売業の現場では、長年の経験から以下のような法則が共有されています。
成人の日前の法則
第2週木曜・金曜(1/8-9)から転換開始
土曜日には連休モードへ完全移行
「初売りから連休へ」の段階的チェンジ
共通テスト週の法則
成人の日翌日(1/13)から転換
受験応援を前面に
「連休から日常へ」の最終転換
実践アドバイス
成人の日前の木・金曜で初売り商品を7割撤去。
連休明けには「がらりと変わった日常売場」でお客様をお迎えする準備を。
■「3つの相」を売場に落とし込む5つの実践ポイント
1.相の重複を前提とした売場設計
メイン通路:現在の相(初売り→連休→日常)
サブ通路:次の相の準備売場
エンド:全期間共通商品(健康・美容)
例:福袋売場の横に、受験応援コーナーを段階的に拡大
2.週単位での相のバランス調整(例)
第1週:初売り80%+連休10%+日常10%
第2週:初売り30%+連休50%+日常20%
第3週:連休40%+日常60%
第4週:日常80%+2月準備20%
3.イベントごとの転換スピード
1/4夜:初売り商品を段階撤去
1/8-9:連休商品を最前面に
1/13:受験応援を全面展開
4.在庫管理の相別設計
初売り商品:1/4完売を目標
連休商品:1/12まで潤沢に
日常商品:1/13から通常運用
5.スタッフシフトの相対応
初売り:全員体制で対応
連休:まとめ買い対応増強
日常回帰:通常シフトへ
■まとめ
1月は「3つの相のマネジメント」が成功の鍵
1月の販促成功の方程式 「初売りの爆発力」×「連休への転換力」×「日常回帰の安定力」= 月間売上の最大化
3つの相それぞれの特性を理解し、スムーズな転換を実現し、すべての相で適切な売場を作れる店舗が、1月の勝者となります。
皆さんの売場では、どんな「相」の準備を考えていますか?
■編集後記
今回から始まった「2026年1月の販促設計」、いかがでしたか?
「3つの相」―― 12月の「山」とは違い、消費者マインドが段階的に変化していく1月特有の現象です。
その変化を「データと経験則」で見える化し、「再現性のある技術」にする。それがこのシリーズの目的です。
次回は、この「3つの相」をより具体的に、家計データや気象データと連動させた実践法をお伝えします。
■次回予告
【月刊・販促設計】第2回「データで読む1月〜"財布・気温・イベント"の相関を運用する」
「家計調査が示す1月支出の地域差」とは?
次回は、統計データを活用した具体的な販促手法を徹底解説。数字が語る年明け商戦の真実を大公開します。
お年玉から逆算する消費タイミング
気温と冬物処分の意外な相関
イベントごとの支出構造分析
データと感覚をつなぐ、新しい販促設計法にご期待ください!
第3回(最終回) 「年初現場の完全攻略〜"三相スイッチ"を売上に変える運用チェックリスト」
■お問い合わせ
株式会社サタケプランニングオフィスは、三鷹を拠点に小売業・地域事業者・自治体の"伝わる販促・広報"を支援するマーケティング会社です。
公式サイト: https://satake-p.com/ (お仕事のご相談はこちらから)
室長プロフィール
佐竹 昭治|株式会社サタケプランニングオフィス 代表取締役
小売・サービス業の現場で、生活者視点を軸にした販促戦略を提案。マーケティングプランナーとしての経験(20年以上)×データ分析×AI活用による「ハイブリッド販促設計」で、「伝わる販促」「来店してもらえる仕掛け」づくりをサポート中。
あなたの販促にも、次世代の設計力を。
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※このnoteは、株式会社サタケプランニングオフィスが運営する架空の研究所(ミタカ販促設計ラボ)の設定でお届けしています。
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チップは今後の調査・記事制作の資金として大切に使わせていただきます。──室長・サタケ