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AIH入門(Twitterより)

TwitterでGibert Lingの小難しい概念を解説しているアカウントを発掘したので翻訳する。

ギルバート・リン入門:リンの研究を読み解く時に理解しておいた方がいい概念


ナトリウムイオンポンプ

ナトリウムポンプのエネルギー収支計算
 0℃で実施。リンは解糖系阻害剤にヨード酢酸ナトリウムを、酸化リン酸化阻害剤に窒素とシアン化物を使用した。これにより細胞が追加のATPを生成しないようにした。
 次に酵素アッセイを用いて細胞内の全ATP、ADP、クレアチンリン酸を定量した。これらの結果から、全てのリン酸結合の総エネルギー量を算出した。
 リンはその後、²²Naによる放射性トレーサー研究により、仮説上のポンプ速度に相当するNa⁺交換速度を測定した。この計算上のポンプ速度を実験期間全体で積分し、ポンプが克服した総電気化学的勾配を乗じることで、必要最小限のエネルギーを算出した。算出された必要最小エネルギーは、算出された利用可能最大エネルギーと比較された。

カルボキシル基

カルボキシル基:
 
タンパク質はアミノ酸残基という基本単位からなる長鎖分子。
 アスパラギン酸とグルタミン酸はアミノ酸。これらがタンパク質に組み込まれると、残存部分が「残基」となる。
 
カルボキシル基(COOH)は、アスパラギン酸とグルタミン酸のタンパク質残基に見られる酸性官能基。電離するとプロトン(H⁺)を放出し、単一負電荷を帯びた固定アニオン(COO⁻)として残る。
 
"β-"や"γ-"の接頭辞のあるカルボキシル基は、アミノ酸の側鎖上にあることを意味する。タンパク質の主鎖形成の為に他のアミノ酸と結合するα-カルボキシル基と区別される。
 β-カルボキシル基はアスパラギン酸残基、γ-カルボキシル基はグルタミン酸残基が特異的に担う。
 これら官能基は単極性であり、単一の負電荷を帯びている。これら固定負電荷は「固定アニオン」と呼ばれ、細胞原形質に於けるカリウム(K⁺)の吸着サイトの大部分を提供する。

吸着

吸着:
 
吸着とは、不動の系やマクロ分子上にある離散的な局在化サイトによる分子やイオンの捕捉のこと。吸着した実体は通常、吸着サイトとの密接な接触を保ち、吸着体一つにつき一つのサイトの関係で付着する。
 吸着は、固体や液体表面上で特異的に起こる濃縮を表す。このプロセスは、固体内部に物質がほぼ均一に浸透する「吸収」とは大きく異なる。
 視覚的な静電吸着を簡単に例えると、風船を人の頭に擦り付けること。風船を離すと、追加のエネルギーの投入無しに髪の毛に付着する。髪はタンパク質、風船はイオンと見做せる。

c値

c値:
 化学的にc値は酸解離定数(pKa)に似ている。pKaは、酸の水素イオン(H⁺)に対する親和性を定量化する。
 pKaが高ければプロトンに対する酸の強い親和性を意味し、弱い酸を定義する。一方、pKaが低ければプロトンへの弱い親和性を示し、強い酸を定義する。
 pKaは溶液中の酸分子の半分がそのH⁺を放出する特定のpH値であり、c値はカルボキシル酸素原子の実効電子密度を測定する電子パラメータを指す。従ってc値はpKaの定量的類似体となる。
 pKaが酸のプロトン親和性に関連するように、c値はカルボキシル基の特定のイオンに対する吸着親和性を示す。c値の大きさは、カルボキシル基が特定の陽イオン(正電荷を持つイオン)を吸着する親和性を決定する。
 例えば低いc値はNa⁺よりK⁺の吸着を選び、反対に高いc値はNa⁺の吸着を選ぶ。
 この選択的吸着は、競合するイオンが固定されたカルボキシル部位と密接に接触する際の、それらの短距離物理的特性、特に水和サイズに依存する。

水和殻

水和殻:
 水和殻とは、水溶液環境で静電引力によってイオンを囲む水分子の層のこと。生身のK⁺は生身のNa⁺より自然に大きいのに、より小さな生身Na⁺は水をより強力に引き付ける。
 この強力な引力で、水和したNa⁺は水和K⁺より大幅に大きくなる。

分極水

分極水:
 水分子は非対称だ。分子の一端が部分的に正電荷(δ⁺)を帯び、他端は部分的に負電荷(δ⁻)を帯びている。
 水は非常に分極化しやすく、電場近くで誘起双極子を発生させる。この性質により、水分子は他の分子を引き寄せ、水素結合を形成する。
 これらの結合のお陰で、細胞の分極配向多層水は通常の液体水より水-水の相互作用エネルギーが強く、水分子間の凝集力が強くなる。
 大きな水和Na⁺の収容には、細胞の構造水に穴を空ける為のエネルギー消費が必要となり、それは外部環境からの回収エネルギーより多い。
 水和Na⁺はその巨大なサイズによって、この分極水から排除される。

原形質

原形質:
 細胞内にあるあらゆる生体物質の総称であり、歴史的に「生命の物理的基礎」と呼ばれた。
 AIHによれば、原形質とは、タンパク質, 水, K⁺が密接に関連し合い、電子的に相互作用しつつ、主にATPが担う重要な制御剤で構成される特定のシステムである。
 原形質はすべての生理活動の場であり、特定の高度に秩序化された高(負)エネルギー/低エントロピーの静止生活状態として存在する。一方、細胞質は原形質の特定のタイプを指す。細胞質は、細胞の核以外の原形質と定義される。

エントロピー

エントロピー:
 エントロピーは分子のランダム性の測定値であり、低エントロピーは原形質の緊密な秩序化を反映する。静止生活状態は、低エントロピー/高(負)ポテンシャルエネルギーを特徴とする。
 細胞内の水のほぼ全ては、完全伸長タンパク質鎖上に分極配向多層として吸着しており、K⁺はこれらタンパク質上の固定負電荷に直接吸着している。
 高い負エネルギーは、生体物質の構成要素間の強烈な静電的結合を反映する。この秩序的な集合体は高いポテンシャルエネルギーを有し、それは全システム内に蓄えられ、生物学的仕事に利用できる。
 活動中、例えば筋収縮や神経伝達のような時、細胞は一過性に低エネルギー/高エントロピー状態に移行する。

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