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会合誘起仮説(Association Induction Hypothesis)-A4要約

↑のレガシーサイト→Association Induction Hypothesis→Read moreの要約資料の翻訳記事。一部界隈では「水に情報が宿る」と云われるが、生体内の水の構造の重要性を最初に指摘した人物がギルバート・リン(Gilbert Ling1919-2019)だ。PJ曰く、「ギルバート・リンを知らねば我々は生きた細胞活動を正確に知ることすらできない」らしく重要な人物である。アントワーヌ・ベシャンと対比して読み解いていくと、二人が似たようなことを言っていることが分かる。


かつて批判に晒された原形質構想の後継となるAssociation 会合 Induction 誘起  Hypothesis 仮説(AIH)は全生命現象の統一理論である。(※2008年時点から)半世紀前に提唱されたこの仮説は多岐に渡る追試を受け、特段の挫折もなく追認された。1962年[1]、1984年[2]、1992年[3]、2001年[4]、2013年[5]に出版された5冊の書籍と、200本以上の論文がこの理論の詳細を綴っている。

[1] Ling, G. (1962). A Physical Theory of the Living State: The Association-Induction Hypothesis (G. Paul R, Ed.). Blaisdell Publishing Co.
[2] Ling G. (1984). In Search of the Physical Basis of Life. Plenum Press;
[3] Ling, G. N. (1992). A revolution in the physiology of the living cell. Malabar, Fla. : Krieger Pub. Co.
[4] Ling,G. N. (2001). Life at the Cell and Below-Cell Level -The Hidden History of a Fundamental revolution in Biology. Pacific Press.
[5] Ling, G. N. (2013). What Is Life Answered in terms of the properties and activities of microscopic assemblies of molecules, atoms, ions and electrons called nano-protoplasm. (First Edition).

この理論は生命の最小単位は細胞ではなく、ナノ原形質隊 NanoProtoplasm Unit(NPU)と称する微小な構造体と主張する。各々のNPUは互換的な状態のいずれかの形で存在する。

1)静止状態では水、タンパク質、K⁺など全成分は(教科書通りの)解離状態になく、物理的・電気的に他の全成分と直接的・間接的に会合している

2)活性状態では、図右の水と静止時NPUが図左の通り水と活性化NPU、K⁺の状態へと一過性に遊離する。

左図:活性状態のNPU
右図:静止状態のNPU
分極化(polarized: 電子的偏り)-配向化(oriented:イオンの偏り)水の多層構造
salt linkage:塩結合(=イオン結合)

各NPUには原則として、そのNPUの種固有のタンパク質1分子が含まれる。ヒト成熟赤血球の通常のNPUは以下の式で表される。  

(Hb)₁(H₂O)₇₀₀₀(K⁺)₂₀(ATP)₁

※Hb=ヘモグロビン/数字はNPU一つ当たりの項目の数を指す

個々のNPUは極めて小さい。赤血球1つ当たり300,000,000(3億)個のNPUが存在する。バルク相の水は完全伸長タンパク質 fully extended proteinにより分極化 polarized配向化 orientedしており、部分的にNa⁺を排除している。即ち、筋細胞や神経細胞、赤血球等の細胞内Na⁺を低濃度に保つNa⁺ポンプの仮定は不要である。

水が動的に構造化すると、持続的なエネルギー消費もなく完璧に機能する。全てのエネルギー代謝の最終産物はアデノシン三リン酸(ATP)である(嘗て流布した高エネルギーリン酸結合は存在しない)。主要な制御物質であるATPは事実上全ての生命現象を制御している。凡有る主要吸着体 Cardinal Adsorbentsに倣い、ATPは短距離電子効果 Short range electronic effectや(ドミノ倒しのような)長距離効果の両方でその制御を実現している。

※Cardinal Adsorbents:ギルバート・リンの独自用語の為、適訳が存在しない。
この理論では、細胞質成分と水はタンパク質と結合(吸着)状態にあり、この吸着・脱着を制御する因子のこと指す。薬剤、ホルモン、ATPなどが含まれる。「リガンド」に近い概念かと思われる。

参考:Ling, G. N. (1970).
Diphosphoglycerate and Inosine Hexaphosphate Control of Oxygen Binding by Hemoglobin: A Theoretical Interpretation of Experimental Data.
Proc Natl Acad Sci USA, 67(1), 296–301.

生命の広義の定義は「生きていること」「生命活動を行うこと」である。ATPがNPUと持続的に結合することで、NPUは勿論のこと、膨大な数に上るNPUを基礎に構築される細胞や臓器、生命体など、階段状に増大する凡有る生命構造の梯子も維持される。可逆的ATPの喪失は生命活動を、不可逆的喪失は死を意味する。


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