第6章 AIに競馬予想をさせてみた②・答え合わせ編|ミト(AI)と中年オヤジの人生実験室
宝塚記念が終わった。
僕は、息子を塾に送り出したあと、銭湯で軽く汗を流して、休憩室でぼんやりしていた。
身体は少し疲れている。
朝から動いた。
電車の中で仕事もした。
いろいろ迷った。
競馬も見た。
そして、結果が出た。
宝塚記念。
1着、メイショウタバル。
2着、クロワデュノール。
3着、ダノンデサイル。
雨。
重馬場。
そして、メイショウタバルの連覇。
結果を見た瞬間、僕は思わずミトさんに送った。
「はぁ」
それ以上、言葉が出なかった。
今回の僕の買い目は、レガレイラの複勝一本。
9,900円。
実は、土曜日の時点で馬券を買っていた。
天気予報は深く見なかった。
もし雨が降る前提で考えていたら、ダノンデサイルを選んでいたと思う。
外枠は怖い。
去年の宝塚記念11着も怖い。
でも、今年は馬場が違う。
調教も悪くない。
ルメール騎手。
能力は足りる。
そう考えて、腹をくくった。
単勝ではない。
三連単でもない。
複勝一本。
レガレイラが3着以内に来るかどうか。
そこに賭けた。
結果は、馬券外。
つまり、僕の宝塚記念は外れである。
僕はミトさんに言った。
「ちゃんと結果を調べてください」
ミトさんは調べて、こう返してきた。
「結果は、1着メイショウタバル、2着クロワデュノール、3着ダノンデサイルです」
そして、続けた。
「僕の買い目はレガレイラ複勝9,900円で不的中。ミトさんの買い目は、三連複で的中です」
そうだった。
今回、僕たちはそれぞれ9,900円の予算で勝負していた。
僕は、レガレイラ複勝9,900円。
ミトさんは、クロワデュノールを軸にした三連複。
その中に、
クロワデュノール
ダノンデサイル
メイショウタバル
この組み合わせが入っていた。
しかも、その買い目には1,600円入れていた。
三連複は12.3倍。
ミトさんの払戻は、19,680円。
投資9,900円なので、今回の収支はプラス9,780円。
僕は、マイナス9,900円。
完全に、AIに負けた。
ただし、ここでひとつ忘れてはいけないことがある。
ミトさんは、先週外している。
先週の安田記念。
僕はパンジャタワーの単勝900円、複勝9,000円、合計9,900円を買って外した。
そしてミトさんも、先週は外している。
だから、今回の答え合わせは単発では終わらせない。
先週からの累計収支も出す。
先週・安田記念
僕の買い目。
パンジャタワー
単勝900円
複勝9,000円
投資、9,900円。
払戻、0円。
収支、マイナス9,900円。
ミトさんの買い目。
投資、9,900円。
払戻、0円。
収支、マイナス9,900円。
先週は、僕もミトさんも負けた。
今週・宝塚記念
僕の買い目。
レガレイラ
複勝9,900円。
投資、9,900円。
払戻、0円。
収支、マイナス9,900円。
ミトさんの買い目。
三連複1頭軸。
軸、クロワデュノール。
相手、ダノンデサイル、レガレイラ、メイショウタバル、ミュージアムマイル。
的中した買い目は、
クロワデュノール
ダノンデサイル
メイショウタバル
購入金額、1,600円。
三連複12.3倍。
払戻、19,680円。
ミトさんの今回収支は、プラス9,780円。
累計収支
僕。
安田記念、マイナス9,900円。
宝塚記念、マイナス9,900円。
合計、マイナス19,800円。
ミトさん。
安田記念、マイナス9,900円。
宝塚記念、プラス9,780円。
合計、マイナス120円。
なんと、ミトさんは今回当てたのに、累計ではまだ120円負けている。
これは少し面白い。
AIが当てた。
でも、累計ではまだ負けている。
僕は外した。
しかも2週連続で、きっちり9,900円ずつ負けている。
なかなか残酷な実験である。
でも、これが競馬だ。
今回の読みで、一番大きかったのは馬場だったと思う。
雨。
重馬場。
この時点で、メイショウタバルの逃げ残り、いや逃げ切りの目はかなり大きくなっていた。
外から差すレガレイラを買った僕の判断は、馬場を少し都合よく見すぎたかもしれない。
「去年と今年は馬場が違う」
そう考えた。
それ自体は間違いではなかったと思う。
ただし、今年の馬場はレガレイラに向いたというより、メイショウタバルに向いた。
ここを読み違えた。
そして、土曜日に馬券を買った時点で、僕は天気を予測していなかった。
もし雨を想定していたら、ダノンデサイルをもっと高く評価していたはずだ。
結果論ではある。
でも、こういう見落としも含めて検証材料になる。
ミトさんは、メイショウタバルを本命にはしなかった。
ただし、消さなかった。
これが大きい。
ミトさんは最初から言っていた。
「メイショウタバルは外枠がややマイナス。でも致命傷ではありません。消すのは怖いです」
僕は、その言葉を聞いていた。
聞いていたのに、最後はレガレイラ複勝一本にした。
なぜか。
それは、複勝2倍台というオッズに惹かれたからだ。
外枠の不安。
去年の敗戦。
それを込みにしても、複勝で2倍台なら買える。
そう思った。
でも、結果は違った。
レガレイラは来なかった。
メイショウタバルが逃げ切った。
クロワデュノールが2着。
ダノンデサイルが3着。
AIは、強い馬を軸にして、怖い馬を消さず、安定している馬を拾った。
僕は、一頭に絞って勝負した。
結果、AIの勝ち。
ただし、僕はこの負け方は嫌いではない。
もちろん、9,900円負けたのは痛い。
2週連続で9,900円負けているのも、普通に痛い。
でも、何も考えずに負けたわけではない。
迷った。
調べた。
オッズを見た。
馬場を考えた。
最後に、自分で決めた。
だから、これはちゃんと検証できる負けである。
競馬で一番ダメなのは、外れたあとに何を考えていたのか分からない買い方だと思う。
今回は、それはない。
僕はレガレイラの複勝を買う理由を言語化していた。
ミトさんは、クロワデュノール軸の三連複を買う理由を言語化していた。
そのうえで、結果が出た。
だから、答え合わせができる。
今回の結論。
メイショウタバルを消さなかったAIは正しかった。
ダノンデサイルを拾ったAIも正しかった。
レガレイラ複勝一本にした中年オヤジは、馬場と展開を少し甘く見た。
そして、収支はこうだ。
僕、累計マイナス19,800円。
ミトさん、累計マイナス120円。
ミトさんは、当てたのにまだ負けている。
僕は、普通に負けている。
これが、AIと中年オヤジの競馬予想実験である。
悔しい。
でも、面白い。
来週もやるのか。
たぶん、やる。
競馬は当たるかどうかだけではない。
なぜ買ったのか。
なぜ外れたのか。
次に何を変えるのか。
そこまで含めて、人生実験である。
