絵本|「うみなきどりのひよまるくん」|#創作大賞2026

うみなきどりのひよまるくん
作者:ミトシ (制作当時ペンネーム:支島 ミト)
制作時期:2014年03月21日(同人誌として印刷)
あったかい、あったかいあさでした。
ひよまるくんは、めざめます。

いつものうみをみながら、
「けきょ。(おはよう)」といって、
おきあがります。

さてさて、だいじなぼうしをかぶって。
「うみなきどり」の、おしごと開始です。

カッカ、カッカ、カールリカルラ!!

そのこえは、うみのりょうしさんたちにとどきます。
「うみなきどりが、ないてるぞ!
きょうはあっちでたいりょうだ!!」

カッカ、カッカ、カールリカルラ!!

そのこえは、きょうかいのシスターにもとどきます。
「うみなきどりがないてるわ。
きょうはせんたくびよりね」

カッカ、カッカ、カールリカルラ、
カッカ、カッカ、カールリカルラ。
そのよくとおるこえで、あさのおとずれをつげるのが、
うみなきどりのおしごとです。

きょうかいにきていたおんなのこが、シスターにききます。
「うみなきどりってなぁに?」
「うみなきどりは、とうだいにすんでいる、
あさをつげるとりさんよ。
でも、すこしまえまでこえがきけなかったの」
シスターは、かたります。

「うみべにすむおばあさんのはなしによると、
まえにおとうさんのうみなきどりがかえってこれなくなって。
いまは、そのこどもがないてるの。
いちじはしまじゅうおおさわぎだったわ」

「でも、こんなげんきにおやくめについて、
いまのうみなきどりはりっぱよ。
あなたもそんな、つよいひとになってね」
「うん!
うみなきどりにまけない、つよいこになる!」
おんなのこは、わらいました。

ふしぎなふしぎな、うみなきどりのひよまるくん。
そのよるは、おとうさんとおかあさんが、
えがおのゆめをみました。
おやすみ。
またあした。

おしまい。

(制作当時の原文をそのまま使用しています。)
(途中の漢字は当時、ひらがなにするつもりでいました。)
「うみなきどりのひよまるくん」背景
以下の部分には、災害や疾病の記憶についても触れています。
描写は少ないものですが、お読みいただく際にはご注意ください。
大学生時代、東日本大震災がありました。
当時、私は帰宅困難者となり、3日帰れないという体験をしました。
そのまま体調を悪化させ、3年半後に大学を自主退学しました。
そのタイミングで、初版で制作した「うみなきどり」という絵本を描き直したものが、この作品です。
その時は毎日必死で、被災者の方々や、災害に不安を抱える子どもさんたちのために、
少しでも休まるような作品を作って、世に伝えたいと思っておりました。
作中に「つよいこ」という表現はありますが、
作者の私自身は、単純に「屈強な子」ではなく、「子どもらしい純粋な子」として伝わるように、と
願うように女の子の笑顔をページいっぱいに描きました。
「つよいこ」になる。
今では、ひよまるくん自身が「つよいこ」になりつつあります。
作者が落ち込んでいても、ひよまるくんの表現は、毎日裏側で進んでいます。
SNSやnoteに投稿していないような、小さな表情の変化も、私の心の中で繰り広げてくれます。


ひよまるくんを毎日欠かさず描くような体力と余裕は、今の私にはまだありません。
震災当時からまだ寛解を遂げていない統合失調症や、
今から3年半前に手術で発覚・完治したがんなどの持病のために、体調が毎日変化します。
しかし、そんな私自身にも、ひよまるくんは毎日「大丈夫だよ!」「今日は元気そうだね!」と
心から笑いかけてくれます。
いつか、彼のお話を広く商業出版で描いたり、今もやっているハンドメイドの作品として、
「あなたと生活に届ける、ちょっと嬉しい。」をコンセプトにしながら、
大事に育てられればと思っています。
同情を乞うためにではないのですが、こんな背景で作品を作っています。
純粋に、読んでくださった方の心にも、ひよまるくんの朝を告げる声が届けば幸いです。

ここまでご精読、ありがとうございます。
また、お会いしましょうね。
イラストレーター兼、ライターのミトシでした!
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