「僕らの季節」を通して感じる純愛〜感想、考察記事〜
「WANDERINGの楽曲の感想を文章にしたい!」とふと思ってからしばらく経ちましたが、何とか一歩踏み出して文章作成に勤しむ事になりました。どうも、ミトラです。
推しグルから貰った冬の贈り物を大切にしたい事に加えて、「もっとJO1の音楽への解像度を上げたい」と思ったのがきっかけの記事。音楽の専門家ではない一介のオタクではありますが、そんな一介のオタクが推しの音楽について深く考えてはいけない、語ってはいけないなんていう道理はありません。
私なりに、「何故この音が鳴っているのか」「この音が齎す意味は何か」を考えて言葉にしました。楽曲を聴きながらお楽しみいただければ幸いです。
本当はWANDERINGから3曲くらい取り出して記事を書きたかったのですが、僕らの季節を書いた段階で一つ達成感を抱いてしまったので1曲のみですが出す事にします。
それでは早速始めていきますよ!
僕らの季節について
作詞:YOSKE・Kim Mi Ryang(ALIVE KNOB)・Kim Ji Hee(ALIVE KNOB)・Baek Joo Yeun(ALIVE KNOB)
作曲:Minyoung Lee(EastWest)・YOSKE・Yeul(1by1)
編曲:Minyoung Lee(EastWest)・Yeul(1by1)
まずはタイトル曲「僕らの季節」から。WANDERINGの先頭に位置している曲です。
1年前に出た「Shine A Light」から制作陣をほぼ引き継いでいるのが大きな特徴です。まさに、JO1の冬といえばこの人達!という布陣なのではないでしょうか。
ほぼ同じ制作陣による冬の曲なので、Shine A Lightと似たような部分はありますが、勿論違う魅力も存在します。それらも踏まえて紹介できたらと思います。
ノスタルジックな世界観とそれを想起させる距離感
この楽曲は全体を通して透き通ったような印象があり、まさに冬の澄んだ空気のような混ざりけのない綺麗な楽曲になっています。楽曲自体が盛り上がりの激しいうるさめの楽曲ではない事、歌っているメンバーの声が前半〜中盤まで空気の分量が多いように聴こえる、というのも要因として考えられます。
また、サビのドラムの打ち込みが少し昔のクリスマスソングやJPOPのサウンドを彷彿とさせるので懐かしさも併せて感じる事が出来ます。
そんな僕らの季節を表現するのにぴったりな言葉を見つけました。それは「ノスタルジック」です。
ノスタルジック
遠い懐かしさを感じさせる、得がたいもの、失われたものなどに対して、心惹かれ、思いを馳せ、憧れや恋しさを抱く様などを意味する語。主に「郷愁」と訳される。かつて過ごした故郷をしみじみと懐かしむ気持ち(懐愁の念、望郷の念)として想起されることが多い。
ノスタルジックという言葉の意味を理解してから歌詞に注目してみましょう。
僕らの季節の歌詞にはサビの「今すぐ君に会いに行くよ」「振り向いたら後ろにいるよ」を始めとした「僕」が「君」の元に向かって出会おうとする心意気が書かれています。ただ、その向かおうという意識の強さが通して感じられる中で僕と君が「出会えた」という描写が歌詞の中には無いんですね。
それを踏まえると、僕と君はもしかしたら距離的に、時間的に(時間が絡むと少しSF要素が入りそう)離れた場所にいて、離れた所にいる大事な人に思いを募らせ続ける歌詞なのかもしれません。その考察の裏付けとして0:40~のラップの歌詞は「今たまらないほどに恋しい」という歌詞が使われています。「恋しい」という言葉は今すぐ手に入るものや近くにあるものに向けて使う言葉ではないため、この言葉からも離れた距離を連想する事が出来ます。
歌詞に続いて、音も含めて考えてみます。私が僕らの季節を聴いて感じたのは「楽曲に見える空間の広さ」です。
音楽は目に見えないのに何故空間の話になるのか?というと、それは音の響きが関係しています。僕らの季節のイントロ、MVだと0:06、0:10辺りに「カーン」というドラムとはまた違った少し乾いた音が鳴っているのが聴こえてきます。その音の響きが意図的に切られているのではなく、ずっと残り続けてやがて消えていくように調整されています。
この鳴った音の響きが聴こえ続ける時間が長い事で、歌詞の部分でも触れた距離的な遠さが感じられているように思います。僕らの季節は、狭い部屋ではなくとても広い場所をイメージして作られた楽曲なのかもしれません。
楽曲全体を通してこの響きが残る時間を大事にしている楽曲なので、皆さんも是非曲中の打楽器や鈴、ガラスの割れる音が齎す響きに注目してください。
このように、歌詞や音楽の中には聴いている側に「遠さ」を感じさせる要素が散りばめられているのが、僕らの季節という曲の一貫したテーマを感じさせています。この楽曲が出たのは冬という温かさが恋しくなる季節ですが、そこで温かさを提供するのではなくあえて「恋しいという感情に寄り添う曲」を届ける事でノスタルジーな感情が想起され、聴き手の心に残るように仕掛けがされているのかもしれません。
役割が分かれる2つのサビ
ノスタルジックという言葉を使って楽曲の世界観について考察しましたが、次はサビに注目していきます。
僕らの季節のサビはリズムによって二つに分けて考える事が出来ます。
まずはリズムをゆったり取りながら進んでいくフレーズ。楽譜で表すとこうなります。MVでは0:55からですね。

続いて、16分音符が連なって畳み掛けていく部分。MVでは1:12から。

こうして比較すると、後半のサビの方が細かい16分音符が多い事、メロディーの中にある休符が少なく音数が多いのが分かってくるかと思います。つまり、サビを2段構えにして後半の密度を高くしている事で、一つ盛り上がりのレベルが上がった、階段を一つ上がって展開しているんです。
そしてこの展開は歌詞も連動しています。前半と後半の歌詞を比較してみましょう。
まずは前半の歌詞。
待ってて 凍える冬よりも 先に会いにいくよ
白い季節の中 僕らは輝いてた
続いて後半の歌詞。
今すぐ君に会いに行くよ 振り向いたら後ろにいるよ
もう逃さない 約束する君の手を離さない
サビ前半の歌詞と後半の歌詞の違いは、風景描写と心理描写を綺麗に分けている事です。
前半のゆったりしたリズムに合わせている歌詞は「凍える冬」「白い季節」といったような風景描写が書かれています。聴き手が具体的に寒い冬を想像できる、分かりやすいメッセージ性です。ただ、後半の細かいリズムのメロディーには「今すぐ君に会いに行く」「もう逃さない」といったような、強い心理描写を直接的に書いた歌詞が当てはめられています。
このようにメロディーや歌詞をしっかり棲み分ける事でサビの中に段階を作り、曲が進む中でさらに盛り上がるように音楽が作られています。特に後半のサビは疾走感と心理描写の歌詞がかけ合わさってさらに楽曲を盛り上げていっています。後半のサビのみ低音と高音のオクターブで歌う事で厚みが増しているのも特徴ですね。広々と謳われる季節と捲し立てるように謳われる心、それが並んでいるのが僕らの季節のサビ部分です。
センターのラップから得られる確信
最後に触れるのはCメロのラップとその後に繋がる最後のサビです。MVだと2:37からですね。Cメロはたっくん→景瑚→瑠姫→純喜とパート割が進んでいきますが、けごたくとるんきで明らかに空気感が変わっています。
前半のけごたく(MVの2:37から)は伴奏から低音帯やドラムが消えて音数が少なくなっており、リズムもそこまで刻んでいないためどこか漂うようなイメージを受けます。地に足がついていない、といったような。歌詞でも景瑚が「風だけが残っている」と歌っており、漂うイメージを裏付けています。
ただ、そんな漂いも一瞬で、瑠姫のラップパートからはドラムの音が再び鳴り出して音楽にも少し安定感が戻ってきます。そこからは純喜の力強いボーカルがサビへと誘って最後のサビへと入っていきます。そして声質や音程もこのタイミングで変化します。けごたくが儚く綺麗に歌い上げた後、瑠姫は音程を落としていつもの話声くらいのトーンで強く語りかけ、純喜が力強く高音に登って最後のサビに向かっていきます。
そしてこの切り替わりは歌詞にも明確に現れます。けごたくの歌詞はこちら。
凍りつく季節に 風だけが残ってる
そして、そこから続くるんきの歌詞。
君がいないと 出来ないよ何にも
そばにいて
ここまで記事を読んでくださった皆さんなら分かると思いますが、前の章でも書いた通り、ここも風景描写から心理描写に移り変わっているんです。
季節を描いた風景描写の歌の後に、話し声のトーンで「君がいないと何も出来ない」と語りかけてくる、何ともロマンチックな部分ですね。元々2番のサビでも同じような進行をしていますが、最後のサビの前のCメロでまた繰り返している事、歌詞の言葉に「恋しさ」が詰まっている事から、このCメロで精神的な確信のようなものを得られているように感じます。今まで紡いできたメロディーや歌詞、乗せた思いを噛み締めて心に着地させているようなイメージです。
その精神的確信をセンターの瑠姫から得られているのが何ともエモーショナルですよね。取材やプラメ、ライブなど様々なコメントで真っ直ぐファンと向き合ってきた彼だからこそ腑に落ちる、そんな歌詞ではないでしょうか。とても優しいキリングパートです。
まとめ
私が思うに、僕らの季節は冬をイメージした曲であると同時に、今は遠くにある大事な何かに恋しさを抱き、手を伸ばし、その隣に行こうと歩み出す、そんな純粋な愛に溢れた楽曲ではないでしょうか。そしてその純愛を冬の空気のような透き通った音で纏い、美しい声で歌い上げたとても綺麗な楽曲です。
数年前から世界は随分と様変わりしてしまって、やりたい事や行きたい場所、会いたい人、今まで近くにあったりすぐに手に取ってしまえそうな大好きな何かから遠ざかってしまいました。そんな大好きな何かを思い出した時にふと感じる恋しさ、懐かしさ、寂しさを、僕らの季節は肯定してくれているのではないでしょうか。
恋しさも、懐かしさも、寂しさも、それら全ては美しい感情なのだと。
これを読んでいる皆さんにも、「大好きだけど遠ざかってしまっている何か」はありますでしょうか。「今すぐにでも近づいて行きたい何か」はありますでしょうか。
冬の冷たくも綺麗な空気を吸い込んでみながら、この楽曲を通してその純愛を思い出してみてください。
また時間を取って僕らの季節以外の6曲も記事を書いてみようと思います。ご愛読ありがとうございました。皆さんの日々に素敵な音楽がありますように。
ミトラ
