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骨折から学ぶ、からだの仕組み② │ 急性ストレスと睡眠、炎症反応と睡眠、不確実性の不耐性

前回の続きから書いていきます。
骨折初日と翌日に睡眠を貪った私ですが、どうしてそんなに眠れたのでしょうか。その理由から考察して行きます。

骨折時、急性のストレスによってコルチゾールが分泌されました。前回の記事ではストレスホルモンと書きましたが、コルチゾールは目覚めるためにも必要で、覚醒ホルモンとも呼ばれています。
コルチゾールの働きで交感神経が優位となり、覚醒状態になるのですが、急性ストレスから数時間〜1日後にはバランスを取るために副交感神経が過剰に優位になり眠気を誘発するのです。
ストレス疲労と言ってもいいと思います。

もうひとつ、修復の準備のために骨折部位の周辺では急性の炎症反応が起きて、サイトカインという物質が作られますが、これも睡眠に関係しています。
サイトカインは脳の睡眠中枢に作用し、ノンレム睡眠という深い眠りを促進させます。実は炎症反応と睡眠には相互関係があり、炎症が睡眠を促進し、逆に睡眠不足が炎症を悪化させるというメカニズムがわかっています。
怪我などで急性の炎症反応が起きた場合、サイトカインが体を強制的に休ませて、修復を加速させてくれるのです。

からだの中で起きていたこのような現象によって、初日の夜から2日目にかけてたくさん寝ることができました。
本当にからだの仕組みは凄いです。知識がなくても勝手にやってくれてありがたいですが、暴走したり慢性的なストレスでは他の病気の原因になったりもするので、やはり仕組みを知ることは大事だなと改めて思います。

2日間ゆっくりと休んで、無理な動きをしなければほぼ痛みはありませんでしたが、3日目の夜に骨折の可能性が浮上し、眠れなくなりました。

これもストレスが原因なのですが、爆睡した理由と眠れなくなった理由、どこが違うのでしょうか。

骨折してるかもと気づいた時のからだの反応は、骨折した瞬間とほぼ同じです。この時、痛みは感じていませんが、扁桃体は未知の脅威に敏感に反応するため、コルチゾールとアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌され交感神経優位の状態に。
コルチゾールは覚醒に関与しているため、夜には低下していることが望ましく、不安やストレスで持続的に分泌されると、メラトニンの合成を抑制し、睡眠のリズムを乱します。睡眠不足は不安を悪化させるので、悪循環にはまるとストレスから来る不眠症になってしまうことがあります。
今回は夜にコルチゾールが分泌されてしまったために、眠れない原因になってしまいました。

でも原因はこれだけではありません。ほぼ骨折だと思うけどまだはっきりわからない、という未知の状況は、脳に予測エラーの状態を引き起こします。脳は不確実なことに対する耐性が低く、理性的な判断を行う前頭前野という部分の機能が抑制されてしまい、扁桃体の過剰反応を増幅させてしまいます。脳がパニック状態になっていると言えます。パニックしている扁桃体はさらに交感神経を刺激し、覚醒を促し続けます。
また、脳内で分泌されたノルアドレナリンは、松果体においてメラトニン合成を直接抑制することがわかっています。先程も出てきたこのメラトニンは、入眠や睡眠サイクルに関与するホルモンなので、合成が抑制されることでますます眠れなくなります。

私はこれをざっくりVataの悪化と考えて、呼吸法と気持ちを切り替えることで何とか眠りにつきました。

話は変わりますが、炎症物質であるサイトカインは腸の神経系を刺激し、腸蠕動を亢進させるとともに、粘膜の透過性を高めて下痢を引き起こすことがあります。
3日目にしっかりお腹を下したので、一応書いてみました。暑さが下痢を引き起こす理由と同じですね。
これはアーユルヴェーダのドーシャの特徴にも関連している現象だと思っているので、いつか書くかもしれません。

骨折3日目までに、からだの中で起きていたことをまとめてみました。
次回は、アーユルヴェーダの視点で骨折について書いてみようかな…もう現代科学で紐解いてしまったけど…

お読みくださりありがとうございます。
ではまた!

参考文献:
•  Besedovsky, L., Lange, T., & Haack, M. (2019). The sleep-immune crosstalk in health and disease. Journal of Psychoneuroendocrinology, 104, 104356.
•  Irwin, M. R., & Opp, M. R. (2020). Sleep and inflammation: Partners in sickness and in health. Sleep Medicine Reviews, 46, 101145.
•  Tottenham, N., & Galván, A. (2020). Stress and the adolescent brain: Amygdala-prefrontal cortex circuitry. Nature Reviews Neuroscience, 21(4), 189-202.
•  Muscatell, K. A., & Eisenberger, N. I. (2021). Social isolation, loneliness, and the brain: Insights from neuroimaging. Frontiers in Psychology, 12, 678934.
•  Besedovsky, L., Lange, T., & Born, J. (2019). Sleep and immune function: The role of cytokines. Journal of Neuroendocrinology, 31(5), e12725.
•  Matos, M. G., & Mustanski, B. (2021). Stress and the gut-brain axis: Implications for mental health. Gut Microbes, 13(1), 1907744.


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