ジェラシーストーム
僕はアパートの部屋の状態に驚く。
タンスの引き出しは開けられ、洋服が散乱し、引き千切られた雑誌が散乱していた。
ともかく僕の部屋は見事に荒されていて、めちゃくちゃな有り様だったのだ。きちんと鍵をかけて外出したというのに、僕の目の前には信じられないような光景が繰り広げられていた。
僕は警察を呼び、捜査を依頼した。盗まれたものは何も無かった。
僕の部屋はただただめちゃくちゃに荒されていただけだったのだ。証拠になるようなものは何も見つからず、何が目的なのか、誰が犯人なのか、まったく検討もつかなかった。僕は何かの事件に巻き込まれそうになっているのだろうか?
だけど僕にはまったく身に覚えが無かった。
「事件のにおいがする。これには名探偵コナンばりの推理力が無くちゃいけない。一休さんじゃあこのなぞは絶対に解けない。子供のくせに屁理屈ばかりこねてるような奴には絶対にこの事件は解決できなんだよ」
僕はそう思う。
僕はドアに紙を挟んだ。映画なんかでよく見る奴だ。
誰かが僕のいない間にドアを開けると、その紙がはずれ、侵入者があったことがわかる。僕は毎日のようにそれを続けた。
そしてある日のこと、僕が部屋の前まで来るとその紙が外れていることに気がついた。
僕は緊張した。ついにこのときがやってきた。犯人が現れたのだ。
僕は恐る恐るゆっくりとドアノブを回す。
鍵をかけて出たはずなのに、鍵はかかっていなかった。
僕はゆっくりとドアを開けた。
部屋の中は見事に荒れ放題だった。
ああ、やられた。またやられた。いったい誰がこんことを、と思って立ち尽くしていると、僕は人影に気がついた。
それは見覚えのある人物。柳田薫だった。
柳田薫は僕の元カノだ。
見た目はかわいくてキュートなのだが、何しろ粗雑なのだ。
デリカシーがまったくない。それに頭に血が上ると何をしでかすかわからない。
そんな彼女に嫌気がさして、僕は彼女と別れた。
彼女は何度も復縁を迫ったが、ものには限度というものがある。
いくら僕だって許せることと許せないことがあるのだ。
そういえば、部屋の鍵を返してもらっていなかった。
「何やってるんだよ?」
僕は薫に話しかける。
薫と目が合い、薫はその場に固まった。そして「ははっ」と力なく笑う。
「犯人はお前か?」
薫は答えない。
「どうしてこんなことを?」
薫は答えない。
「まったく、何てこった」
と僕が頭をかかえると、薫はへらへらと笑いながら歌を歌い始めた。
「ジェーラシー・ストーム♪ ジェーラシー・ストーム♪ ストーム、ストーム、ストーム、ストーム、ストム、ストム、ストム、ストム。ストン」
彼女は歌いながらわなわなと力なくその場に座り込んだ。
おわり
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「謎解きはディナーの後に、みたいに言うな!」