金属ポンプを諦めた製鉄所が選んだもの
製鉄所の高炉。
赤く燃える鉄鉱石、湯気を
上げる溶銑(ようせん)、その上空にそびえる巨大な煙突。
日本の工業を象徴するあの場所でも、じつは多くのポンプが地味に働いています。

中でも今日紹介したいのが、高炉から出る「有塵ガス(ゆうじんガス)」の処理水を移送するポンプ。
あまり知られていない、しかし製鉄所の環境対策には欠かせない仕事です。
高炉から出る2種類のガス
製鉄所の高炉では、鉄鉱石をコークスで還元して銑鉄(せんてつ)を作っています。
その過程で大量のガスが発生するのですが、実はこのガス、2つに分けられます。
① COガス(高炉ガス)
主成分は一酸化炭素(CO)約23〜30%、窒素約60%、二酸化炭素10〜18%。
燃えるガスなので、製鉄所内で燃料として再利用されます。
発電や加熱炉の燃料として、製鉄所のエネルギー循環の要となっているわけです。
② 有塵ガス
ガスと一緒に巻き上げられる微細な粉塵を多く含むガス。
こちらは可燃性も低く、そのままでは大気に放出できません。
集塵処理という工程で、きれいに処理する必要があるもの。
その有塵ガスはどう処理されるか

では、この有塵ガスはどのように処理されるのでしょうか?
具体的には、以下のような流れになっています。
高炉 → ろ布で粉塵を除去 → 吸着塔で水を噴霧 → 微粉炭スラリー水 → ポンプでシックナーへ移送 → 固液分離 → 浄化された水を放流。
つまり、有塵ガスに含まれる炭素を主成分とした微粉を、水で「洗い落とす」発送。
そして、洗い落とした水は、当然ながら微粉炭がたっぷり混ざったスラリー状になります。
そのスラリーを集めて運ぶのが、今回のテーマであるポンプです。
「金属ポンプ泣かせ」な微粉炭スラリー

ある製鉄所では、当初この工程で金属製ポンプを使っていました。
でも、鋳鉄、ステンレス、各種クローム鋼──どの材質でも摩耗での耐久性に課題がありました。
微粉炭は、名前のとおり石炭由来の微細な粒子。
モース硬度と呼ばれる硬さの指標は中程度ですが、ポンプ内部で毎秒何メートルもの速度で衝突を繰り返すので・・・当然、摩耗してしまうわけです。
まるで、目に見えない研磨ペーパーで、ポンプ内部を24時間磨き続けているイメージです。

加えて、製鉄所のような24時間連続運転の現場では、ポンプを止めると工程全体が止まってしまいます。
予備機への切替や緊急修理が頻発すると、工場の運営コストにも影響が出てしまう・・・。
この微粉炭スラリーには、こんな課題があるということです。
じつは摩耗に強い、あの材料

そこで採用されたのが、みつわポンプのラバーセルポンプ(SM-RZ型)。
これは、名前に「ラバー」とあるとおり、内部がゴムライニングされたみつわのスラリーポンプです。
採用された理由は2つあります。
① 耐摩耗性が大幅にアップ
ゴムライニングは、硬い粒子の衝突エネルギーを弾性変形で吸収します。
金属が「ぶつけられて削れる」のに対し、ゴムは「ぶつけられても元に戻る」イメージ。
微粉炭のような中程度の硬さで細かい粒子に対しては、ゴムライニングは特に効果を発揮します。
金属から切り替えただけで、ポンプの耐久性が大きく向上したという結果になったわけです。
② バックプルアウト方式でメンテナンス性が高い
製鉄所のような連続運転の現場では、メンテナンスのしやすさも重要なポイント。
バックプルアウト方式で配管を外さずに分解メンテができるポンプなので、ダウンタイムを最小化できます。
「壊れにくく、壊れても直しやすい」。
24時間止まらない現場では、こういった理由で採用になりました。
見えないところで支えている

製鉄所というと、火花を散らす溶銑、巨大なクレーン、真っ赤に焼けた鋼板──そんな派手な絵が思い浮かびます。
でも、そういった現場が安定して稼働できるのは、こうした見えないところで動き続ける環境設備があってこそ。
有塵ガスを処理しなければ、煙突から微粉が舞い、近隣に迷惑がかかります。
シックナーで固液分離できなければ、放流水が基準を超え、操業停止になることも。
地味な裏方ですが、製鉄所の環境を守るために、ポンプは毎日働き続けているわけです。

「金属粒子・炭素粒子を含むスラリーを送る」という用途自体は、じつは製鉄所以外にもあります。
セメント工場の集塵水
ごみ焼却炉の集塵スラリー
鋳物工場の集塵処理水
バイオマス発電所の燃焼灰スラリー
どれも共通しているのは「金属ポンプだとすぐ摩耗してしまう」という悩み。
こうした「固形粒子+水」の組み合わせには、みつわポンプのラバーセルポンプがおすすめです。
集塵スラリー、微粉炭、燃焼灰などの厄介な液体の移送でお困りの場合は、ぜひ一度みつわポンプへご相談ください。
