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日産スタジアム ネーミングライツ問題への憤りを言語化する。

いわゆる日産スタジアムのネーミングライツ更新問題で、今日9/26、横浜市の山中市長が記者会見で語ったとされる報道内容を見かけ、行政ウォッチャーというか地方自治を専攻していた者として怒髪天を衝くモードなので書きます。


いくつかの前提

~私の立ち位置~

日産自動車を親会社に戴く横浜F・マリノスのサポーターであり、同時に地元・横浜を愛する横浜市民でもあり、と様々な角度から本件を見ています。

が、最もお伝えしたい立場は「ネーミングライツは魂を金で売る制度」だと考えているというスタンスでしょうか。
そこに是非はない。
自治体財政を考えたら、是非もなし。
字義どおり捉えてください。

従って「市民の混乱を避けるため…」「市民の愛着が…」などと言って長期契約を図るのは、私には理解しがたいです。もちろん単年などあまりにも短期の契約はおかしいと思うけれど、一定の契約期間を終えて尚そのような思想で同一名称を継続しようというのは「いや、そもそもお前が魂を売ったんだから、やりきれよ」と思う。それならネーミングライツなんかしなきゃいいじゃん。お金欲しさにやったのに突然なにさ。金が欲しかったんだろう?

註:その行為を否定してはいない。字義どおりに受け取ってください。

~日産スタジアムの状況~

詳細解説をすると長文すぎるので…
私がここで主張したいことを理解しやすくするために絞り込んだざっくり解説をするならば、以下が中心的な内容となります。

  • 命名権を得ている日産自動車は経営状況が非常に厳しい。

  • 前回更新時、大幅減額での契約更新をしている。

  • 契約上、現在契約している相手方は優先交渉権を持っている。

~議会の状況~

すべて追えているわけではないのですが…
メディアでも「議員から批判が」と報道されているのが、9/19に開催された横浜市会 常任委員会(脱炭素・GREEN×EXPO推進・みどり環境・資源循環委員会)での議論ですね。
たまたまネット中継で見てました! 意外と(?)面白かったです。
何が面白いと感じたかって、しっかりと議論ができていたこと。
市当局の説明は、大雑把にまとめると以下のとおり。

優先交渉権を持つ日産自動車に対し、契約に定められた時期(今年5月)に契約更新にかかる意思確認を行った。
意思決定を待ってほしいとの回答だった。
7月、経営上の問題から「5000万円の単年契約」と提案された。
名称変更にかかる経費や準備期間を考えると変更は間に合わないため、提案を受け入れたい。
次期(2027年3月~)契約は、優先交渉権なしで公募する。

当局説明まとめ(メモなしなので精度は荒い)

まあ、委員(註:常任委員会は市会議員が委員となって構成されるものなので、参加している議員のことを議員ではなく「委員」と呼びます)のみなさんも、そりゃあ怒りますよね。私だって、市民として怒るわ。ネーミングライツについては、前述のとおりのスタンスなので。
でも、怒りながらも冷静に、批判をたっぷり込めた質問を各委員が投げかけ、当局側もかなり真摯に誠実に答えていたので、見応えがありました。
たとえば…

  • 委員)年間5千万円は安すぎると思わないか。
    →当局)安すぎると考えている。しかし時期的に変更が厳しく、受け入れざるを得ない。

  • 委員)交渉の余地はないのか。言い値ではないか。
    →当局)言い値と言われればそうだが、交渉した結果である。

  • 委員)今年5月に話を持ち掛けたのが遅すぎたのでは。
    →当局)契約どおりだったが、今にして思えばそのとおり。

  • 委員)現契約者が優先的に交渉できるのがおかしいのでは。
    →当局)反省を踏まえ、次期契約には盛り込まないよう検討する。

  • 委員)今から新たに公募すればよいのでは。
    →当局)市が管理する看板等の架け替えに、期間は半年、額は1億5千万円かかる。民間企業が作成しているもの(地図ほか)の名称変更を考慮すると周知期間も必要。合わせて約1年間は必要なので、間に合わない。
    ※間に合わない場合、現契約終了から次期契約締結までの間はネーミングライツなしの「横浜国際総合競技場」となるので、結局名称変更が必要となり、且つ当該期間は命名権収入が得られない。

謝罪と反省と改善意欲がかなり示されていて、(まあ失敗は明らかに失敗なのだけれど)今から手が打てることはしっかり打つ、という意志は見えました。
まあ当たり前なのだけれど。
当たり前なのだけれど、当たり前のことを当たり前に言ってくれたから、っ常任委員会の場では改善要望が出こそすれ、明確な反対は出なかったんじゃないかなーと感じていました。
誠実に対話すれば、みんなにとって良い未来を考えられるもんね!

私はお怒りです。

今日9/26、市長定例記者会見を受けた記事がこちらです。

記者会見は見ていないので、後日公表されたら見ようと思っています。そうしたら、もしかしたら印象が変わるかもしれない。今は報道ベースになってしまうこと、ご容赦ください。
以下、一部引用します。

横浜市の山中竹春市長は26日の記者会見で、日産自動車との契約更新について「市民にとって一番良い方法は何か再検討したい」と述べた。現在の半額以下の年5000万円で2026年から1年間の更新を受け入れる方針だったが、金額や期間、公募など今後の対応を改めて検討する方針だ。
(中略)
山中氏は「担当局の見通しが甘く問題があった」と指摘。「市民にとって愛着のある名前を残したいが、命名権は市民の財産」と話した。(後略)

9月26日付日本経済新聞(ネット配信)

怒りポイント1.知ってましたよね?

常任委員会というのは、議会に常設設置された委員会で、横浜市の様々な事業を所管する市長部局単位で小規模かつ自由に専門的な議論をかわす場です(註:議会本会議は、議員が演説形式で質問し続け、それが済んだら市長以下が演説形式で答弁し続けるので、いわゆる議論・対話にはなりません)。
委員の皆さんは突然無秩序にネーミングライツについて質問し始めたのではなく、当局側からの報告を受けて質問をしています。
議会に対して当局がどのような内容を報告・説明するのか。
こんな大きな問題について、関係部局が市長に方針を説明し了承を得ないまま説明するなんてことは、ありえないです。ありえない。
だから、当然「5千万円の単年契約」は市長が了承した方針、すなわち市長の方針です。
ところが…

私としては、担当部局の事務作業の見通しが甘く、手続き論として問題があったと考えている。

9月26日付NHK「首都圏NEWS WEB」から引用

議会の前に意思決定しておいて、議会が済んだらこれですか。決定したのはあなたですよね??? どうして「私、知りません。役所は酷いですね」みたいなこと云ってるんですか???
そもそも担当部局の見通しが甘かったのは、間違いない。まあ、そもそも論で言うと、前述のとおり私は優先交渉権に懐疑的です。そこに重きを置いていたのが見通しの甘さではある(契約は契約なので、契約に文言がある以上は重視せざるをえないんのだけれど)
でも、今、この状況下で、これでいくと判断した市長ご自身の見通しが甘かった、ということではないのですか? それを部下のせいにしていますね?

怒りポイント2.議員のみなさんの想いは?

私は常任委員会のネット中継を見ていました。
委員(議員)の皆さん、かなり怒っていましたよ。そりゃそうだよ。

その上で「状況的にこれが最良、これしかない」「反省点は改善する」とかなり具体的に説明したからこそ、委員(議員)のみなさんも「それなら仕方ない、次回以降しっかり見直してくれよな」と認めてくれたわけですよ。
委員(議員)のみなさんにとっては、もしかしたら物凄い見せ場だったかもしれない。ここで市当局の甘さにガツンと物申して撤回させたり、そうでなくても激しい言葉をぶつけてネットで炎上でもしてくれたら、「『市と大企業の癒着』『行政の甘さ、お役所仕事』に異を唱えメスを入れた議員」みたいな実績(?)を喧伝できたかもしれない。
でも、きっと皆さん、対話によって市当局の立場や考えも理解したから承知してくれたんじゃないですか?(知らんけど)
なのに、

「命名権は市民の財産。市民にとって一番良い方法が何なのかを検討したい」などと話し、再検討を指示したことを明らかにした。
(中略)
「横浜市民として何が一番いいのかを十分に検討した上での結論ではないと思った」と、再検討を指示した理由を説明した。

9月26日付産経新聞ネット版より引用

じゃあ議会に諮る前に云え、と。
委員(議員)がさんざ批判しつつも理解を示した案件に、完全後出しで「市民目線じゃない」とか言われたら、議員の皆さんは何なのさ。ぶち壊していいくらい言っていいなら、もっと言いたいことが有ったでしょうよ。

怒りポイント3.議会軽視も甚だしいよ?

NHKの報道では市長自ら「手続き論として問題があった」とおっしゃっているので、はっきり言わせていただきます。

議院内閣制の中央政府とは異なり、地方自治においては、首長も議員も両方とも住民が直接選挙で選出する仕組みとなっています。文字どおり、どちらも住民の代表であり、意見の対立などはあれども両輪となって地方自治を進めていくことが求められます。
ここで重視されるのは対話です。実際問題としてなかなか成立しないこともあるのですが、でも片方あるいは双方が意地を張って相手の言うことに聴く耳を持たないなんてことがあったら、それは住民代表として、あまりにも住民を軽んじている。だって、相手だって住民代表なんだもん。
近年、苛烈すぎて物凄く問題になってしまう自治体もちらほらありますが、でも、まあ、対話しますよ。議場の内外で。

で。
議場で対話するにあたって、市当局が説明し、それに対して議員が質問し、市当局が答弁し、それを繰り返すことで対話し意思決定していくわけですが…
市当局の説明を、議員側が理解し(本心はどこまで納得できたかというのはあるかもしれないけれど少なくとも意思決定のプロセスとしては)納得してくれた案件を、記者会見で市当局のリーダーである市長がひっくり返すっていうのは、一体全体なんなんだよ、と!
(註:議会側が納得せず荒れたまま、という状態なら理解できる)
それじゃあ議論も対話もできないんですよ。
議会軽視も甚だしくて、手続き論がまるっきり大間違いの頓珍漢ですわ。

まとめ

事前に説明を受けて「行政の長」として了承したからこそ議会に諮ることが
できた内容を、議会側が批判しつつも承服してくれたにもかかわらず、まるで他人事のように内容を否定的に語り再検討しろと指示出しした、と語る。

市政のリーダーとして、姿勢が間違っている。
(註:いくらマリサポだからって、早野ギャグではないですよ)

だから私は猛烈に怒っています。

補足

◆その1
繰り返しますが、ネーミングライツは「魂を金で売り渡す制度」だと思っているので、本質的には高値をつけてきた企業に売ればいい、という考えです。
看板等の変更に億単位の費用がかかるとしても、優先交渉権などつけずそれ込みで価格勝負すればいいじゃないですか。全て込みにしてしまえば(仮に5か年契約として)現行A社が年2億円、新規B社が年2.2億円で手上げしたら、必然的に現行A社が勝つわけで。このときに新規C社が年2.5億円で手上げしたら看板等変更費用を含めても市にとって益が出るのでC社おめでとうございます。それで問題ないじゃないですか。魂を金で売り渡してるんだから、割り切ろうぜ。中途半端はダメよ。

◆その2
日産自動車への感謝は限りない、です。
「日産スタジアム」という名前とともに数々の喜怒哀楽を過ごしてきた身としては、途方もなく淋しいです。なんだかんだでマリサポだもの。
でも、当初の「年4.7億円×5か年」が「年1億円×3年+年1.5億円×2年」にまで減額せざるを得なかったことは、市民として哀しみと怒りを感じずにはいられなかったのもまた事実です。
今回の単年契約延長は、もう仕方ないと思っているけれどもね。
一応、今回の経緯を持って次回の公募に参加できなくなることはない、とのことだったので、日産自動車の業績が突如としてV字回復して再び手上げしてもらえたらなあ…という妄想は、まだ拭えずにいます。

◆その3
もしかしたら、市長記者会見の模様を見たら、各社報道を見ているのとは異なる印象を受けるかもしれない。その場合は、これまで書き連ねてきたことも多少変わってくる可能性はあるので、そこはご理解いただきたいと思います。そのときは修正を入れたい。
発言内容(いわゆるカギカッコ)を主に追いかけているので、大きな齟齬はないんじゃないかなーとは思うのですけれど…

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