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カワイイガワカラナイ


私よりひとまわりくらい年下の職場の同僚(女性)はPC操作に長けていて、いろんな人から相談されたり質問されたり、いろんな人にアドバイスしたりしている。かくゆう私も、毎月使う、ある用紙を毎月のカレンダーを元に作ってもらっている。もちろん私だってはじめは、自分で作るつもりで作り方を教えて欲しいと言ったところ、そんなのすぐ出来るから私が作りますよーと言ってもらって、「え、そんなぁ、悪いわ、えーでも、あら、そうぉ?」なんて言いつつ素直にお願いしたのだった。


彼女はとにかく忙しい人で、席にいないことのほうが多い。いろんなとこからいろんな依頼が来て走り回っている。彼女いわく、走り回ってるほうが良いらしい。携帯電話片手に、ロルバーンのノートにはびっしり予定が書かれている。まさに、仕事出来しごできなのだ。


彼女の机は雑然としていて、可愛いものといえばそのロルバーンのノート(スイーツ柄)くらい。唯一のキャラクターグッズは、『名探偵コナン』に出てくる服部平次くんのアクリルキーホルダー。以前ピンクの可愛いチューブに入った、ものすごく良い香りのハンドクリームを褒めたら、「あ、これ?これ、知り合いが買ったものの思ってたのと違ったからってそのまま置いてて、もう使わないっていうからもらったんです。すごいにおいが強いですよね。あはは」

あ、あなたの趣味ではないってことね、と私は心の中で苦笑い。そう言われたらそれ以上話が続かない。そうなんですねーと言いつつそっとその場を離れた。


近所のパン屋さんで買って来たパンを見せてくれたことがあった。動物を模したであろうそのパンはうさぎみたいにも見えるし、私の知らないアニメか何かに出てくる不思議な生き物のキャラクターっぽくもある。

何かは分からないけれど可愛いですね、と言うと、「え?これ可愛いんですか?」と返された。
聞けばそれは、イースターを意識したうさぎだそうで、パン屋のおじさんが考案したらしい。見るとうさぎの耳のあたりにはお花の冠に見える飾り付けが描いてあった。私は、おじさんがそういうものを作ってみよう!っていう、その気持ちも可愛いと思ったけど、

「えー何か分からないキャラクターって不気味じゃないですか?こういうのが可愛いっていうのが分からないなあ」
と言う。そう言いつつもそれを買って来て見せてくれてるのに?何か心惹かれたんじゃないのだろうか?と思った。


ある日図書館で、『アランジ アランゾ』のめちゃくちゃ可愛い本を見つけて、じっくり見たくて借りて帰ってそれを仕事の合間に休憩しながら眺めようと職場のデスクに置いていたら、「何ですか、その本?」と彼女から声をかけられた。お、興味があるのか?と、見て見て、可愛いでしょ?と本の中身を見せながら言うと、

「可愛い?これって可愛いんですか?」

え?可愛いじゃないですか?

「へぇーこういうのが可愛いんですか?」

(可愛いですけど、何か?)

「いやぁ、なんかこういう、可愛いが分かんないですよ」

(ん?なんて?
カワイイガワカンナイ?ってどういうことかこっちがわかんない。)

「皆が可愛いって言ってるものが可愛いのかどうか、可愛いって何?ってどんどん分からなくなるんですよ」

‥‥
可愛いは可愛いでしょうが!!
可愛い以外になんて言うのよ。
可愛いがわからないってどういうこと?!

ワタシワアナタノイッテルコトノホウガワカラナイデス!!!

‥心の中で、私は宇宙人みたいなカタコトで反発した。
とはいえ、可愛いの基準は人それぞれ。なんでもかんでも可愛いと表現してしまう私のほうが変なのかも知れない。ちなみに私は、服部平次くんのことも可愛いと思っている。



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