懐かしのエレキインスト④ ザ・ベンチャーズ
エレキ・インストの4回目は、真打ちベンチャーズであります。
ベンチャーズにはオリジナル作品以外に捨てがたいカバー曲が山ほどあるので、あれもこれもとリンクしていくともう切りがありません。
何だかんだでとうとう39曲にもなってしまいました。(笑)
ベンチャーズはどういう訳か日本でだけ人気があり、ロック系の音楽に興味のない人でも一度位はその名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
今では信じられない話ですが、1960年代中頃の日本ではビートルズと並ぶほどの 絶大な人気を誇り、若者たちの間に一大エレキ・ブームを巻き起こしました。巷では通称「テケテケ」が流行り、後にこれを題材にした映画まで作られたほど(芦原すなお原作 大林宣彦監督『青春デンデケデケデケ』1992 ベンチャーズに憧れる高校生たちを描いた青春映画)
もっとも、 このテケテケ(トレモログリッサンド 奏法)はベンチャーズのオリジナルではなく、ディック・デイルが発明したものらしいですが。
ベンチャーズに憧れたアマチュア・エレキバンドが雨後の竹の子のように数多く結成され、 そのようなエレキバンドか腕を競うオーディション番組(「勝ち抜きエレキ合戦」他)が複数の局から放映されていたほど。
1965年から66年にかけて放映された「勝ち抜きエレキ合戦」は鈴木やすしの司会で、後にGSになるシャープホークスとシャープ・ファイフがセットでレギュラー出演。(オープニングの曲がなかなかよかった。)
内田裕也も司会をしていたような記憶がありますが、同趣向の別番組の方だったもしれません。
バブル絶頂期の1990年前後に放映されて人気のあった 「いか天」(いかすバンド天国)のようなものすね。
数年後にGSとしてデビューするザ・サベージ(寺尾聰が在籍)も「勝ち抜きエレキ合戦」の優勝バンドで、ベンチャーズやビートルズに憧れてエレキ・ギターを手に取っ若者たちが、後のGSブームや日本のロック・ムーブメントを牽引していくことになります。
ベンチャーズの曲のかなり多くの部分がカバー曲なので、音楽的にはビートルズと比すべくもありませんが、ノーキー・エドワーズの当時としては超絶ギター・テクニックなどが、日本のポピュラー音楽界に大きな影響を与えました。また、「ベンチャーズ歌謡」と呼ばれる一連の歌謡曲を何曲もヒットさせるなど、歌謡界でも無視できない存在でした。
米国ではそさほど人気がなかったベンチャーズにとって日本は大変有り難いドル箱で、以後、ほぼ毎年欠かさず来日公演を行っています。
オリジナル・メンバーのボブ・ボーグル 、ノーキー・エドワーズ、メル・テイラーは既に亡く、残ったリーダーのドン・ウィルソンも2015年の東京公演を最後に引退。1968年に脱退したノーキーの後任として長らくリードギター担当をしてきたジェリー・マギーも2019年のソロツアー中に日本で急逝。
それでも、代替わりしたメンバーで、 日本公演を続けるところがすごいです。
前置きが長くなりました。曲の方にに行きましょう。
「急がば廻れ(ウォーク・ドント・ラン)」
1960年、全米第2位まで上昇したベンチャーズの出世作にして、最大のヒット曲。初めてラジオで聴いた時、イントロのギター・リフにガツンとやられました。この曲の頃はボブ・ボーグルがリードギターで、ノーキー・エドワーズはベース担当。オリジナルは、ジョニー・スミスのジャズ・インスト曲。
ジョニー・スミスのオリジナルはこちら。
印象が全然違うのには、驚きます。
ベンチャーズの演奏力もさることながら、アレンジャーが素晴らしかったのですね。
「木の葉の子守歌」
イントロが「急がば廻れ」に似ています。
原曲は、戦前の古いポピュラー・ソング。改めて聴くと、イントロのメル・テイラーのドラムスがド迫力です。
「悲しき街角」
オリジナルは、4週間にわたって全米チャート1位にランクインしたデル・シャノンの大ヒット曲。
メル・テイラーのドラムスが地味にかっこいいです。
「クルーエル・シー」
映像は、当時、公開されたベンチャーズの映画『愛すべき音の侵略者達』(1966)の1シーン。見た目から、当時は中年の「おっさんバンド」だと思っていましたが、みんな30才をちょっと出た位の年齢だったのですね。
「急がば廻れ '64(ウォーク・ドント・ラン '64)」 1960年盤をサーフィン調にアレンジしたナンバー。
全米8位にチャートインしたヒット曲。
「十番街の殺人」(1964) 日本では「ダイアモンド・ヘッド」と並んで大ヒットしました。全米チャートではでは35位とトップ40には入ったものの本国ではスマッシュヒット程度に終わっています。
元々はミュージカル曲だったようですがアレンジが抜群によく、やはりこの曲がベンチャーズの最高傑作でしょう。キーボードが素晴らしい曲なので、キーボードが入らないないライブはちょっと物足りない印象でした。
「ダイアモンド・ヘッド」 (1965)
日本におけるベンチャーズ最大のヒット曲ですが、全米では70位止まり。
ベンチャーズの曲の多くは他のアーチストのカバーなのですが、この曲は珍しくオリジナル。
日本における空前のエレキブームは、この曲によって巻き起こされたと言っても過言ではないでしょう。
「さすらいのギター」
オリジナルは「北欧エレキ」で取り上げたザ・サウンズですが、日本ではベンチャーズ盤の方が圧倒的に有名です。サウンズ盤は「哀愁」という言葉がぴったりのマイナー調全開ですが、アメリカのバンドが取り上げると同じマイナー調でもカラッと明るいアレンジになるというよい見本です。 メル・テイラーの素晴らしいドラムスで、ある意味オリジナルを越えました。
「ラップ・シティ」
ブラームス「ハンガリー舞曲第5番」のカバー。
「十番街の殺人」と同様、こちらもキーボードが素晴らしい曲。
「青い渚をぶっとばせ」
メンバー4人が共作したオリジナル曲。 サーフィンのような題名がつけられていますが、原題は「kickstand 」でホットロッドです。
ベンチャーズ「秘密謀報員 」 (1966)
ジョニー・リバースとの競作。ジョニー・リバース盤は全米3位の大ヒットに対し、のほうは54位止まりという地味な結果に終わりました。日本では、両方ともヒットしています。
Josie Cottonとの共演ライブ
ジョニー・リバース「秘密謀報員 」
こちらは、リップシンクです。
バックの演奏は、ベンチャーズ。
「ストップ・アクション」 こちらもキーボードがいい味を出しています。
「ブルドッグ」
ボブ・ボーグルが乗り乗りでリードギターのようなベースを弾いているので、ノーキー・エドワーズが呆れ顔で、ちらりとボブの方を見ています。
ボブは元々リードギターを弾いていましたから。ゴールデンカップスのルイズルイス加部みたいです。
ノーキー・エドワーズのギター・テクが堪能できます。
「ブルドッグ」の スタジオ録音盤はこちら。
「パイプライン」
シャンティーズのカバー。
日本では、ベンチャーズの方が圧倒的に有名です。
「ペネトレーション」
「朝日のあたる家」
ご存知アニマルズのカ全米NO.1ヒットのカバーです。
日本では、「ダイアモンド・ヘッド」のB面としてシングルカットされてヒットしました。かなりファズをきかせています。
「ドライヴィング・ギター」
「レッツ・ゴー」
「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」
「星への旅路」
「キャラバン」
シングル・カットは日本のみ。 原曲はジャズ。
当時のエレキバンドがこぞってコピーしたエレキ・インストの定番曲。
西の「アパッチ」 (シャドウズ) 、東の「キャラバン」てな感じでした。
「Dark eyes twist」
有名なロシア民謡「黒い瞳」です。
「ベサメ・ムーチョ・ツイスト」
メキシコのコンスエロ・ベラスケスが1940年、16才の時に作った曲だそうです。以後、夥しい数のカバーが作られており、ビートルズやプレスリーもカバーしています。日本では、トリオ・ロス・パンチョス版が最も有名。
「太陽はひとりぼっち」 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『情事』『夜』に続く「愛の不毛」3部作の第三作『太陽はひとりぼっち』のテーマ曲のカバー。
「太陽はひとりぼっち」ツイスト・バージョン(映画サントラ) 作曲は、ジョバンニ・フスコ。主演はアラン・ドロンとアントニオーニ映画の常連モニカ・ビッティ
ミーナ「太陽はひとりぼっち」 映画のタイトルバックで流れるのは、上記のツイスト・バージョンをバックにミーナの歌を載せたものです。
「アウト・オブ・リミッツ 」 オリジナルは、マーケッツの大ヒット曲(全米3位)。
有名なSFドラマシリーズ『アウターリミッツ』のテーマをアレンジした曲との説がありますが、そちらには全然似ていなくて、むしろイントロは 『ミステリーゾーン』のテーマ曲にそっくりです。
前半はベンチャーズ、後半がマーケッツ
「サーフライダー」 オリジナルはライヴリー・ワンズのヒット曲。タランティーノ監督の『バルブフィクション』(1994)の挿入歌としてリバイバルヒットしました。日本ではベンチャーズ盤の方が有名ですが、曲の出来としてはライヴリー・ワンズ盤に軍配が上がります。
ライヴリー・ワンズ「サーフライダー」
「ハワイ・ファイブ・オー 」(1968)
日本でも放映されたアメリカのTVドラマ「ハワイ5-0」のテーマ曲。
全米第4位にランク・インした久しぶりの大ヒット曲ですが、どちらかと言うとブラスのほうが主役と言う感じで、あまりベンチャーズっぽくないです。
「ブルー・シャトー」
ご存知ブルー・コメッツのGS最大のヒット曲のカバー。
「いとしのマックス」
荒木一郎のヒット曲のカバーです。
こちらは、舘ひろしによるカバー。 ベンチャーズやエレキとは何の関係もありませんが、バックの女性コーラスが面白いので。
加山雄三「霧雨の舗道」のカバー リードギターの音の歪ませ具合がなかなかです。
ベンチャーズ歌謡を2曲。
「北国の青い空」
奥村チヨが歌ってヒットしました。日本的なマイナー調のメロディが全開。
「二人の銀座」
和泉雅子 と山内賢のコンビが歌って大ヒット。映画化もされています。
映画版は、こちら。 作詞が永六輔というのもびっくりです。
劇中コンサートの司会がミッキー安川、俳優の和田浩治がドラムスというのも異色。ブルーコメッツも出演していて、「青い瞳」を歌っています。
折りからのエレキ・ブームの影響で作られた加山雄三の映画『エレキの若大将』でも似たようなシーンがありましたね。内田裕也 、寺内タケシ、黒沢年男、寺内タケシ、ワイルドワンズの加瀬邦彦も出ていました。
「夜空の星」
ついでに「蒼い星くず」
最後にベンチャーズの最高傑作アルバム「ノック・ミー・アウト」から4曲。
「夢のマリーナ号」
「アイ・フィール・ファイン」 言わずもがなですが、ビートルズの大ヒット曲のカバー。ジョンが間違って出してしまったと言われるイントロのギター音も忠実にコビーしています。
「ラヴ・ポーションNo.9 (恋の特効薬)」 サーチャーズの全米第3位のヒット曲のカバー。実はサーチャーズ盤もカバー曲なので二重カバーなのですが。オリジナルは、クローバーズの1959年のヒット曲。
サーチャーズ「ラヴ・ポーションNo.9 (恋の特効薬)」
「シーズ・ノット・ゼア」
全米2位にチャート・インしたゾンビーズの大ヒット曲のカバー。
このアルバムは、ファズを効かせた曲が多いです。
オリジナルはこちら。 何と言ってもロッド・アージェントのキーボードが素晴らしい。
悪乗りしてゾンビーズをもう1曲。 カーナビーツがカバーして日本でヒットした「好きさ好きさ好きさ」(原題 I Love You )。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
