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噛ませ犬ごはん (噛ませ犬ごはん・毎週ショートショートnote)
食べ物の割合に大きいお皿の中央に、芸術的に盛り付けられた、横文字の呪文料理。それはとても美味しい。
彼氏にふられたばかりの私に声を掛け、食事に誘ってくれた職場の同期が、選んでくれたお店のごはんはとても美味しい。
私が先日までお付き合いしていた彼は、職場の取引先の人。それを知ってか知らずか、彼のいる前で私を食事に誘った同期に、これ見よがしについてきた。
柔らかいけれど、私のお腹を満たしてはくれない量のお肉に添えられた、なめらかなマッシュポテトにささったカリカリのチーズチップと、私の単なる特徴を褒めそやす、同期の言葉を咀嚼して飲み込む。
パリパリ、ポリポリと音を鳴らして、前に座る同期に呪いをかける。
犬になれ、犬になれと。私と前の彼氏との噛ませ犬になれ、そう念じながら笑顔で食事を摂る。
実際のところ、口を笑顔の形に開けば、自然とえくぼが出る。それをかわいいと言うならば、出し続けることは可能だ。それくらいの見返りは提供できる。
ちっとも楽しくはないけれど、楽しそうな雰囲気で、裏に込めた情念を隠して食べる、美味しいごはん。
こちらに参加させてもらっています。
