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タントって200色あんねん(事実)【イラストレーター制作録】

アンミカっぽく題したが、私が作品によく使うタントという紙は、実際に200色ある。

ちょうど200色。

この数の多さが、私がタントをよく使う一番の理由である。



タントとの出会い


タントという紙に初めて出会ったのは、小学生の頃だった。

私は手先で作業するのが好きで、折り紙をよくやっていた。

小学5年生の夏休み、自由工作で折り紙の花のアレンジを作ることにした。

母と、画材が置いてあるホームセンターに材料を買いに行った。
そこで出会ったのがトーヨーのタント100色折り紙だった。

1色1枚で100色100枚が入った折り紙。
全て両面に色が付いている。
そんな折り紙は今まで使ったことがない。

この豊富な色と質感は普通の折り紙とは別格で、“高級”という印象がした。

ちなみに当時のタントは200色もない。
のちに色が追加になる。



色数の多い紙


時は経ち私は美大生になった。

グラフィックデザインを学んでいると、ポスターやらパッケージやらフライヤーやらの制作で紙を選ぶ機会がある。

タントが、他と比べて色数の多さが特徴の紙であることを知ったのはその時だったと思う。


学生の時も課題のために竹尾に紙を買いに行く機会がたくさんあった。

タントはその時の選択肢の1つになった。



大学を卒業し、課題から解放された私はイラストを制作するようになった。

切り絵という手法を選ぼうと思い至った時、小学生の頃に使ったタントの100色折り紙の存在を真っ先に思い出した。

購入しようと思って調べてみると、なんと200色入りのものが発売されている。

これにはかなり興奮したことを覚えている。
なんて最高な商品なのだろうと。

普通タント200色を全部集めるのは結構大変だ。
店頭で200色全てが置いてあるところは限られているし、ネットで200種類を1つ1つ買うのも面倒だと思う。

折り紙サイズで一度に200色が手に入るこの商品は切り絵を始めるのにピッタリだと思った。

(2025.6現在、記事を書くにあたって調べてみたらすでに廃盤になっていた。
正直、いつかは廃盤になるかもと思っていた。そのくらい攻めていた商品だと思う。)


そして私はこの時に、タントが時をかけて200色まで増えたことを知った。

竹尾のサイトによると、タントは新色追加を繰り返し、2019年に200色に到達していた。

私は色鉛筆や絵の具を選ぶように、紙の色を選ぶことができた。



タントの色


タントの色は他の多くの種類の紙と違って、アルファベットと数字を組み合わせて色の名前が決まっている。

アルファベットは色の属性を表し、数字は色相を表す。

例えばビビットの属性のカラーは全てアルファベットがV。(V列と呼ばれる)
ピンク系の色相は全て50の番号がついている。

https://www.takeo.co.jp/finder/main/tant.html


他の紙はその色を表す単語(例えば「ももいろ」とか)がついていることがよくある。

タントは数が多い分番号で整理されていてちょっと冷たい感じもするが、私はチームみたいで結構好きだ。

それに、属性を表すアルファベットも、素敵なチーム名だなと感じる。

E=Ecology とかすごくオシャレじゃないだろうか。


私はもうタントを結構使っているので、番号と数字でどんな色かは大体分かる。

全部完璧に覚えてタントマスターになりたいものだ。



好きな色


200色という数の中で、好きでよく使う色がいくつかある。
かなりマニアックだが…

◯ H-58
濃い黄土色のような色。
私の絵の中で、この色を入れるとなぜかすごくまとまるのでつい頼ってしまう色。

◯ N-56
パッと明るいオレンジ。
オレンジが映えていると絵がポップになる。
ここぞというところに差し込みたい色。

◯F-71
ほんの少しだけ紫みを感じる鮮やかな青。
これに近い色はいくつかあるのだが、この絶妙に紫に寄っているところがオシャレで使いたくなる。

◯X列(extra dark)の色
無彩色以外で一番暗い色のグループ。
ダークな中に感じる色味がすごくオシャレ。



タントに足りない色


私が大好きなタントだが、こんなに色数があっても、「この色がほしい…」と感じることがある。


切り絵をやり始めた時、色の組み合わせとして参考にしていたのが、絵本作家の五味太郎さんの作品だった。

五味太郎さんの代表作『きんぎょがにげた』。

この表紙の真ん中に描かれるきんぎょの色は、ビビットでパッと目を引くのに作品のなかでは優しく感じられる素晴らしいピンクだ。

この目が覚めるような「きんぎょピンク」が、タントには存在しなかったのだ。


また、濃い青紫色も、絶妙にかゆいところに手が届く色がなかった。

青に当たる色はたくさんあるのだが、個人的に紫色は少し少ないような印象がある。


このような色はどう補っているかというと、他の種類の紙を使う。

私のお気に入りは、イギリスのメーカーが販売しているカラープランという紙だ。

カラープランのベリーピンクという色、これがまさに「きんぎょピンク」なのである。

色数は 色とタントの 程度でありながら、紫や緑などもタントにない色ばかりなのだ。

左3つがタントにある濃いピンク系の色
右2つがカラープランのピンク系の色


私はなんとなく、このラインナップの違いは、国の違いによるものなのではないかと感じている。

タントは日本のメーカーの紙である。
日本らしい淡くて繊細な色が実に多様に用意されている。
特に明度の高い色はまさに「白って200色あんねん」と言わんばかりだ。
似た色が多いのである。


海外のメーカーの紙は、タントにはないビビットな色が見つかることがある。

なんとなく日本古来の雰囲気でないような色だ。


カラープランは中でも色のラインナップが好きで、よく使う。
だが、日本に入ってきているのは厚さが217kgの厚手のもの、1種類のみ。
切り絵で使う時は厚い紙を割いて使っているのである…



色だけでなく


タントの色について熱く語ったが、タントの魅力は質感にもある。

タントの表面は細かいエンボス模様が施されている。
つまりサラサラつるつるの表面ではない。

こういう紙で描くと、絵から自然と温もりが生まれる。
スキャンした画像で見ただけではあまりわからないが、原画からはその雰囲気がどことなく醸し出される。


本来であれば、色も質感も色んなものから厳選し、使いこなすことができればもっと幅の広い作品が作れるのかもしれない。

でも私はやっぱり、使いやすくて馴染みがある、子供の頃から使っているパレットのようなタントに落ち着いてしまう。

そんな私の情も乗って、良い作品になってくれたらいいなと思う。

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