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脈々と|風まかせ文芸部

脈々と紡がれていく言葉の数々。
それは天地のはじめ、神々が言霊をもって世界を動かした時より続いていると伝えられる。
人は大いなる声を畏れ、祝詞にして天へ捧げ、また歌にして大地へ刻んだ。


山の神に祈る時、人々は榊を手に言葉を唱えた。
海の荒ぶる日には、船人が波を鎮めんと歌を口ずさんだ。
大和の祖らはその言葉の力を知り、石に、木に、土器に記号を刻み、子らへと伝えてきた。
やがてそれは文となり、史となり、後の世へと残された。


ある古記には、国造りの祖が東の山より現れ、村々を巡りて歌を教え、豊穣の祈りを集めたとある。
人々はその声を受け継ぎ、世代ごとに祭りを重ね、歌を添えて稲の実りを願ったという。
その響きはやがて大和の王権にも届き、宮廷においても歌垣の調べとなり、神事の言葉へと昇華した。


また別の記には、遠征に赴いた武人が出立の前に家族へ残した詞が記されていた。

「わが命は剣に果てるとも、この言の葉は絶えじ」

その一節は、いまなお読み手の胸を震わせる。
肉体は滅びても、言葉は流れ続け、後の世に生き残ったからである。


私は古代の記録を開きながら、そこに生きた人々の気配を感じた。
火を囲み、太鼓を打ち、天地を仰ぎ見ながら祝詞を紡ぐ声。
戦に赴く若者を送り出す母の嗚咽。
そのすべてが神々と人との間に結ばれた言霊の鎖であった。


巻の末に、一族の遠祖が残した言葉が見える。

人の世は栄え、また滅ぶ。然れど言霊の道は絶えず。
子孫よ、祈りを忘るることなかれ。

それは神代から響く声の余韻のように、今の世に生きる我が身へも届いた。


私は筆を執り、余白に己の言を添えた。
「我もまた、この言霊の流れを継ぐ者なり」と。
いずれ未来の誰かがこの頁を開き、私の声を聞き取る日が来るだろう。
その時、言葉は再び目覚め、古代より続く大河に合流するのだ。


脈々と紡がれていく言葉の数々。
それは神代の祈りより始まり、万世に至るまで人を導く、見えざる道であった。

お題:「脈々と」がテーマ

iさま 参加させていただきます。
よろしくお願いします。

Shaboozey & Stephen Wilson Jr. / Took A Walk (from "The Long Walk")

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