月を拾ったねこ
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みかんさん お世話になります。
よろしくお願いします。
第48回 3つのお題(日本むかし話)
お題①:「月を拾ったねこ」
お題②:「ほたる橋の約束」
お題③:「龍神さまの忘れ傘」
お題④:イラストから空想した世界を書いて下さい。
「この間の話だけどさ」
「月を拾ったって話か?」
「まぁそうだけど」
「あれは俺じゃなくて親戚の孫なんだよ」
「そうなのか?」
「その孫がよ、転がして遊んだり、爪立てたりしたもんだから、表面をボコボコにしやがってさ、このままじゃ天へ返せないってことで俺んとこへ持ってきたってわけ」
「それで、なんでお前が拾ったってことになるんだ?」
「ほら、俺って神獣じゃん、その辺のねこが拾ったってより、神獣が拾ってイタズラしちゃったって方が文句が出にくいだろ?」
「人助けならぬねこ助けってことか」
「まぁそういうこったな」
「ご苦労なことだな」
「広い意味で仲間内だしな」
「それにしても、孫のねこから神獣までがイマイチ繋がらねぇな」
「俺たちの祖先はさ、インドに現れたライオンに似た神獣だったわけよ。ツノがあったりしてさ」
「それは知ってるぜ、俺だって神だからな」
「それからずっと東へと流れてきたわけさ、最終的には海まで越えてさ」
「オメエんとこは先祖からしてご苦労なこったな」
「そうだろ? だけどさ、この国にライオンなんていなかったのよ。だからライオンに似た神獣なんてのが通用しなかったらしいんだわ」
「そうなのか?」
「そんで一番近かった犬になったわけなんだよ」
「ねこじゃなくて犬かよ?」
「そう思うよな。別に獅子でもいいし、なんなら猫でも良かったんじゃねえのって俺たちも思ってるわけよ」
「でも犬なんだな」
「そうなんだよ、当時大陸の端っこに高麗(こま)って国があってさ、高麗から来た犬に似た神獣だから狛犬って呼ばれるようになったんだと、うちの古文書に書かれてたわ」
「なるほどな。結構深い理由があるもんだな」
「なんか自慢話みたいになっちまったな」
「『あ』とか『うん』とかって口の形があるって聞いたぜ?」
「始まりと終わりってヤツな」
「マジかよ」
「あれは後付けだ」
「後付け?」
「考えてもみろよ、いろはだったら始まりは『い』だぜ」
「そう言われりゃそうだな」
「五十音って並びが出来てからの話なんだから後付けさ」
「そういうことか」
「そういうこった」
「ところで、月はどうすんだ?」
「孫のおもちゃってわけにもいかないから、天へ返すことにしたよ」
「ボコボコのままでか?」
「あんだけ離れりゃ、ボコボコなんて区別できねぇだろ?」
「オメエも適当だな」
「お互い様ってことさ」

月の表面がボコボコだったり、ウサギの餅つきに見えるのは、神獣である狛犬の親戚の孫のいたずらのせいだったことは内緒のお話です。誰にもお話になりませぬように。きっと笑われますからね。
AKIRA / 春の宵、花となる
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