みんなのことば帖
私は本が好きだ。
電子書籍も便利でいいが、本はやっぱり紙ベースがいい。
だけど、本も徐々に値上がりをしているから、あれもこれもとは購入することができないのが難点。
そこで図書館の有効利用となるのだが、今日はちょっと変わった経験をしたのでお伝えしよう。
とある図書館で、読みたい本を探していた。
ようやく見つけ、手に取ってパラパラとページを繰ってみた。
その時、本の間から小さな紙片がこぼれ落ちた。
紙片には慌てて書いたと思われる文字でこう書かれていた。
この紙片を見つけたあなた
お願いですからこの紙切れを警察に届けてください
私は殺されます
穏やかな文章ではない。
切羽詰まった感じもあるので、無視はできないと感じた。
さすがに警察に通報するのはいささか早計のような気もする。
この本を借りる手続きをするときに、事情を説明して司書の方に渡せばいいだろう。
「あのぉ、この本を棚から取り出した時に、この紙が落ちてきたんですけど」
「それは申し訳ありません」
「警察には連絡しなくていいですよね」
「この本が前回借りられたのはひと月ほど前になりますから、今更感がありますね」
「なるほどと思っていいんですね?」
「単なるイタズラだと思いますので、こちらで処分しておきますね」
「よろしくお願いします」
「お手数おかけしました」
「いいえ」
「ではこちらのご本を。返却期限は一週間後ですので、お忘れなく」
好きな作家の原書を借りられて上機嫌で図書館を後にした。
うちに帰り、コーヒーを用意して原書を開く。
至福の時とはこういうことを言うのだろう。
すぐに没入して三分の一程度読み進めた時、急に笑いが込み上げてきた。
あの紙片はこの部分を翻訳したんだな?
手の込んだイタズラか、単なる取り忘れかはわからないが、慌てて警察に連絡しなくてよかったと胸を撫で下ろす。
そんな、驚いたり、慌てたり、笑ったり、焦ったりと不思議な体験ができるのも図書館ならでは…………ってことはないか。
第1回のお題
本のページから、知らない誰かの秘密が落ちてきた。
喜木凛さん お世話になります。
少し趣旨と違うかもしれませんが、よろしくお願いします。
ハンバート ハンバート / 笑ったり転んだり
