年齢を重ねるほど、涙もろくなる理由
若い頃より、確実に涙もろくなった。
映画の何気ないワンシーンでも、友人の近況報告でも、知らない誰かの笑顔でも、気づけば胸の奥がゆるむ。
意味よりも先に、「沁みて」しまう。
年齢のせいと言ってしまえば簡単だけれど、それはきっと、時間が私の中に積もったからだと思っている。
嬉しかった日。
取り返しのつかない選択。
言えなかった言葉。
それでも続いていった日常。
そのすべてが、静かに沈殿している。
若い頃は出来事をありのまま受け取っていた。
今は、その奥にある背景や、そこに至るまでの年月を想像して、つい感情移入してしまう。
誰かが笑っていると、その裏の努力が見える。
誰かが「大丈夫」と言うと、その前に飲み込んだ言葉が浮かぶ。
それは、若い時には想像し得なかった世界だ。
感受性は、生まれ持った鋭さだけではなく、経験によってこそ丸みを帯びていくものなんだなぁ…と。
若い頃の涙は、まっすぐだった。
今の涙は、層になっている。
すぐ乾く涙ではなく、
静かに深く、体の奥で温度を持つ涙。
年齢は、何かを失わせる。
でも、感じ取る力という宝を育てる。
涙もろくなったのは、衰えではなく、時間がじっくりと私の中で働いてきた証…
50年かけて、ようやく育った涙なのだと思う。
まあ、泣いたあとはだいたいスッキリしているし、瞼の皺が少しふっくらと改善されるから、悪くない。
