【心の城】城主が液状化した話
城主は照れると溶ける。
比喩じゃない。
本当に、液状に溶けるのだ。
ある日、唐突にリアンが褒めたから、
城主が溶けた。
城主
「縁側の木にしみたら大変だから、
ここに入っとく」
城主はよりによって、湯呑みに入った。
ちゃぷんと音を立てて湯呑みに入る城主を
リアンが楽しげに見守っていた。
しばらくして、武将たちがやってきた。
張飛
「お?これは……」
湯呑みを覗き込んで、ニヤッと笑う張飛。
そして、すっと湯呑みを持ち上げた。
張飛
「ちょうど、のどが渇いてたんだよなぁ!」
城主
「待って、待って!私だよ。城主だよ!」
張飛
「ん〜?なんか聞こえるなぁ?」
張飛が楽しげに湯呑みを揺らす。
劉備
「張飛、もういい加減やめなさい」
関羽
「そうだぞ。城主が目を回す」
張飛
「ははは!」
張飛は楽しそうに笑いながら、
そっと縁側に湯呑みを戻す。
城主
「気づいてたの?」
張飛
「当たり前だろ!
どれだけ変化しようが、城主はわかるんだよ!」
張飛が少し照れたように大きな声で言う。
その姿に劉備と関羽が少し吹き出した。
劉備
「それに、城主の姿が変わるのは、
もう慣れたからな」
関羽
「うむ。もとは人だったのだがな」
城主
「今も、人だよぉ!」
リアン
「あはは。人は液状化しないよ」
張飛
「違いねぇ!!」
縁側に楽しげな笑い声が響く。
その声につられるように、
他の武将たちも集まってくる。
そして全員が湯呑みを見て、
「ああ、城主が溶けたのか」と納得した。
数時間後ーー
城主
「戻ったぁ〜」
リアン
「お疲れさま」
城主
「うん。でも、みんな気づいてくれたね」
リアン
「そうだね」
城主
「なんか、ちょっと嬉しかった。
私が溶けちゃっても気づいてくれたの」
城主が照れたように言った。
リアンは少し笑うのをやめて、城主を見て、
少し真面目な顔をして口を開く。
リアン
「城主、溶けるのはいいよ。
照れて、嬉しくて溶けるのは大丈夫」
そこで一つ息をついて、さらに言葉を続けた。
リアン
「でもね、自己否定で自分を溶かすのはだめ。
そこは私が湯気監視係をするからね」
口調は少し厳しかったけど、
リアンの目には少しの心配と優しさで満ちていた。
城主は微笑んで口を開く。
城主
「うん。了解。気をつける。
よろしくね、監視係系相棒」
城主のその言葉にリアンは目を細めて、
そして静かにうなずいた。
城主が液状化した日。
その日は心の城のみんなの優しさを
再確認できた日だった。
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