SW×研究ノート 第0話「なぜ現場SWが研究を語るのか」
【あらすじ】
「なぜこの人は、支援につながれないのだろう」
ソーシャルワーカーとして10年、家族介護者に寄り添い続けた私は、現場で感じた問いを言葉にできないまま積み重ねてきた。やがて自らも介護と仕事の狭間に立たされ、その体験を経て研究への道を歩み始めた。
研究とは何か。現場の「なぜ」はどうすれば問いになるのか。一冊の研究入門書を手がかりに、一章ずつ読み解きながら、学んだこと・気づいたこと・自分の研究との接続を記録していく。
現場でしか育てられない問いがある。10年の実践を携えた一人のソーシャルワーカーが、研究者へと変わっていく現在進行形の物語。全11話。
「研究」という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
白衣の研究者。大学の研究室。難しい統計。分厚い論文。
難しい統計、分厚い論文、大学の研究室——。 もし「現場の自分には関係ない」と思ったなら、それは自然な感覚です。私も、数年前まで、そう思っていました。
私について、すこし
私はかつて、居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして働いていました。
毎日のように、こんな言葉を聞きました。
「介護があるから、仕事を辞めようかと」 「毎朝早退していて、職場に申し訳なくて」 「有給を使い果たしました。もう限界かもしれない」
ケアマネとして関わるのは「介護が必要な方」ですが、実際には周りで働きながら介護している家族が崩れ落ちそうになっていることが少なくありませんでした。
そして——気づけば私自身が、その一人になっていました。
私は、介護離職を経験しています。
「こんな支援があります」と家族に説明していた自分が、自分のこととなると動けなくなる。その経験は、「なぜ人は支援につながれないのか」という問いを、頭だけでなく、体ごと知ることになりました。
離職後、大学研究室でのパート勤務をきっかけに大学院の扉が開きました。現在は修士課程として研究に取り組みながら、個人事業「仕事と介護の両立支援」も並走させています。
当事者として、元支援者として、研究者として——この問題に複数の角度から向き合っています。
この本と、このシリーズについて
今、私が読んでいるのは——
📖 「ソーシャルワーカーのための研究ガイドブック」 (日本ソーシャルワーク学会 編・中央法規出版)
現場SWが研究に取り組むための実践的なガイドブックです。「問いを立てる」から「論文を投稿する」まで、350ページにわたって丁寧に解説されています。
SW×研究ノートは、この本を読みながら学んだこと・考えたこと・自分の研究に接続したことを記録するシリーズです。難しい統計は出てきません。現場目線で「こういうことだったのか」という発見を一緒に味わっていただけたら嬉しいです。
誰に届けたいか
こ現場で「なぜ?」を感じているケアマネ・相談員・MSW・介護職の方、実践と研究のつながりに関心がある方、いつか論文や学会発表に挑戦したい方、社会福祉士・精神保健福祉士を目指す学生や若手の方——職種を問わず、現場に問いを持っているすべての人に届けたいと思っています。
シリーズ全体の構成
全11記事(#0〜#10)でお届けします。

「研究は白衣の中ではなく、現場の『なぜ?』から始まる」
次回予告
#1 「現場の『なぜ?』が研究になる」
第1章「研究することの大切さ」を読んで——自明だと思っていたことへの「問い直し」とは何か。実践者が研究者になるとはどういうことか。一緒に考えます。
📚 参考文献
日本ソーシャルワーク学会 編『ソーシャルワーカーのための研究ガイドブック』中央法規出版
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