「俺の作った歌、聞いてよ」が、人を一番困らせる。~100曲の制作を経て見えた、AI音楽の「自己満バイアス」の超え方~
AIを使えば、誰もが一瞬で、それっぽいクオリティの歌を作れる時代になった。
でも、ここで一つの大きな問題が発生する。
「自分の作った歌を人に聴かせても、相手がリアクションに困る」
という“自己満バイアス”の壁だ。
どれだけメロディが美しくても、まったく文脈を知らない他人の「我が子へのポエム」や「泥臭い社史の苦労話」を急に聴かされたら、誰だって対応に窮する。
「あぁ、いい曲だね……」と、苦笑い交じりの感想を返すのが関の山だろう。
歌が個人の独りよがりになった瞬間、それは他人にとってただの「ノイズ」になってしまうのだ。
私たちは「ONE SONG(ワンソング)」というサービスを通じて、すでに100曲以上の歌を制作してきた。
その対象は個人向けに留まらず、保育園の園歌、企業のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透、サービス紹介ソングといった法人・組織の領域にまで広がっている。
この100以上の現場で、激しく「人の感情」と向き合い、楽曲を生み出し続けてきたからこそ、私はこの自己満バイアスを乗り越える絶対的な解を確信している。

なぜ、あなたの表現は「独りよがり」になるのか
その答えを、私は20年前の苦い挫折から知っている。
大学時代、お笑いサークルにいた私は、感覚ではなく「ロジカル」の力で人の感情をハックしようとした。
お笑いのビデオを何本も分析し、人がどこで笑うのかをパターン化して、感情のメカニズムをすべてエクセル(Excel)に落とし込んで解析したのだ。
しかし、大真面目に計算して作ったネタで挑戦したM-1グランプリは、無惨にも1回戦敗退。
劇場の冷え切った空気の中で、私のネタはただの「独りよがり」として散った。
そんな時、のちにM-1の決勝に出場することになるサークルの先輩が、私にこう言ってくれた。
「ネタがどれだけ良くても、お客さんとそれをどうやって共有するかが大事なんだ。お笑いは一方通行じゃない、双方向なんだよ」
ハッとした。
当時の私は、自分の感情を「ぶつける」ことしか考えていなかった。
相手の感情が入るための「余白」を、1ミリも残していなかったのだ。
自分の文脈だけで100%埋め尽くされた歌は、他人が入り込む隙間がない。
だから、聴き手を置いてけぼりにしてしまう。
これは、企業のMVVソングであっても全く同じだ。
経営者の独白のような歌を作っても、社員の心には1ミリも響かない。

AIだけでは、自分の「本当の感情」に見捨てられる
では、どうすれば「自己満足」に終わらせず、聴き手と響き合う「双方向の歌」に昇華できるのだろうか?
ここに、ONE SONGの絶対的なこだわりがある。
私たちは、「ソングメイクアドバイザー」という、人と人とのリアルな対話(セッション)を必ず制作プロセスに挟む。
今の時代、AIのアプリにキーワードを打ち込めば、歌詞も曲も自動で吐き出される。
しかし、人間は、自分自身の本当の感情や、組織の奥底にある本質的な理念を、自分一人で言語化することなんてできないのだ。
たとえば、最初に出てくる言葉は、どうしても表面的になりやすい。
「会社を立ち上げて辛かった」
「子供が生まれて嬉しかった」
「地域に愛される保育園にしたい」
自分一人でAIに向き合うと、どうしてもこうした「ありきたりな言葉」しか出てこない。
あるいは、逆にディテールを詰め込みすぎて、ただの日記になってしまう。
本人が本当に救われたかった瞬間や、企業の理念の奥に隠された「焦り」「葛藤」「本当の願い」といった本質的な感情は、AIの入力画面の前では見逃されてしまうのだ。
だからこそ、対話が必要になる。
私たちは、長年にわたり人材紹介会社として、求職者の方々の「人生の掘り起こし」に付き合ってきた。
転職相談の場にやってくる人は、最初から自分の強みや本音を綺麗に語れるわけではない。
対話を重ね、過去の挫折や、言葉の裏にある葛藤を一緒に紐解いていくことで、初めて「自分が本当に大切にしたい生き方」が見えてくる。
その人生の伴走経験があるからこそ、私たちは確信している。
「人の感情を引き出し、形にするには、泥臭い人間同士の対話が不可欠だ」

100の物語から導き出した、新しい心のインフラ
ソングメイクアドバイザーは、いわば「感情の翻訳家」であり、総合演出家だ。
アドバイザーとの対話を通じて、本人が気づいていなかった「感情の核心」を掘り起こす。
外に伝えるべき真実のメッセージを紡ぎ出し、その上でAIという最高のテクノロジーを使って、誰もが共感できる「ピュアな言葉とメロディ(余白)」へと昇華させていく。
この3ヶ月間、100以上の楽曲制作を通じて磨き上げてきたこの仕組みこそが、自己満バイアスを破る唯一の鍵だ。
個人が作った歌が、家族や友人の心を揺さぶるお守りになる。
保育園の歌が、子供たちや保護者の想いを一つに紡ぐ。
企業のMVVソングが、ただの壁紙だった理念を「自分たちの物語」として社員の胸に深く浸透させる。
歌の中に聴き手が入る「余白」をデザインし、一方通行ではない「双方向の響き合い」を生み出すこと。
これこそが、私たちが100曲の制作を経てたどり着いた答えだ。

ONE SONGは、ただ曲を量産する音楽テックではない
ONE SONGは、単に効率よく曲を量産する音楽テックではない。
「人間同士の濃密な対話」と「AI」を掛け合わせることで、人生や組織の理念を、大切な人と響き合う「一生モノのインフラ」へと変えるサービスだ。
機械と人間の心の真ん中で、私たちは「SONORY(ソノリー)」というブランド概念のもと、これからも歌の在り方、そして生き方そのものをデザインしていく。
あなたの、あるいは組織のストーリーが、世界を動かす1曲として立ち上がる日を楽しみにしています。
ONE SONGについて
ONE SONGは、個人・企業・組織の言葉や物語をもとに、世界に一つだけの楽曲を制作するサービスです。
大切なのは、AIに曲を作らせることではありません。
その人や組織の中にある、まだ言葉になりきっていない感情や物語を、人との対話によってすくい上げ、AIの力も活用しながら、歌として残すことです。
自分の人生を歌にしたい方。
大切な人への想いを形にしたい方。
企業理念やMVVを、社員や採用候補者に届く形にしたい方。
サービスや商品の想いを、記憶に残る形で伝えたい方。
ONE SONGは、そのためのプロジェクトです。
▶ ONE SONG
https://www.unitedmind.jp/onesong
関連マガジン
SONORYやONE SONGの考え方、制作事例はこちらにもまとめています。
▶ SONORY|AI × 歌で、生き方と未来をデザインする。
実際に制作した楽曲紹介はこちらです。
▶ ONE SONG|物語を一曲にした記録
最後に
宮沢 光平(Kohei Miyazawa)
株式会社ユナイテッドマインドジャパン 代表取締役
ブランド概念「SONORY」・人生を歌にするサービス「ONE SONG」発起人。

