コミュニティデザインとしてのBMIAという「場」について
——イノベーションが生まれ続ける条件を、実践から考える
私が2024年から代表理事を拝命している、
一般社団法人ビジネスモデル・イノベーション協会(BMIA)は、
一見すると「イノベーションのメソッドを学ぶ団体」に見えるかもしれません。
もちろん、それで合ってもいるのですが、
私自身が長く関わる中で感じているのは、
BMIAはそれ以上に、イノベーションのためのコミュニティデザインそのものを実践し続けている「場」だということです。
もちろん、うまくいっている部分もあれば、
まだまだ試行錯誤が必要な部分もあります。
ここでは、代表理事としての公式見解というよりも、
一人の実践者としてBMIAという場の中に居続けてきた人間の視点から、
このコミュニティの面白さと「場」の可能性について書いてみたいと思います。
意図してデザインされたわけではない、という出発点
まず正直に書くと、
私は最初から「BMIAというコミュニティを育てよう」と思って
関わり始めたわけではありません。
2016年頃、会員として参加したきっかけも、
友人が理事をしていたことに加え、
当時、新規事業開発支援を始めたばかりで
「コンサルタント」という肩書きが
“なんとなくあったらいいな”と思った、
かなり曖昧で世俗的な理由でした(笑)。
その後、一会員として関わる中で、
BMIAは「受益する場」というよりも、
イベントを一緒に企画したり、登壇の機会をいただいたりと、
可能性を拡げてくれる「場」だったなと感じています。
そんな折、2022年に理事に就任しました。
お世話になった場に、
今度は運営側として関わっていこうという気持ちが芽生えたのを覚えています。
そして2024年、代表理事の打診を受けたとき。
正直な第一声は、「おいおい、マジかよ」でした。
ただ、振り返ってみると私はこれまで、
「できるだけ流れは拒まない」
「場や関係性からの要請には、どうすれば引き受けられるかを考えてみる」
という姿勢で生きてきたように思います。
結果として、BMIAという場の運営に、
意図せず、しかし段階的に、
深く関わることになってきた
——
それがこれまでの経緯です。
ツールよりも先にあった「関わり方の余白」
BMIAには、グローバルに活用されている強力なツール・メソッド群があります。
◆ビジネスモデル・キャンバス(BMC)
◆バリュープロポジション・キャンバス(VPC)
◆シナリオプランニング、ワールド・カフェ
◆アイデア発想、インプロビゼーション
◆FORTHイノベーション・メソッド
そして毎年更新され続けるビジネスモデルオリンピア。
ただ、今振り返ってみると、
BMIAの本質は「どのツールを使っているか」ではなく、
それらを、
誰が/どんな立場で/どのように持ち寄れるのか
という設計にあったのだと思います。
・実践者として関わってもいい
・ファシリテーターとして関わってもいい
・学び手として立ち止まってもいい
複数のロールを同時に引き受けられる余白が、
実はBMIAという場には、最初から残されていました。
この「役割が固定されない構造」こそが、
コミュニティとしてのしなやかさであり、
今後も大切にしていきたい価値だと感じています。
円環としてデザインされている(ように見える)場
BMIAは、学んで終わる場ではありません。
私自身の関わり方を振り返ってみても、
BMIAでメソッドや新たな考え方に触れる
それを自分の現場で実践する
そこで生まれた問いや違和感を持ち帰る
対話やフィードバックを受け取る
それを構造化し、新たなイベントや講座につなげる
という円環的な関係性が、自然と生まれていました。
この循環があることで、
メソッドは抽象論で終わらず
成功談や失敗談に偏りすぎず
「実践知」として更新され続ける
状態が保たれます。
そして重要なのは、
この円環が一人のものではないという点です。
会員それぞれが実践し、持ち帰り、共有することで、
複数の円環が重なり合っていく。
BMIAは、
そうした「循環が発生し続ける条件」が
結果的にデザインされてきたコミュニティなのだと思います。
例えば、私自身が立ち上げた
「親子BMCファシリテーター養成講座」も、
その一例に過ぎません。
コミュニティを「使っていい」というメッセージ
既存会員の皆さんには、
ぜひBMIAをもっと自由に使ってほしいと思っています。
・仲間を募りたいとき。
・小さな実験を始めたいとき。
・個人として、あるいは単独の企業として何かに挑戦しようとするとき。
・何かを発信したいとき。
そんな場面で、
「そういえばBMIAがあったな」と
思い出してもらえたら嬉しいです。
BMIAは、完成された答えを提示する場ではありません。
問いを共有するところから始められる場です。
問いを持ち込めば、
誰かが反応し、対話が生まれ、
思いがけない視点が返ってくる。
実際に、
会員の何気ない一言や提案から始まった取り組みも
少なくありません。
この「反応が返ってくること」自体が、
コミュニティとしての価値なのだと思います。
私自身、実際にちょっとした思いつきや相談から、
業務上の支援の依頼まで、様々な呼びかけをBMIA内で行っているのですが、その都度、思いの外たくさんのお声を寄せていただくことができており、
とても感謝しております。
これは今後もより沢山のご相談や募集をしていこうと思っています。
※ちなみに、
「代表理事だからできるのでは?」と思われるかもしれませんが、
理事になる前から、同じように声をかけていました(笑)。
属人性を弱め、問いが残る設計へ
BMIAは、
特定のカリスマや個人の権威に
依存し続けるコミュニティを目指してはいません。
代表理事や理事が変わっても、
問いや視座が円環的に育まれ続ける場であること。
そのために、
役割の循環
世代の接続
若年層が入り込める余白
といった点を、
これからも意識的に整えていきたいと考えています。
完成形を定義せず、
その時々に立ち現れるビジョンを
受け取り続けること自体が、
このコミュニティの重要なデザイン方針なのかもしれません。
私自身も、
代表理事という役割に固定されるつもりはなく、
今後もさまざまなロールを引き受けながら
関わっていくのだと思っています。
「開かれた途中の場」として
BMIAは、
完成された組織でも、
完成された思想でもありません。
実践と対話を往復しながら、
問いを持ち寄り、
場そのものを更新し続ける、
開かれた途中のコミュニティです。
肩書や立場を一度脇に置き、
問いを持ち寄り、揺らぎ合い、
それぞれの現場に戻っていく。
そんな関わり方に価値を感じる方にとって、
BMIAは居心地の良い場になるはずです。
また、団体同士のコラボレーションにも
積極的に取り組んでいますので、
ご関心のある方は、ぜひお気軽にお声がけください。
この場を、
これからも多くの皆さんと一緒に、
試行錯誤しながら育てていけたらと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました☆
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