王家の書【共鳴編】 第71話から第80話までのストーリーまとめ&人物紹介
あらすじ
ヴァルディアに着いたサイラスは、ルカの無事を知る。一方、ルカもエマやサンの無事を知り、一同はようやく胸をなで下ろすのだった。
ルカの容体が落ち着いたのを見届けると、ケイレブはロウル商会で料理人として腕を振るいながら、いつものように新たな食材の研究に没頭していた。
翌朝、ラゲルは商人風の姿でロウル商会を訪れる。彼女は、今回のグラウ荒原抗争に関わった複数のノースリアたちを見ても、彼らは異なる役割と目的を持って行動しているのだろうと自らの考えを口にする。
さらに、青の一族は長年にわたり密偵を使ってノースリアの動向を追ってきたことを明かし、その一人がロウル兄弟を育てた「コハル」であると語る。
その内容にリクとカイは驚くが、さらに自分たち兄弟までも長年探られていたことを知り、大きな衝撃を受ける。続けてラゲルは、各地の情報を集めた結果、ノースリアが特定の土地を監視したあと、その地では多くの場合、大きな災厄が起きていると話す。
ラゲルは、ロウル兄弟がコハルから何らかの知識を受け継いでいるはずだと考え、今回の戦いで使われた新たな武器の正体を二人に問う。リクは、それが戦の形を一変させる「火薬」であると答え、さらにカイはラーケン山脈の東で巨大国家を築こうとする勢力の存在を示唆する。
彼らの話にラゲルは驚き、世界の未来を左右する鍵がサイラスにあると告げる。そして、ロウル兄弟がコハルから受け継いだ知識を、サイラスに託すよう促すのだった。
ラゲルは二人のもとを去る前、グラウ荒原の安全は責任を持って守ると言い残す。青の一族は表立って関わらず、カルム平原民が見回り、異変があればティルガ自治区やドルグ族と連携して対処するという形で話はまとまったのだという。
その後、ラゲルは孤児院を訪れ、子どもたちの世話をするエドリックと、白の一族にいた頃を懐かしむように言葉を交わす。別れ際、「一族を守るため、遠くからでも力を尽くせ」とエドリックへ言い残し、ラゲルはその場を後にした。
一方、リクとカイは、長く秘してきた知識をサイラスへ託す決断を下す。学ぶほどに、サイラスはその知識が持つ力と危うさに戸惑いを深めていく。そして、ラゲルが最後に告げた「決して惑うな」という言葉が、サイラスの胸に重く残るのだった。
***
ヴァルディアでサイラスたちが東への備えを進めていた頃、青の町ノルディアでは穏やかな時間が流れていた。
傷の癒えたサンと共に過ごすオスカーは、町の人々から英雄として歓迎されていた。彼の隣には、いつもイーリスの姿があった。肩書きや美貌に頓着せず、ただ一人の人間として接してくれるオスカーは、父が亡くなって以来、イーリスにとって久方ぶりの安らぎとなっていた。
サンの傷も完全に癒え、オスカーは旅立ちを決意する。別れの日、イーリスはオスカーたち三人のために打たせた剣を贈った。ノルディアは良質な鉄の産地であり、そこで鍛えられた剣は「折れぬ剣」として知られていた。人々の温かな見送りを受けながら、オスカーとサンはヴァルディアへの道を進む。
***
オスカーはサンとともにヴァルディアへ到着し、ロウル商会でサイラスたちと再会する。しかし再会の喜びも束の間、リクに大量の書類仕事を任されることに。一方サイラスは、カイのもとで知識を深めていた。
春を迎える頃、ロウル商会は慌ただしさに包まれていた。リクとカイは東方の不穏な動きに備え、ラゲルやエドリックとの連携を強めていく。まだ異変こそ起きていないものの、東から迫る大きな変化の気配に、リクの懸念は日ごとに強まっていくのだった。
***
一方アヌシー王国では、サイラスの父テオドール王が、「王の間」の奥にひっそりと秘された「時の間」に一人座していた。歴代の王たちが遺した記録や想いが綴られた一冊の書を開き、王として、そして父として積み重ねてきた歳月を振り返っていた。
その書の表紙には、ただ四文字が刻まれている。
『王家の書』
『王家の書』には、アストリア家の始祖マレス・アストリアとノースリアが交わした誓いと、それを終わらせるための道筋が記されていた。しかし、その鎖を断ち切ることは、歴代の王の誰一人として果たせずにいた。
コルカタ王国とオルレアン王国の使者を迎えるテオドール王は、王として三国の未来を見据えながらも、心の奥では息子サイラスの身を案じ続けていた。世界の運命と父の願い、その狭間で揺れながら、再び王としての責務に向き合っていく。
***
ヴァルディアに滞在するサイラスは、コハルから受け継がれた知識だけでなく、商会の運営や孤児院、病院の仕組みなど、人々の営みそのものについても学んでいた。一方、オスカーは書類仕事に悪戦苦闘し、ケイレブは各地の食材や薬草を研究する日々を送っていた。
穏やかな日常の中、リクは孤児院で育つ子どもたちを見つめながら、王とは多くの命を守る存在であることをサイラスに伝える。やがてサイラスは、孤児院の絵本が幼い頃に母から何度も聞いた物語と同じであることに気づく。それらは、コハルだけが知るはずの物語だった。
母とコハル、そしてノースリアを結ぶ新たな謎が姿を現し始める。
母から聞かされた「ほしの子」の物語と、ツールの森の奥で聞いたマグナスの言葉がつながり、サイラスは母も父もノースリアを知っていると確信する。
しかし、エルデン城地下で見た森やラゲルの言葉を思い返し、ノースリアは単なる敵ではないという思いも強めていく。
やがてカイは再び航海へ旅立ち、サイラスたちも北を目指して出発を決意。旅立ちの前、オスカーはイーリスから託されていた剣を二人へ手渡す。
サイラスがその剣に力を込めると、王家の紋章が淡い光を放ち、紋章の周囲に「水と知と未来にかけて誓う」という古代文字が浮かび上がった。
王家の書、ノースリア、母の言葉、そして古の誓いーーこれまで別々に見えていた出来事は一本の線となり、真実の輪郭を描き始める。サイラスは、その真実へ向かう覚悟を固めるのだった。
ヴァルディアを旅立つ日、サイラスはエマとルカを連れて行くべきか迷っていたが、ケイレブとオスカーの賛同を得て同行を決める。
リクは、旅の途中でもロウル商会の商館を頼れるよう手配を整えると約束し、一行は温かな見送りを受けながら北を目指した。
春の街道を進む中、サイラスたちはロム山脈の麓に広がる「ロムの大樹海」を望んでいた。その途中、北へ続く橋が雪解け水で流され、進路を断たれてしまう。
村人から樹海の縁を通る森道の存在を教えられた一行は、慎重にその道を進むことに。橋を渡れない多くの旅人たちもまた、同じ森道へ足を踏み入れていった。
野営中、火の番をしていたサイラスは、サンの異変に気づく。その視線の先には、痩せ細ったひとりの子どもが立っていた。子どもは「アシャ」と名乗ると、そのまま力尽きて倒れてしまう。サイラスは急いでアシャを焚き火のそばに運び、ケイレブとともに手当てを施す。
目を覚ましたアシャは、病気の母のため薬草を採りに樹海へ入ったものの、相棒のロム馬・リトとはぐれ、七日間も森をさまよっていたと語る。翌朝、アシャが樹海の奥に暮らすソノマ族の子どもであることがわかる。
村まで送り届ける方法に悩むサイラスたちに、アシャは首から下げた護符にはリトの毛が納められていると話す。サンならその匂いをたどってリトを見つけられるかもしれないーーそう考えたサイラスたちは、アシャを村まで送り届けるため、樹海へ足を踏み入れる決意をするのだった。
人物紹介
・サイラスとともに旅をする者たち
サイラス・アストリア
アヌシー王国の正統な跡継ぎ。自然が放つ波動と共鳴する力を持つ「共鳴士」。「0」と「1」の数字を読み解くことができる。
オスカー・ストラザール
左頬に傷を持つ大柄な男。武術に長けている。ケイレブと共に旅をしている。
ケイレブ・リー
商家の息子。料理が得意で、珍しい食材を求めて各地を巡る。神がかった美しい顔立ちで人々を魅了する。
エマ
左手に紅い痣を持つ少女。「紅血の一族」の一人。「痣者」とも呼ばれる。サイラスたちと旅を共にしており、「0」と「1」の数字を読み取ることができる。
ルカ
エルデンで出会ったエルナの息子。エルナは「ショコラ・エルナ」というチョコレート専門のお店を営む女性で、ケイレブが想いを寄せている。
サン
オスカーの飼い犬。黒い毛並みの大きな犬。
ツキ
ケイレブが連れている白い猿。人の言葉を理解しているような賢さを持つ。
・アヌシー王国の人々
テオドール・アストリア
サイラスの父。現王
マレス・アストリア
アストリア家の祖。ノースリアとある誓いを結んだ人物。
・青の一族
ラゲル
青の一族の長。白の一族の出身。
エルド
ラゲルの夫。先のグラウ荒原抗争で命を落としている。
イーリス
ラゲルとエルドの娘。「ノルディアの真珠」と謳われる。
・ロウル商会の人々
リク・ロウル
ロウル商会の当主
カイ・ロウル
リクの双子の弟。グランブルー号の船長
ガルド・ハーク
ロウル商会の実務責任者。リクの右腕
エドリック・フェン
元傭兵。白の一族の出身で、ラゲルとは幼馴染。現在はロウル商会に身を置き、密偵としても動いている。
トビアス・メルク
幼い頃にリクに救われ、孤児院で育つ。現在はロウル商会を支える屋台骨のひとり。
ミレイア
孤児院で育った女性。口がきけない
・白の一族
カゲミ
白の一族の長の血を引く人物。ラゲル、ライラ、エドリックの育て親でもある。
ライラ
ラゲルの姉。次代の白の一族の長を担う人物。エドリックに想いを寄せていた。
・ソノマ族
アシャ
森の中で迷った子ども。
リト
アシャが飼っているロム馬。ロムの大樹海でも道に迷わない。
・ノースリア(造られし者)
イサミ(138)
ティルガ自治区で指揮を執っていた兵士。2000の指示を受け、イトハルの監視を続けていた。
77ーー観察者
2000の指示を受け、バルド陣営に紛れ込みイトハルの監視を続けていた。
コハル(586)
幼いリクとカイを助けたノースリア。彼らが生きていけるように温かく導いた。
2000
ノースリアのひとり。サイラスを見守る。
物語の鍵となる要素
・アヌシー王国
ウール川が国の中央を横断する小国。農作物に恵まれ、「知の国」として知られている。
・王家の書
アヌシー王国に代々伝わる書物。この世の理や、国を守るための知恵が秘められているという。
・ノースリア(造られし者)
遥か昔、先の世に造られた存在。ーーその正体は謎に包まれている。
・オルレアン王国
アヌシー王国の西側に位置する王国。交易で栄え、「商の国」として知られている。
・コルカタ王国
アヌシー王国の東側に位置する王国。ラーケン山脈に面し、「武の国」として知られている。
・共鳴士(きょうめいし)
生命のうねりーーあらゆるものが放つ波動に寄り添い、その声を感じ取る者。共鳴によって秘められた力を呼び起こし、常人では成し得ない力を発揮する。
・紅血の一族(こうけつのいちぞく)
左手に紅い痣を持って生まれる者たち。「未来を視る」力があるとされている。
・グランブルー号
堂々たる風格を備えた巨大な帆船。漆黒の船体と、艫(とも)に刻まれた鮫の紋章が象徴。
・ロム山脈
大陸北方への玄関口に位置する山脈。その裾野には、「ロムの大樹海」と呼ばれる樹海が広がっている。
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・第1話から第60話までのあらすじ
・第61話から第70話までのあらすじ
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