核兵器に関する深刻な「ダブル・スタンダード」と新たな戦争はイスラエルの「帝国主義」経済を圧迫する
イスラエルのネタニヤフ首相は、イランの核の脅威を取り除くと主張してイランに対する攻撃を開始した。また、IAEA(国際原子力機関)の理事会は12日、IAEAの調査への協力が不十分だとしてイランを非難する決議を採択した。
しかし、ネゲブ砂漠にあるディモナ核施設に、最大400個の核弾頭と運搬手段を保有していると考えられているイスラエルは核拡散防止条約(NPT)に署名しておらず、国際原子力機関(IAEA)の査察官によるディモナへの訪問を拒否している。

イランのIAEAへの協力不十分を非難する欧米諸国や、IAEAによるイラン非難決議だけを強調する報道は著しく不公平であり、またイランを攻撃するイスラエルの論理は自らが周辺国や国際社会に与える核兵器の脅威についてまったく自省することがない。
国連憲章第2条4項はすべての加盟国が、武力による威嚇または武力の行使を近似ている。イランに対するイスラエルの攻撃は、「侵略犯罪」に相当するもので、侵略犯罪は国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程に基づく①ジェノサイド、②人道に対する罪、③戦争犯罪と並ぶ4つの主要な国際犯罪のうちの一つだ。ガザで大量殺りくを伴う戦争を行い、ガザ住民を飢餓に置くイスラエルの行動はローマ規程に基づく主要な国際犯罪のすべてに該当する。

ネタニヤフ政権は世界のパーリア国家(嫌われ国家)というイスラエルの性格を強めている。イスラエルのイラン攻撃前に米国の同盟国であるイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーはネタニヤフ政権の極右閣僚であるイタマル・ベングビール国家治安相とベザレル・スモトリッチ財務相にヨルダン西岸における入植者の暴力やガザでのジェノサイドを扇動したという理由で資産の凍結や入国禁止という制裁を科した。これは、現政権に対する国際社会の強い非難の姿勢を明確に示すものだ。
これらの極右閣僚たちはネタニヤフ首相が推進するユダヤ人至上主義を信奉している。ネタニヤフ首相が政権の座に長年あるイスラエルでは先住のヨルダン西岸やガザのパレスチナ人を追放するという考えが主流となったが、スモトリッチ財務相はパレスチナ人と、またパレスチナ人の権利を擁護するイスラエル人を強く憎悪し、敵視する。5か国の声明はこれらの2閣僚の行動を容認できないと主張するが、ガザにおけるジェノサイドは世界中のユダヤ人の「恥」となっていて、ユダヤ教のシオニズムからの「離婚」を唱えるナオミ・クラインのようなユダヤ人の主張は少なからぬユダヤ人たちから支持されている。リクード主導のガザ戦争は、大規模な飢餓を兵器化し、医療必需品の供給を差し控えるなど、世界史上最も凶悪な過剰殺戮の一つの例となった。

イスラエル政府関係者たちを批判すると、即座に「反ユダヤ主義」という言葉が返ってくるが、それと同様にイスラエルはガザでの殺戮を批判すると、23年10月7日のハマスの「テロ」のせいにする。そして現在イスラエルは米国とイスラエル主導の「ガザ人道財団(GHF)」の食料配給センターに集まる人々を「暴動だ!」と言って銃撃して殺害するようになった。5月27日にGHFが活動を開始してから少なくとも245人のパレスチナ人が、食料配給センターで殺害された。国連報告者フランチェスカ・アルバネーゼはこの食料配給センターを「人間の屠殺場」と形容している。

一昨年以来継続する戦争はイスラエルの財政負担となっているが、イスラエルは新たにイランとの戦争を開始した。イスラエルの戦費が増大していることは明らかで、財政上の重大な負担となっている。イスラエル銀行とクネセト(国会)財務委員会での報告によれば、ガザでの1日の戦闘で約4億2500万シェケル(1億1300万ドル:163億円)の費用がかかっている。イスラエル政府は、ガザでの戦争資金を、公的債務を増やすことで賄っており、それはGDPの約68パーセントにまで膨れ上がったと今年3月下旬にイスラエル銀行が報告した。この報告では、「戦争が経済活動に与えた負の影響は、主にパレスチナ人労働者の入国禁止(ガザとレバノンで戦うための)、予備役の招集、ガザやレバノン近隣の紛争地域での労働が困難になったことなどがある。イランとの戦争が長期化すれば、イスラエル経済にさらなる大きな負担を強いることは明らかだ。
イスラエル人の歴史家イラン・パッペは経済の悪化をシオニズム終焉の一つの要素としているが、歴史的に見てもローマ帝国、スペイン王国、オスマン帝国、大英帝国などは戦費の増大によって国力を疲弊させ、衰亡していった。さらなる戦争にイスラエルやイスラエル国民は耐えられるのだろうか。戦争、生活費の上昇、将来への不安はイスラエル人が国を離れたい理由となり、イスラエル紙「ハアレツ」によれば、イスラエル国民の40%はイスラエルを離れたいと思っており、そのうちの81%が25歳から41歳の若い世代であるように、戦争国家イスラエルの将来は決して明るいものではなさそうだ。

表紙の画像はパニックに陥るイスラエル
イランが攻撃を開始
https://www.youtube.com/watch?v=QRTdLegJ5Fk
