月みたいに好き|片想い文芸部「月」
月がきれい。
何気なく口にしたその言葉に、君は「うん」って、静かに頷いた。
それだけだったのに、どうしてだろう。
心臓がドクンと跳ねた。
夏の終わり、海辺の堤防。
潮の香りと夜風の中、
浴衣姿の君が、月明かりに照らされて、
あまりに綺麗で、思わず目を逸らした。
いつも隣にいる君。
気づけば自然と、そばにいた。
誰より、話しやすくて
誰より、空気みたいに心地よくて
でも、いつからだろう。
こんなにも、君ばかり目で追うようになったのは。
君が笑うと、それだけで一日が報われた気がした。
誰かと話してると、意味もなく胸がざわついた。
けど、気づかれたくなかった。
友達って言葉に守られていたくて、
本音はずっと、飲み込んできた。
君は鈍感だ。
それとも、気づいていて知らないふりをしてるのか。
わからないまま、夏が終わろうとしている。
「来年も、また一緒に来ような」
何気なくそう言った俺の言葉に、
君は少しだけ間をおいて、
「うん」と、微笑んだ。
それだけで嬉しくて、
でも同時に、胸の奥がじんと痛んだ。
来年も隣にいられる保証なんて、どこにもないのに。
その笑顔が、俺のものじゃないのかもしれないのに。
だけど、今はまだ、言えない。
「好きだよ」なんて。
言ったら、君の笑顔が変わってしまいそうで怖い。
だから、せめてこの時間だけでも。
この夏だけでも、
君の隣で、月を見上げていたい。
この想いが、どうか君に気づかれませんように。
でももし、いつか届くなら。
月みたいに、静かで優しい好きを、
君に伝えられたらいいなって、思ってる。
ーーー
「来年も、また一緒に来ような」
君が言ったその声は、どこか震えていた。
私は少しだけ間をおいて、「うん」と、微笑んだが、
心はざわついていた。
それは、嬉しくて、苦しくて、
愛おしくて、切なかった。
私たちは、きっと同じ気持ちを抱えている。
でも、どちらからも一歩が踏み出せない。
月がきれい。
君と同じ空を見て、
君と同じ想いでいられたなら、
それだけで、今は十分だと思ってしまう私がいる。
いつか、この想いが言葉になっても、
変わらず、君の隣にいられますように。
ナルさんの片想い文芸部の企画に、参加します
切なくてキュンとする片想いの物語のひとコマになりたくて
月のお題に挑戦します
よろしくお願いします
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