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「お手伝いしましょうか?」と言える社会であってほしい

セルフレジで、お年寄りがバーコードを探していた。
スキャナーに商品をかざしては下げ、またひっくり返してみる。

小さな袋菓子を逆さにしたり、
箱の底を覗き込んだり…。
時間だけがゆっくり過ぎていく。


列は少しずつ長くなり、後ろから小さなため息が漏れた。
私のカゴの中のアイスも、もう溶けはじめている。

「早く終わらないかな」
そんな思いが、頭をよぎった瞬間、
「助けてあげたいな」
という気持ちも同時に湧いてきた。


でも、足は動かない。

声をかけたら迷惑かな。
「これは私がやりますから」
なんて言われたら、少し恥ずかしい。

助けたい気持ちと、ためらう気持ちの間で、
私の心は揺れ続けた。


けれど、迷っているうちに、
気がつくと私は一歩踏み出していた。

「お手伝いしましょうか?」

と声をかけると、
女性は少し驚いた顔をしたあと、
ほっとしたように笑った。

「ありがとうねぇ、これ、どこにあるのか分からなくて」

そう言って商品を手渡してくれた。
バーコードを読み取り機にかざすと「ピッ」と音が鳴る。

それだけのことなのに、胸の中のモヤモヤが一瞬で晴れたようだった。


今の時代、人と話さなくても買い物ができる。
セルフレジにスマホ決済、レジ袋さえ自分で取る。
ネットでの買い物や、宅配サービス。

どれも便利で、効率がいい。


でも、それだけでいいのだろうか。

人と会話せずに済むことが、私たちを少し孤独にしている気がする。


現代は、少し不器用な社会だな、と感じることがある。

「手伝いましょうか?」
「大丈夫?」
と声をかけたい人は、私たちが思っているよりも、きっとたくさんいるだろう。

でも、出しゃばりだと思われないか、
相手に嫌がられないか…。
そんな不安が、私たちの足を止める。


それでも、私は思う。

たった一言が、世界を変えることもある。
声をかける勇気が、その場の空気を変え、
見ていた人の表情までも変える。

思いやりは、特別なことじゃない。
お金も時間もいらない。
「この人は、いま何を感じているだろう」と想像することから始まるのだと。


未来の社会がどうなってほしいか。

私は、完璧な制度や立派な仕組みよりも、
こういう小さな想像力が行き交う空気を望んでいる。

人と人が声をかけ合い、支え合う。
「お手伝いしましょうか?」と言える社会であってほしい。


そして、いま私ができること。

それは私だけじゃなく、みんなができること。

ほんの少しの勇気と想像力を、
次の誰かへ渡していくことなのかもしれない。

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