250110 『Yes Means Yes』 serial number12
2025年1月10日(金)19時
@ザ・スズナリ
¥4,500(初日割)
serial numberの舞台は必ず観ることにしてるんだけど、最近はけっこう重めの内容のものが多くて、観る前に若干の気合いがいる。今回の作品はその最たるもの。とても良かったけど、がっつりズッシリきた。2025年の観劇初め、見応えでぶん殴られたぜ~~
例によってネタバレ気にせず書いております! 千秋楽も過ぎたしね。
2018年スウェーデンで、「Yes Means Yes法」が施行されました。これは「性的同意」のない性行為を禁じた世界初の法律 です。しかし日本では、レイプなど悪質な性加害においてさえ、被害者側が泣き寝入りせざるをえない現状のなか、Yesと言う ための教育も、Noと言うための教育も男女双方が受けていません。「Yes Means Yes」は、そんな過酷な日本の状況を解像度高く描きながら、様々な舞台や映像作品で活躍する内田慈が演じるひとりの女性が、自分にとって望ましい性のあり方を 模索する姿を通じ、「Yes Means Yes」の真の意味とそこにある希望を問いかける詩森ろばの新作です。
【物語】 楠見佳恵は結婚5年目。DINKSで子供はいない。佳恵は大学生の頃に性によって傷ついた体験をもっており、それがその後の人生も深く阻害している。夫ともその点であまりうまくいっていない。夫は優しいがある日、コミュニケーションの不全から不本意な性交渉を持つ ことになり、佳恵は精神的に追い詰められる。物語は、佳恵のここまでの人生を語るモノローグを縦軸として、男たちとの記憶のドラマ、 現在の夫との生活、カウンセリング、女友達にも理解してもらえない気持ちなど追い詰められていく佳恵の心を丁寧に追う。
ほぼ一人芝居と言っていいくらい、主人公の佳恵(内田慈さん)のモノローグとセリフで物語が進んでいく。4人の若い男性が、他の登場人物全てをモブも含めて演じる。佳恵の夫役は4人が交互にセリフを発することで表現される。
佳恵は毎週金曜日、夫が決めた“夫婦の日”が憂鬱だった。ある時、寝落ちしたふりで金曜の夜をやり過ごしたが、翌日の夜に「疲れたから」とやんわり拒んだ彼女を“優しい”夫は聞き入れずに行為に及ぶ。
「これはレイプだ」と感じてしまう。
どうしてこうなったんだろう。自分という人間と向き合うために過去を思い返す佳恵。
中学時代に顧問の若い教師にキスをされた。驚愕と嫌悪感。誰にも話さず記憶に蓋をした。
大学時代の恋人は、借金の利息として佳恵を友人にあてがった。無理矢理な行為。
女友達との明け透けな会話に困惑する佳恵。打ち明け話をするような親密な関係を遠ざけて生きてきた。性的なものに限らず、人と人との信頼感とか対人関係全てに影響があったんだろうな。
中学や大学時代のトラウマで失われたものは大きかった。
自分を被害者と捉えることで、夫を加害者にしてしまうという罪悪感。自分は被害者であり加害者であるという思い。
心の傷を認めた佳恵はカウンセリングを受けたり、そこで出会った青年フユとの交流もあり、夫とのコミュニケーションを試みる。
絶望しそうになりながらも、最後は「yes means yesを試してみよう」とささやかな希望を思わせる柔らかな2人の会話で締めくくられた。
うう厳しい、ココロがぁ~~~。
トリガーアラートとして「性的・暴力的な描写がある」旨、チラシや公式サイトにも記載があった。アタシ自身は、まあそれなりにゲンナリするような体験のひとつやふたつ・・・いや10や20くらいはあったけど、鈍感な方だから躊躇なく観に行った訳で。と言っても心穏やかではいられないシーンもあったよね。
「性的・暴力的な描写」のシーンでは、ひきつけを起こしてるんじゃ?ってな鳴き声が聞こえて、大丈夫かなあとハラハラした。
アタシ自身が一番堪えたのは、佳恵が「疲れた」と行為を断った時に夫が言った「明日は日曜日だよ」というセリフ。まさにまんがみたいに「ガーン!」って衝撃を頭にくらった気がしたよ。
ヒロイン佳恵を演じた内田慈さん、何度か舞台で拝見してるんだけど(八犬伝とかイキウメとか)2023年の『摂州合邦辻』の玉手御前がすっごく良くて、メロメロになった。なのでこの作品も楽しみにしてたんだけど、期待にたがわず大変に佳きでした。佇まいも声もうつくしい・・・
ラストの夫と話し合うシーンはぼろっぼろに泣いていて、情緒がやばい。確かに1日に1公演しかできないというのも解わ。
4人の男子ズは、演出として面白かったけどどういう狙いでこの4人だったんだろうね。ヒロインに比べてかなり若い男子たち。ひとりの夫を4人で演じるのも、キャラクターを限定しない感じがして興味深い。
ちょっとまだ演技は硬いというか、まあ頑張れっていうか、だったけど。
ヒロイン夫婦の趣味が映画とあって、いくつかの作品名が劇中に出てくるんだけど、どれも有名なのにアタシはどれも観たことがなくて。どんな話かぐらいは知ってたけど、観ておいた方がよかったなあと思ったり。
内容が内容だけに笑いの要素はほぼなかったけど、大学時代の恋人がクズだったという件りで「カート・コバーンが好きな男」という説明があり、そこでクスッと笑いが起こってたw
詩森ろばさんが脚本を担当したドラマ『御上先生』がスタートしたのは、この公演の千秋楽である1月19日。これは偶然?
ろばさんは推し脚本家なので当然、録画して拝見。まず第一話、面白かった。テレビだと脚本そのままという訳にはいかないんだろうけど、とりあえず継続視聴するつもり。
番組関係者、キャストさんたちはこの舞台を観たんだろうか。観てなさそうな気はするけど、生徒役の子たちとかには特に観てほしいけどなあ。
#舞台yesmeansyes 終演致しました。テーマ的に、逡巡の末、劇場にいらした方も多いと思います。「性的同意」というまだ耳慣れない言葉がわたしたちの生き方を狭める規則ではなく、可能性を広げるものになってほしい、終演した今心からそう思います。ほんとうにありがとうございました。
— 詩森ろば (@shimorix) January 21, 2025
写真 市川唯人 pic.twitter.com/9cSnjj7yxr
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