Fats Theus - Black Out (1970)
一作のみリリースして消えたミュージシャンは数多います。それと同じくらいレーベル立ち上げすぐにリリースされたレーベルカラーとは異なった毛色の作品も数多くあります。本作はその両方であり主人公のファッツテウス(セウス、シウスとも)はルイジアナ出身。始めはプレストンラブ(あるいは彼が一座であったジョニーオーティス)のバンドに在籍。その後オルガン奏者のビリーラーキンのバンドに参加。その後ジミーマクグリフのバンドに入ったことで彼はやや名の知れた存在となります。特にジミーがブルーノートからリリースしたThe Wormではテナー奏者として参加してタイトルソングを描いています。
本作はそんなマクグリフバンド在籍中にだした唯一作。ここのレーベルには珍しくオーケストラやアレンジャーのいないスモールコンボでの演奏。さらに録音はルディヴァンゲルダー。なので音としては同時代のプレスティッジやブルーノートの作品のようです。(ジャズ好きで尚且つこれを聞いたことがない知人がいる方はぜひこれを聴かせてどこのレーベルだと思う?と質問してみて下さい)しかし残念ながら本作はあまり売れなかったようです。
この後のファッツは翌年まではレコードのクレジットから足跡が追えますが、それ以降はパッタリと途絶えます。元マクダフマクグリフバンドのメンバーで音楽性がレーベルカラーとあっているのにソニーレスターが彼を拾わなかったのも謎です。しかしスタジオでの活動は続けたようなのでクレジットが残らないような録音に参加したものと思われます。そして79年に45歳の若さで亡くなっています、
本作は前述の通りこの時代ならではのジャズファンク。そしてファッツがエレキサックスであるヴァリトーンを使っているのがこの時代ならではです。
メンバー
ファッツテウス:テナーサックス、ヴァリトーン
グラントグリーン:ギター
ジミールイス、チャックレイニー:ベース
アイドリスムハンマド:ドラム
クラレンスパーマー、ヒルトンフェルトン:オルガン
エディムーア:ノコギリ!
Black Out
ヴァリトーンを使った曲でシンプルながらも心地よくスウィングするジャズファンク。この曲のみオルガンがクラレンスパーマーです。おそらく録音日が異なっておりベースもレイニーではなくジミールイスではないかと考えます
Light Sings
アイドリスムハンマドのキレのいいドラミングがファンキーな一曲。グリーンのギターもブルージーで気持ちいいです
Bed Of Nailes
ノコギリを使っています。ポヨンポヨン鳴っているのでおそらくマレットで刃の部分を叩いてたわませているのだと思います(感覚としては定規を弾いて音を出す感じといえば分かりやすいかもしれません。)。チャックレイニーのベースが映えます。グリーンのギターもシーケンスフレーズをグリグリ繰り出していて絶好調です
Stone Flower
ジョビンの曲でチャックレイニーのフレーズが恐ろしくグルーヴィー。ファッツのソロは技巧よりフィーリングで吹きまくっています。オルガンのヒルトンフェルトンは無名な人ですがソウルフルなスタイルとワルターワンダレイのような軽いスタイルの中間のスタイルです。どうやらソロでゴスペルの作品を出したりゴーゴーのチャックブラウンと交流があったようです。
MoonLight In Veront
アップテンポのジャズファンク。ですがソロパートになるとスローバラードに。ここでもヴァリトーンを使ってソウルフルなテナーを吹いています。ギタリストであるジョニースミスの演奏があまりにも有名ですがグリーンのギターソロはありません
Check It Out
ここでも主役はレイニーとグリーンです。レイニーはグリグリと太いベースをスウィングさせ、グリーンはいかにもらしいギターが気持ちいい弾きっぷりです。
